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株式会社センターフーズ(シーフロントくしきの<西薩中核工業団地>)

地元の海と人々が支え合い、独自の加工技術で成長を続ける

鶏肉ときびなご、いかなどの魚介類を加工する株式会社センターフーズ<以下、(株)センターフーズ>は昭和51年創業。串木野新港から約38kmの位置にある甑(こしき)島の海洋深層水を使った独自の加工方法に加え、厳しい品質管理体制、パート従業員の技術などを支えに高品質の商品づくりを行い、大手取引先から高い評価を受けている。西薩中核工業団地に進出後はその技術を応用して業務を魚介類の加工にまで広げ、同団地内に土地を買い増し、工場を増設。地元の雇用や漁業にも貢献しながら、現在も着々と成長を続けている。

海洋深層水を使った加工技術が評判に。港隣接の立地も好都合

出身地である串木野では、大手食肉加工メーカーの工場に勤めていた冨宿博文代表取締役。故郷に戻ってきたのは、宮崎市で創業した(株)センターフーズが軌道に乗りはじめた頃。「里帰りした際に同級生から“最近、地元で働く場所がなくなっている。ぜひ串木野で会社をやって欲しい”と言われたのがきっかけ」と語る。いずれは故郷へと考えていた冨宿氏は当初、実家のある土地に工場を建設。業務は徐々に拡大したが、周辺は住宅街であり、拡張はすぐに限界に。平成9年、冨宿氏は地元自治体より西薩中核工業団地の紹介を受け「価格が安く、さらに市からの用地取得補助金も適用された」ことから購入を決定。「町から近いのでパート従業員も通いやすく、上下水道が整っていて電気料金・水道料金への補助もあるなど、好条件がそろっていました」。
(株)センターフーズの商品の特徴は、海洋深層水を使った加工方法。以前は加工時の菌の増殖を抑えるために塩を使っていたが「塩分濃度を調整した海洋深層水を使えば、同じような効果が得られると考えて」応用してみた所、予想どおり菌に対して有効であったことに加え、意外な効果が現れた。「鶏肉の塩分濃度が0.3%だった場合、海洋深層水の塩分濃度を0.4〜0.5%にすると、ドリップ(※)が出にくく旨味を保てるのです」と冨宿氏。調理後に冷めた後も、調理したての食感やうまみが続くという。「鶏の唐揚げはジューシーに、いかフライも固くならず歯切れのよさが続きます」。品質保持・向上のための工夫がおいしさにつながったこの技術には、立地した西薩中核工業団地が甑島へのフェリーの発着場所でもある串木野新港に隣接していたという事情も大きく関係していた。現在もタンクを積んだトラックが甑島と工場を往復し、海洋深層水を運び入れている。
※ドリップとは冷凍肉の解凍時に出る、肉に含まれていた血や水分。

(左)冨宿博文代表取締役。/(右)工場外観。
(左)冨宿博文代表取締役。/(右)工場外観。

妥協のない商品管理を支えに、魚介類の加工でも業務拡大

(株)センターフーズの独自性を支えるもうひとつの要が、厳しい品質管理体制だ。品質保証部長の東敏幸氏は冨宿氏の小中学校の同級生で、前職の工場でも同期入社という間柄。冨宿氏が地元に戻った時にちょうど退職した所だった彼を口説き落として入社してもらったという。東氏の基準は厳しく「出荷直前の製品をすべて廃棄したこともある」というほど。加工前の原料においても、検査結果が悪いと返品することも。「そこまでやると相手も気を遣うようになる。相乗効果でいいものが作れるようになるのです」。新規取引先には「とにかく現場の管理体制を見てもらい、相手が納得したら取引をする」と冨宿氏。自信を持って出荷できる品質は、妥協を許さない東氏の厳しさが積み上げてきたものだと語る。
こうした品質の高さとおいしさが評判を呼び、顧客からの紹介によって次々に取引先が増加。また冷蔵倉庫を引き受けるなど業務の拡張も進み、平成11年には魚介類専用の工場を同じ敷地内に新設。こちらも海洋深層水を使った加工により「かずのこの粒のひとつひとつがプチプチしていると評価され、関東にまで売り先ができました」と冨宿氏。
平成15年には大手メーカーから「魚介類の加工業務を縮小するため従業員ごと引き取って欲しいと依頼を受けて」さらに魚介類加工の業務を拡大。平成17年には同じ西薩中核工業団地内に新たな区画を購入し、工場を増設。甑島周辺はきびなごの水揚げで知られているが「仲買いの方には、市場で高値がつくときには市場に持って行ってもらう。高値がつかない時にだけうちに卸して、と頼んでいるのです」と冨宿氏。漁師の数が減っている串木野で、海の仕事を守るためにも地元産物の加工を続けていきたいと考えている。

ほぼ正確なグラム数で加工される鶏肉。
ほぼ正確なグラム数で加工される鶏肉。

ひたすら働く薩摩気質に支えられ、地元でのさらなる発展を目指す

鶏肉や魚介の加工は手作業がほとんど。パート歴19年という熟練社員も擁する(株)センターフーズには顧客の要求に応えられる技術がある。「通常は1片につき基準の前後10g以内に加工、という条件が多いが、1片を“誤差4g以内に”という難しいレンジを要求されることも。それでもほとんど間違わずに加工している」と、冨宿氏もパート従業員の技術を信頼する。「薩摩隼人・薩摩おごじょは、とにかくよく働く」という冨宿氏。地元・串木野で成長を果たせた理由は、社長も社員も一丸となって働き続けてきた結果とも言えるだろう。
工場には技術見学のため外国からも視察が来るほど。海洋深層水による品質保持についても「大小さまざまな企業に見学に来てもらっている。同業者にはどんどん取り入れて欲しいのです」と冨宿氏は技術をオープンにする。差別化の鍵となる技術ではあるが「今どき“俺が、俺が”という時代ではない。小さな会社同士が連携すれば、大きな仕事もできる。同業者みんながもっといいものを作っていければいいと思うのです」と意に介さない。
「串木野は環境がいい。顧客はみんな羨ましいと言います。海に沈む夕日を見てごらんなさい。この美しさはお金には換えられない」と冨宿氏。地元での雇用を支え、がむしゃらに働き続けてきた冨宿氏と、品質を担い二人三脚で会社を支えてきた東氏。あと数年でそろって引退しようと決めているというが「設備の老朽化が進んでいる。業務を続けながら立て替えるために、さらに土地を買い増す必要があるな」と、視線はまだまだ仕事に向いているようだ。(2010年7月取材)

(左)甑島きびなごを使ったオリジナル商品。/(右)海に沈む串木野新港の夕焼け。
(左)甑島きびなごを使ったオリジナル商品。/(右)海に沈む串木野新港の夕焼け。

▼団地の詳細情報
西薩中核工業団地(シーフロントくしきの)

 

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