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株式会社釧路丸水(釧路白糠団地)

地場の魚介が味と品質の決め手。一次産業を加工で支える

釧路で水揚げされる鮭やたこを中心に年間5,000トンあまりの水産物の卸・加工を行う株式会社釧路丸水<以下、(株)釧路丸水>。釧路市内から業務集約のため移転したのが昭和59年と、その歴史を団地の発展と共に歩んできた。途中、区画の追加取得もあり、現在は第5工場まで増床。HACCP対応やインターネット通販など新分野へ業務を広げながらも、商品づくりの原点は常に“前浜で捕れた新鮮な魚介類を、新鮮なうちに加工し届けること”。仕入れる魚介は、釧路白糠団地立地のメリットを最大限に活かして白糠港や釧路港など地元の漁港に揚がる水産物がメイン。地元漁業と二人三脚で地場産業を支えている。

工場の集約で業務に集中。HACCPへの取り組みでステップアップ

創業時は船を持ち、本州と北海道の間で海運業を行っていたという(株)釧路丸水。戦後、釧路市内で水産物の冷凍冷蔵工場を持ち加工を行っていたが「業務が発展するに従い、加工場が市内に分散して立地し非効率になってきたため、その頃工業団地として分譲を始めていた釧路白糠団地への立地を決めたのです」と(株)釧路丸水総務部取締役部長の小山洋氏は語る。小山氏の入社は昭和58年だったが「昭和59年にこの地に本社が移転した際、周囲には同業者が2、3社立地していた他、ほとんど何もありませんでした」と振り返る。しかし汚水処理施設もあり、臭いなどを気にすることもなく業務に打ち込めるこの地が、同社の一つ目の転機になったという。その後、釧路白糠団地の近辺に位置する白糠港や車で15分の場所にある釧路港を主な仕入れ先とした商品づくりで成長を続け、工場を徐々に増床。「当社の第2の転機は、平成10年にHACCP対応の第5工場を建設したこと。対応に取り組んだのは、管理手法に則って商品づくりをすればよりよい商品をお客様に届けられるようになるとの思いからでした」と小山氏。その後も対応は継続し、商品ごとに厚生労働省HACCP認定、北海道HACCP認証を取得している。
HACCP対応の際にも役立ったのが、釧路白糠団地の工業用水。「水質は上水と変わらず、大量に使えて価格は4分の1と非常にお得」とのこと。工場長である佐藤敬彦氏も「水量が少ないと洗う回数が増えて非効率。水量が豊富なこの場所なら流し続けることができるので菌の付着も防ぎやすく、十分な清潔さが保てます」と評価している。

(左)小山洋総務部取締役部長。/(右)工場の外観。
(左)小山洋総務部取締役部長。/(右)工場の外観。

繁忙期には地元漁協に協力を依頼。物流も通勤もアクセス良好

(株)釧路丸水の主力商品は鮭フレーク。小山氏によれば「毎年9月から11月までは、釧路沖で捕れる秋鮭を主に加工。1シーズンだけで3,000トンくらい加工します」。冬場のメインはたこ。「12月から年末にかけては大きな水だこ、1月中旬からは白糠名産でもある柳だこが揚がります。蒸しだことして出荷するのが合計で1,000トンくらい」。その他、釧路港で揚がるさんまも名物のひとつで、こちらも年間2,500トンほどを出荷するという。「鮭フレークは人の手作業で、縦に刺さっている骨を抜いている」とのことで、これだけの量を加工するにはかなりの人手が必要。繁忙期には通常期より100名ほど増員が必要になるという。そこで「地元の漁協に依頼して、夏の時期に漁に出ていない漁師さんに来てもらっています」。漁師は魚の扱いにも慣れているので心強い。お正月に向けて新巻鮭も出荷しており「鮭のえらは手でないと取り除けないのですが、漁師さんなら加工もスムーズ。主に魚をさばく担当をやって頂いています」。労働力は釧路市内からが中心だが、この場所までは車で20分程度とアクセスも良好だ。
出荷先は主に関東、関西の大都市圏。東京にも事務所を置き、商品のトレンドなどの情報を商品づくりに活かしている。「苫小牧港へ運び、八戸までフェリー。そこから陸送で全国へ出荷しています」と小山氏。道東道を利用すれば苫小牧港までのアクセスも良好な立地条件を活かし、日本全国へのスムーズな出荷を実現している。

人の手で骨を抜き加工される鮭フレーク。
人の手で骨を抜き加工される鮭フレーク。

商品の価値を高める“前浜産”。地場の漁業を加工で支える存在に

「輸入ものなら年間契約などである程度量が決まっており、それを順次加工することになります。しかし当社は“前浜産”にこだわり、原料は地場で捕れた魚がメイン。なかなか入荷がなかったり、間が空いたかと思うとどっと入荷して工場が溢れ返るような時もあります」と、前浜の魚介類を使うことの難しさを語る小山氏。工場長の佐藤氏も「シーズンによって品目が異なるので、ラインを季節毎に変えるなど、フレキシブルに動かせる製造ラインが必要でした」と語る。広々とした立地は、仕入れに合わせた柔軟性のある製造ラインを可能にしている。またシーズンによっては「襟裳や根室から仕入れることもある。この場所はちょうど中間地点で、トラックで運んでも根室からなら3時間くらいで入荷できるので好都合です」とのこと。佐藤氏は商品の鮮度が何より欠かせない商品価値になっていると語る。「高い鮮度のものはおいしい。素材さえよければ、何を作ってもおいしいのです」。添加物などに頼らず商品そのものの味を活かすのが(株)釧路丸水の強み。この立地は商品価値の創造に大いに影響していると言えるだろう。
小山氏も「当社のブランドとしては、やはり北海道産、釧路産にこだわっていきたい」とのこと。これは厳しい時代でも漁業を続けて来た地元漁師と二人三脚で歩んで来た(株)釧路丸水の歴史と重なる。「我々にとっては、一次産業の下で地域に貢献するのが使命。地元で揚がった魚は、加工業である我々が引き受けなければ」。生産業と加工業は持ちつ持たれつの関係として「漁師さんに捕ってもらえるうちは、地場のために頑張っていきたいと思います」と語る。こうした加工業が集積する釧路白糠団地。漁業が釧路白糠の地を支え、また加工業の技術が漁業を支える。この関係が続く限り、今後も白糠の前浜で捕れた海産物は全国から求められ続けることだろう。(2010年7月取材)

(左)釧路白糠団地から至近の白糠港。(右)12月から4月がシーズンの柳だこ漁。
(左)釧路白糠団地から至近の白糠港。(右)12月から4月がシーズンの柳だこ漁。

▼団地の詳細情報
釧路白糠団地

 

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