ホーム > 事例紹介 > 有限会社松川弁当店(米沢オフィス・アルカディア)

有限会社松川弁当店(米沢オフィス・アルカディア)

駅弁の販路拡大をめざし、安全・安心のHACCP対応工場を建設

明治32年、奥羽線米沢駅の開設と同時に創業し、百年以上の歴史を持つ松川弁当店。米沢牛を使った駅弁は旅行者だけでなく、全国各地の百貨店やスーパーで催される「駅弁大会」でも人気が高い。2008年、米沢オフィス・アルカディアに一日3万食の製造が可能な新工場を建設。4月から本格操業に入る。

全国の駅弁大会でも評判の牛肉弁当

「創業当時は地元の名産の鯉のうま煮のお弁当を販売していました。三年鯉といい、とても美味しくて滋養のあるものです。それが昭和30年に法人化した頃から、牛肉のお弁当が中心になり、今もある松川スタンダードの『すきやき弁当』を始めました。」
列車の停車時間が長かった時代には、いくらつくっても足りないほどの盛況であったと語るのは七代目の林真人代表取締役。自らも駅弁を担いで立ち売りをした経験がある。
「業界に大きな変化をもたらしたのは、12〜13年前から始まった駅弁ブームです。それ以前から百貨店での駅弁大会はありましたが、それがスーパーさんやコンビ二さんなどでも集客の目玉として盛んに開催されるようになったのです。」
地元米沢の牛肉を使った同社の駅弁の評判は高く、行列ができるほどの人気を博した。百貨店の駅弁大会で全国第2位に輝いたこともある。しかし、全国各地で駅弁フェアは開催されるが、競争は激しく、数多い駅弁の中から選ばれるのはたいへんだという。
「例えば、30品がチラシに載るとします。フェアが終わると、お客様にどれだけ支持されたか、クレームが無かったか等が評価され、ワースト5は次から切られてしまいます。30のうちの25の中にしっかり残らねばならないわけで、なかなか厳しい世界ですよ。」
商品開発力の高さも同社の特長で、材料や味付けにバラエティを持たせたラインアップが並ぶ。『牛肉道場』、『べこの手形弁当』といったユニークなネーミングのものや紐をひくだけであつあつできたてが食べられる加熱式容器を使用したもの、牛の顔の蓋をあけると特急つばさの車内放送でつかわれた「花笠音頭」が流れ出す“メロディ弁当”も。

林代表取締役。右は4月から操業を開始する新工場の外観。
林代表取締役。右は4月から操業を開始する新工場の外観。

自動化と徹底した衛生管理体制の新工場

「ピーク時には一日2万5千食をつくったこともあります。しかし、本社工場は駅で販売する分だけの製造能力しかないので、駅弁フェア用は他の場所を借りてつくっていました。生産効率はよくないし、正直な話、バイヤーに安心・安全な製造現場と胸を張って案内できるような場所でありませんでした。」
それが米沢オフィス・アルカディアへの新工場建設の契機となったと林社長。
「駅前にある本社工場の近くにと考えたのですが、周囲との関係で拡張は難しく、市や商工会議所に相談したところ当地を薦めてくれたのです。駅から遠くないという条件をクリアしていましたし、広さも環境も申し分ないということで進出を決めましたが、正解だと思っています。ただ、駐車場のスペースはもっと必要かもしれませんね。」
敷地約1,000坪に立つ建築面積約350坪の工場は自動化を進め、徹底した衛生管理体制を施したHACCP対応工場として計画されている。
原材料、製品が一方向に流れるレイアウトになっており、人の入退室もすべて記録される。金属検知器等はもちろんのこと、ラインの各所に高精度のカメラが設置され、品質管理室のパソコン上でチェックすることができる。さらに録画されたデータは1ヶ月分保存され、何かクレームがあった場合にも原因を特定することが容易になるという。
「以前は外部に依頼していた菌の検査等も自社で行う体制をつくります。当社には焼肉店や中華店など飲食部門もありますので、ここを拠点に松川グループ全体の衛生管理を統括・指導し、レベルアップを図るつもりです。」
また5年後を目標に食品安全規格のISO22000の取得もめざしている。

自動化された工場内の施設。
自動化された工場内の施設。

販売拡大のための新戦略も展開

「駅弁は旅に出たときに駅で買うものという時代から、今では日常的な食文化の一つになっています。しかし、弁当というかたちでは賞味期限が短く、輸送時間がかかって販売エリアが限られます。駅弁フェア等のイベントでも午後2時での完売をめざすため数量が限定され、その結果“買いたくても買えない”お客様がいらっしゃるのです。」
そこで新しい事業展開として考えられたのが“駅弁の具材の分離販売”である。具材を真空パック・冷凍食品化し、駅弁の風味をそのまま食卓へ届けようというもの。米沢牛のメニューも増やすことでギフトとしてのセット販売も可能だ。
また遠隔地に提携先を確保し、パックした具材を使い、同社が出しているのと全く同じ状態で販売する方法も検討されている。
「駅弁フェアが当社の売上の半分を占めます。フェアはこの先もなくならないでしょうが、それに頼りすぎてもいけないし、9月から3月までの時期に限定されているので新工場の稼動率を考えると、販売拡大のためのさまざまなプランが必要になってきます。」
ただ、そうした新しい試みを実施する上で従業員の意識改革やレベルアップが欠かせないと林社長。手作業や勘に頼る部分が多かった従来のやり方とは大きく変わるため、トレーニングが必要になってくる。4月からは株式会社になり、本社も同工場へ移転、組織としても新しく生まれ変わる。
(2008年3月取材)
徹底した衛生管理体制がとられている。今後もさらなるレベルアップを図っていく予定だ。
徹底した衛生管理体制がとられている。今後もさらなるレベルアップを図っていく予定だ。

▼団地の詳細情報
米沢オフィス・アルカディア

 

▲ひとつ上の階層へ