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新潟製粉株式会社(新潟中条中核工業団地)

時代のニーズを追い風に成長する、地域おこしの米粉技術

近年の国の食料自給率向上政策により注目を集めている米粉。日本初の米粉製造工場を平成10年に設立した新潟製粉株式会社は、新潟県が特許を持つ米粉の製粉技術を用いて、地元・胎内市の生産組合や農家を中心として生産される原料米を米粉に加工している企業だ。全国的に急拡大するニーズに応えるべく、広大な敷地を有する第2工場を本社からほど近い新潟中条中核工業団地に建設。この平成22年4月より稼働している。

恵まれたエネルギー環境と県の特許技術、地域おこしへの情熱が融合

北蒲原郡中条町と黒川村が合併して平成17年に誕生した胎内市。市の中心を流れる胎内川は豊富な雪解け水が伏流水となって沸き出し、扇状地に広がる水田に恵みをもたらしている。新潟製粉は旧黒川村で平成10年に創立。「黒川村は、昭和40年代に水稲単作地帯であるこの地域の冬季雇用確保のためにスキー場を作るなど、昔から地域おこしの気概が高い地域。当社も新潟県が米粉の特許技術を開発したと聞いて、基幹産業の活性化を図りたいと取り組み始めたのがきっかけです」と同社常務取締役、藤井義文氏は語る。
この特許技術は、米を酵素によって柔らかくしてから粉砕する工程と、一次加工後にさらに製粉する二段階製粉の工程により、従来の米粉より細かく加工適性にすぐれた米粉をつくる技術。パンや麺の原料となる小麦粉は粒子が細かいため、たんぱく質や油脂類となじみやすく加工がしやすい。従来の米粉よりも細かく製粉できるこの特許技術により「パン屋さんなどが持つ小麦粉用の機械がそのままこの米粉にも使えるため、米粉専用の機械などを用意する必要がありません。このことも米粉の普及に一役買える性質だと言えます」と藤井氏。この技術がやがて米の消費を押し上げる、という可能性を信じ、同社は国や県の支援を受け、国内初・世界初の米粉専業工場を建設した。
(左)藤井常務取締役。/(右)水田に囲まれた第2工場。
(左)藤井常務取締役。/(右)水田に囲まれた第2工場。

新潟中条中核工業団地への進出で、地域の米づくりを支援

地域おこしのために始まった米粉製粉だが、「10年前は食品メーカーに持ち込んでも“安い小麦が手に入る現状で、なぜわざわざ高い原料を”とけんもほろろでした」。しかし国の政策や、米粉パンや米粉麺がもつ独特の食感に注目が高まった現在は「需要は本社工場の生産能力の4倍近くにもなり、第2工場の建設が急務となりました」。
新潟中条中核工業団地への進出を決めたのは、本社がある胎内市で増産設備に必要な広大な用地が確保できること。米の生産量が豊富な胎内市でも、近年の生産調整や後継者不足で水田を続けることを迷う生産者がいる。そんな産地を盛り上げるという意味でも、水田地帯のまん中に位置する新潟中条中核工業団地は、同社の第2工場にふさわしい場所だった。
第2工場の稼働と前後して、近くには中条町農業協同組合の乾燥調整施設(カントリーエレベーター)も完成。「会社設立時は、出荷されない“くず米”を原料の主体に、と考えていました。しかし現在は国の支援制度も整備されてきて、生産者は生産調整の中でも米粉用米として生産を続けることができるようになり、弊社は良質な原料を使うことができるようになった。田んぼを持つ人にとっては、休耕田を作らなくて済むことが一番。弊社が生産量を増やすことで、農家のみなさんに喜んでいただける状況になりました」。この工業団地では、米の洗浄や浸水に豊富な水が使え、安価な天然ガスも利用可能。小麦の製粉所は原料輸入のため港湾近くに作られることが多いが、米粉製粉には地域資源をフル活用できるこの地が最適といえる。
(左)特許技術を利用した業務用、家庭用の米粉。/(右)米粉用米生産を地域の農家と契約。
(左)特許技術を利用した業務用、家庭用の米粉。/(右)米粉用米生産を地域の農家と契約。

新潟発の技術をコアに、米粉食品の一大産業集積地帯を目指す

平成12年には黒川村が全国初の米粉製品の学校給食を実施。平成15年には新潟県内の小中学校10万人を対象に給食での米粉パン導入がスタート。これらには、もちろん同社の米粉が使われている。同社が胎内市(旧黒川村)に設立されたことによって、この地域は全国に先駆けて米の新しい消費スタイルを確立してきたといえる。現在では大手食品メーカー、レストランチェーン等との取引も進み、全国へ同社の米粉が発送されている。このほか新分野として、平成12年には黒川村が全国初の米粉製品の学校給食を実施。平成15年には新潟県内の小中学校10万人を対象に給食での米粉パン導入がスタート。これらには、もちろん同社の米粉が使われている。同社が胎内市(旧黒川村)に設立されたことによって、この地域は全国に先駆けて米の新しい消費スタイルを確立してきたといえる。現在では大手食品メーカー、レストランチェーン等との取引も進み、全国へ同社の米粉が発送されている。このほか新分野として、新潟大学や新潟薬科大学、県内企業と協同で冷凍食品の開発も進行中。敷地の隣にはパンやパン粉を製造する「株式会社タイナイ」が立地し、県内スーパー等に製品を出荷している。
新潟製粉では平成21年度、全国で最大規模である2,200トンの米粉用米生産を地域の農家を中心に契約。第2工場での本格的な増産体制を整えている。「弊社は第2工場の設立によって第二段階へ進んだといえます。今後の目標は、原料生産を行う弊社が牽引役となって、食品メーカー、機械メーカー、物流企業など関連する業種にこの新潟中条中核工業団地へ集まっていただき、米粉の技術を集積すること。この地から米粉の最終商品を全国へ発信していきたいですね」と藤井常務。産業集積によって技術の向上を目指しながら、原料調達はもちろん物流にかかるコストも低減し「品質はもちろん、価格的にも競争力の高い商品を育てていきたい」。新潟製粉の新潟中条中核工業団地への立地をきっかけに、米粉という新しい文化は地域の未来、そして日本の未来を担う産業として、開花の時を待っている。(2010年6月取材)
第2工場内の生産設備。
第2工場内の生産設備。

▼団地の詳細情報
新潟中条中核工業団地

 

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