ホーム > 事例紹介 > 喜楽鉱業株式会社 富山エネルギー工房(富山八尾中核工業団地)

喜楽鉱業株式会社 富山エネルギー工房(富山八尾中核工業団地)

油系廃棄物の無害化と有効利用の技術で地球環境への貢献をめざす

西日本を中心に廃油のリサイクルを展開している喜楽鉱業(株)。再生重油の製造・販売だけでなく、技術の粋を集めた焼却設備による油系廃棄物の無害化、さらには熱源やスラグ等の有効利用を図っている。富山県の拠点として2007年、富山八尾中核工業団地に富山エネルギー工房が進出した。

高品質、低価格の再生重油を供給

喜楽鉱業(株)(本社 滋賀県湖南市)の設立は1973年。会社設立以前から一貫して、油系産業廃棄物を扱ってきた。廃油の収集運搬と処理、並びに再生重油の販売が主たる業務だが、他に機械関係の整備・潤滑管理、定期点検や各種タンク・油槽の清掃、油流出事故の緊急出動、油系廃棄物の処理・処分、地下タンク、埋設配管、タンクローリーの気密漏洩検査等も行う。
西日本を中心に現在15の工場、13の営業所を展開。富山八尾中核工業団地に2007年2月から操業を始めた富山エネルギー工房は、同社では3番目に新しい工場である。
「エンジンオイルや油圧オイル、ギアオイル等、鉱物油系の潤滑廃油をリサイクルし、燃料油(LS重油)に生まれ変わらせるのが当社の仕事です。回収した廃油を遠心分離機にかけ、水分とスラッジ、油に分離させます。油は減圧真空蒸留装置で精度を高め、さらに3ミクロンのろ膜を通してできあがります。こうして再生された重油は硫黄分や窒素分も一般A重油より低く、しかも低価格で供給できます。」
高品質で低価格、かつ安定供給が可能なことが再生重油の魅力と語るのは富山エネルギー工房の井口剛所長。富山が拠点の同工房の再生重油の取引先としては、パルプ工場やアルミ関連が多いという。
「昨今の原油価格の高騰もあって再生重油の需要はずいぶん伸びています。しかし、反面廃油の回収量が減っています。回収廃油の8割近くがエンジンオイルなのですが、お客様がオイル交換の時期を延ばしますから、量を集めるのが難しくなってきます。」
廃油の回収先は自動車整備工場やディーラー、ガソリンスタンドが主で、客先に廃油保管専用のタンクを設置し、定期的に収集するシステムになっている。専用タンクの設置は収集分別をしやすくするとともに、環境の美化にも役立っている。

井口剛所長(左)。社屋風景 (右)。
井口剛所長(左)。社屋風景 (右)。

ゼロエミッションをめざす最新鋭工場も稼動

再生重油を製造するだけでなく、焼却設備での油系廃棄物の無害化処理、さらには有効利用も同社の重要な事業である。
「廃油の使えるところだけいただいて、後は知りませんというわけにはいきません。廃油だけでなく油分を含む汚泥、廃アルカリ、廃プラスチック、廃酸など油系廃棄物を減量し、専用の焼却炉で焼却処理することで無害化します。さらにその際生じる熱源を利用し、廃熱ボイラーで発生させた蒸気でスチームタービンの発電機を回します。」
同社の施設の中でも、この廃棄物の無害化、減量化と有効利用を究極まで追求したのが最も新しい広島総合工場だ。ここでは温熱利用ハウスに焼却工場の余熱を使い、アカシアやユーカリ、ポプラといったCO2吸収率のよい苗木を育成。環境負荷の低減に役立てている。また、焼却灰を溶融炉で溶かしたガラス系砂状の溶融スラグは、コンクリートの骨材としてコンクリート二次製造工場を稼働させ製品として出荷している。
ゼロエミッションをめざしたこの工場では、受け入れた廃棄物に対するリサイクル率はほぼ100%。つまり捨てられるものはなく、工場外に出るのは二次製品のみということである。

専用焼却炉 (左)。トラックのタンクから焼却炉へ直接移す(右)。
専用焼却炉 (左)。トラックのタンクから焼却炉へ直接移す(右)。

地域密着型企業として要望に応えるサービスを

「当社のような事業は地域密着型であり、地域のお客様の要望にいかに応え、サービスを提供できるかが鍵になります。この地域は以前は福井県丸岡町の北陸工場でカバーしていたのですが、富山のお客様が多くなり、十分にカバーしきれないということで進出にいたりました。富山でという条件で当地を中小企業基盤整備機構から紹介していただいたのですが、最適な場所に来ることができたと思います。環境やインフラ的な部分ももちろんですが、立山連峰を望む眺望も素晴らしいところです。」
約9000平方メートルの敷地に廃油精製のプラントや油タンクヤードを備える同工房の一日の廃油処理能力は約64キロリットル。井口所長以下、10名の陣容で富山県全域並びに岐阜・上越の一部、約150km圏内をカバーしている。
「一口に廃棄物処理といってもその対象は多岐に渡りますが、油系廃棄物にこだわっていくというのが当社の方針です。その無害化のための処理設備に関する技術やノウハウも、35年の間に十分蓄積されているという自負があります。今後もこの得意分野を掘り下げ、廃棄物の有効利用の方法をさぐっていきます。」
油公害から地球の自然環境を守ることを使命と考え、油系廃棄物の無害化と有効利用について、世界中からの要請に応えられる総合技術力を持った企業になることが同社の大きな目標である。(2008年8月取材)

一日約64キロリットルの廃油処理している油タンクヤード。
一日約64キロリットルの廃油処理している油タンクヤード。

▼団地の詳細情報
富山八尾中核工業団地

 

▲ひとつ上の階層へ