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バイオマテックジャパン株式会社 北海道工場(釧路白糠団地)

夢の医薬品原料、プロテオグリカンを釧路から世界に供給

医薬品や化粧品などの原料、プロテオグリカンの新しい抽出技術を開発したバイオマテックジャパン(株)。高純度、高品質にして安全、しかもそれまでのものと比較にならない低価格を実現したことで世界中から注目されている。2008年、釧路市の釧路白糠団地に量産化のための工場を建設した。

コストをいかに下げるかが課題に

「プロテオグリカンとの出会い、そして研究を支えてくれた大勢の人との出会いがあったらばこそ、世界に誇れる開発ができたのだと思います。」
今、国内外の医薬品や化粧品、健康食品の業界からの熱い注目を浴びているバイオマテックジャパン(株)(2006年設立)の工藤義昭代表取締役は、画期的な開発の成功にいたった要因をそう語る。
プロテオグリカンとはコアタンパク質に糖鎖(グリコサミノグリカン)が共有結合した構造の複合糖質の一種で、動物の皮膚や軟骨、血管等に広く存在する。その機能としては細胞の分化や結合等の調整、すなわち細胞間の情報のやりとりを担当しており、細胞の活性化の作用を持つ。水分保持の働きもあり、美容効果もある。かの中国の楊貴妃が愛用したといわれる岩燕の巣にはプロテオグリカンが多く含まれていた。
百年前には既にその効能が明らかになっていたというが、たいへん優れた効能があることはわかっていてもそれを抽出する技術が確立されていなかった。
「抽出するためには莫大なコストをかけなければならなかったのです。私たちが取り組んだ当時、プロテオグリカンはわずか1gで3300万円もしました。これでは商品化どころか、試薬としてもおいそれと買うことはできません。そのせいで、国内でも海外でもプロテオグリカンの研究はまったくといっていいくらい進まなかったのです。」
そのプロテオグリカンの製造技術を開発したから量産化に協力してほしいという大学の研究者から依頼を受けたのは、工藤社長が青森県の建材を扱う商社に勤めていた時である。
「新商品担当の私のところへ話が持ち込まれたのですが、これは面白いじゃないかと。会社も私自身もバイオとはまったく縁がなかったのですが、バブルがはじけて本業が振るわない中、バイオ産業に活路を見出せるのではないかとの期待もありました。文系の私が大学の研究室に通って一から勉強し、量産化システムの共同開発に取り組んだのです。」

代表取締役工藤社長(左)。工場正門より社屋を望む 。(右)
代表取締役工藤社長(左)。工場正門より社屋を望む 。(右)

一時撤退、再挑戦の末に得た成功

原料となる軟骨が豊富な鮭の頭を求めて釧路に来るようになり、やがて同地に会社の研究室も設けた。
「とにかくコストを下げなければビジネスにつながりません。何とか頑張って1g、30万円まで下げることができました。しかし、市場は甘くありませんでした。100分の1にもなったのに見向きもされません。それで会社もとうとう撤退を決めました。」
しかし、工藤社長は諦めきれず、退社して個人で取り組むことを決意。釧路工業技術センターの協力を得ながら研究を続け、それまでにはない新しい抽出方法にたどりついたのは半年後のことである。
「実験を繰り返しても思うような成果が出ず、完全に行き詰っていました。ついには原料を買う資金もつき、これでダメだったらもうやめようというところまで追い込まれました。ところが、最後の最後で奇跡のように好結果を得ることができたのです。ヒントになったのはテレビの料理番組です。料理の先生の何気ない一言がひらめきを与えてくれたのですが、まさかこんなにうまくいくとは思わなかった。私がバイオの専門家ではなかったので、常識外の自由な発想ができたのが結果的によかったのでしょう。」

原料になるサケ(左)。プロテオグリカンの完成品(右)
原料になるサケ(左)。プロテオグリカンの完成品(右)

量産化工場は釧路に決めていた

飛躍的にコストダウンできたことによって、その用途は一挙に拡大した。抗がん剤、抗アレルギー剤や免疫賦活剤などの医薬品や人工臓器の1次原料、保湿効果やアンチエイジングの期待できる化粧品や機能性食品、サプリメントの原料等々、その可能性は無限といってもいい。
「当社はあくまで原料であるプロテオグリカンの供給に徹し、プロテオグリカンを応用した医薬品等の研究・開発を積極的に支援していきたいと考えています。世界中の研究者に使ってほしいのです。」
既に海外からのアプローチも増えているという。
2008年には釧路白糠団地の敷地約730坪に建築面積約220坪の量産化工場を建設。10月より操業開始の予定である。ここでプロテオグリカンのほか、関連商品の高純度コンドロイチンやコラーゲンの生産も行う。
「工場の建設は当地以外には考えていませんでした。釧路工業技術センターをはじめ、釧路市には多大なご支援をいただきました。プロテオグリカンを事業化することによって少しでも釧路市に恩返しができればと思ったのです。空港や国道へのアクセスのよさ、大量に使う工業用水の水質のよさと価格の安さも申し分ありませんでした。」
さらなるコストダウン、技術開発のために大学や民間の研究機関との共同研究も行われている。(2008年6月取材)

プロテオグリカンの構造。
プロテオグリカンの構造。

▼団地の詳細情報
釧路白糠団地

 

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