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株式会社長崎中発(オフィスパーク大村)

人材力が立地の要。未来を担う地域発のこだわり精神

北部九州への大手自動車メーカーの進出が続く自動車産業。九州地区への納入品の需要が急激に伸び、地元の東海地区で雇用確保が困難という状況下にあった中央発條株式会社<以下、中央発條>は、九州の中でもメーカーの生産拠点からは多少距離がある長崎をあえて選択。設立から3年たった現在、現地法人化された株式会社長崎中発<以下、長崎中発>は、グループ企業内でも突出した生産性を実現。さらには現地生産という任務にとどまらない大きな進出効果を上げつつある。

人材確保をプライオリティーに、契約後わずか1年で操業

東海地方内を中心に、米国・アジアにも複数の拠点を持ち、自動車・建築業界などのばね、ケーブルの製造で高いシェアを誇る中央発條。取引先の大手自動車メーカーの九州進出に伴い、主に愛知県内の当社工場から九州へ製品を納入していたが、物流コストの負担増が課題となっていた。さらに「急激に生産量が伸びていた平成17〜19年当時、東海地区では雇用需要が高く人の確保が困難で、派遣社員で対応していた状況でした。しかし一時的な雇用では現場の混乱や生産性の低下が懸念され、また当社は豊田市の藤岡工場に生産が一極集中していたため、管理スパンの拡大や災害リスクも心配でした」と、長崎中発の社長であり中央発條副社長でもある谷口義孝社長は当時の状況を語る。九州への進出は、部品メーカーとしては後発。「平成18年の8月に社内で話が出て、九州に足を運んだのは11月。翌年3月にはオフィスパーク大村の区画を取得しました」と谷口氏。設備が生産の要となる自動車部品メーカーとしては「契約の1年後に工場稼働という、常識ではあり得ない早さでした。とにかく急いでいたので、進出先は工場跡地もしくは工業団地に絞って検討しました」。取引先からはある程度距離のある長崎に絞った理由は「人材が確保しやすいこと。求人倍率は福岡が1に近いのに対して、長崎は0.58と高くなかった。雇用条件の点でも適していました」。人材の能力については、中央発條での実績も大きかったという。「中央発條にも長崎の工業高校出身の人材がいて、優秀な人材を輩出している場所だと知っていました」。取引先へ2時間弱という距離ではあったが、以前から交流のある部品メーカーがオフィスパーク大村に立地していたこと、自治体等のサポートのきめ細かさなどもあり、この地に進出を決定した。

(左)谷口義孝取締役社長。/(右)社屋の外観。
(左)谷口義孝取締役社長。/(右)社屋の外観。

グループでトップレベルの安全・品質・生産を支える長崎の人材

地元の人材の豊富さと優秀さは、採用してすぐ現れた。「従業員は、社会人を経験した人たちを正社員として中途採用するという方針でのぞみました。中途採用者は、いろんな意味で即戦力と考えたわけです」。数次に分けて採用する計画で、最初は4〜5名の技能員を募集したところ、枠を大きく超える100名以上の応募があり、そこで予定以上の人員を採用することにしたという。「本社での研修は非常に一所懸命でした。ばねについては全くの素人集団でしたが、仕事に対する熱意・前向きな気持ちが前面に表れていて、指導した管理監督者は”目の色が違う、食いつきが違う”と言っていました」とのこと。
「生産設備というのは、使っていれば故障するのが当たり前。いかに故障させないようにするか、いかに設備と格闘するかというのが社員の役割」と生産の難しさを語る谷口氏も「長崎中発は、安全、品質、生産性は中発グループのトップレベル。現在、操業3年間で、最高レベルの品質を維持しています。生産性が85%も向上した製品もあります。これはすべて、地元採用の従業員が成し遂げたこと。慣れるに従って予想していた生産性に近づいてくるのが普通ですが、さらに右肩上がりです。これも現場の中で絶え間ない改善を重ねて実現したこと」と讃える。従業員の平均年齢は現在、33歳。もともと自動車産業が盛んな地域ではなく、当該分野の就業経験有無に拘らない彼らの能力の高さに、グループ企業内も驚いている。

生産されている製品。
生産されている製品。

素人集団が実現した、予想を超える進出効果

進出目的以上の効果を達成しつつある長崎中発。谷口氏は「自動車生産の本拠地である三河の文化にどっぷり浸かっている当社のような企業には、違う地域の異なる文化が混ざり合うのはよいことだと思います」ととらえている。「製造業は特にそうなのですが、いい会社は工場の門を入ったとたんに感じる雰囲気があります。景観、人の動き、機械音、清潔さ、従業員のちょっとした目配せ。第一印象は、企業の文化を表出するものでもありますから、非常に重要なのです」。きびきびと動き、整然と並び、ぴりっと緊張感のある雰囲気の長崎中発の工場は、見学した取引先からも評価が非常に高いという。従業員からの声も充実感に溢れている。「自分達は素人だが、自分達の会社は、自分達でつくり上げるという気持ちが伝わってくる」と谷口氏。採用から3年経ち、辞めた人数はゼロ。谷口氏はじめ人事担当者も社員への信頼は厚い。「建築中の第二工場での生産品目追加に加え、今後は生産だけでなく設備も現地で作ろうと考えています。今までの3年間を見ていて、そういうことができる人材がいる、とわかってきました。みんなで夢を持ち、高い目標を持っていければと思います」。“お客様に安心と期待をしてもらえる企業”をスローガンに掲げる長崎中発。現地生産にとどまらず、期待を込めてチャンスを用意する経営方針と、長崎という地で企業意識を持って働く従業員の一人ひとりによって、企業の未来は大きく広がろうとしている。(2010年8月取材)

(左)緑に囲まれた団地全景。/(右)長崎空港と大村市。
(左)緑に囲まれた団地全景。/(右)長崎空港と大村市。

▼団地の詳細情報
オフィスパーク大村

 

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