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オーエム産業株式会社 栃木工場(宇都宮西中核工業団地)

環境負荷を減らし最大限の安全対策を施した“オールインワン工場”

先進のめっき技術と生産ラインを持つオーエム産業(株)(本社 岡山市)。めっき業はサービス業を標榜し、多様な顧客のニーズに応える体制づくりに努めている。また産学官連携の技術開発に積極的に取り組み成果をあげている。2007年に宇都宮西中核工業団地に“オールインワン”の栃木工場を新設した。

東日本をカバーする生産拠点として

同社の創業は1943年、めっき加工専門の日興電化工業(株)の設立が始まりである。1954年に岡山メッキ工業(株)に社名変更。主に自動車部品のめっきを手がけていたが、その後自動車部品そのものの設計・製造にも進出する。1970年にめっき部門をオーエム産業、自動車部品製造部門はオーエム工業(株)(2003年より(株)アステア)として分社設立。1984年頃より電子部品のめっきが主力になる。
栃木県上都賀郡西方町の宇都宮西中核工業団地に敷地面積11,209平方メートル、建築面積1,614平方メートルの栃木工場を建設したのは2007年12月。
「岡山工場の生産能力がいっぱいになりましたが、拡げる余裕がありません。県内に場所を見つけるのも難しい。そこでグループ会社の茨城工場の敷地に新工場をと思ったのですが、インフラが不十分でした。めっき工場は水や電気を大量に使います。福島、新潟などいくつかあたってもピンとこなかったのですが、ここなら大丈夫だと。実は岡山の仕事の約1割を栃木周辺のお客さまが占めていましたので、お客さまのそばに工場を構えるのもいいのではと考えました。」
生産移管することでリードタイムの短縮など東日本の顧客の利便性向上が図れるとともに、本社工場に余力ができ、新技術開発ためのスペースにあてることも可能になったと難波圭太郎代表取締役社長。
「めっきはお客さまの製品をお預かりして、それを加工してお戻しするわけですから、輸送等のことを考えてもお客さまの近くにいることは大きなメリットになります。開発・営業等、中心機能は今後も岡山にあるわけですが、東日本をカバーしていくうえで栃木工場の果たしていく役割は今後重要になっていきます。」

難波代表取締役と社屋外観。
難波代表取締役と社屋外観。

めっき業はサービス業をモットーに

「“めっきサービス”はイメージ的にはクリーニング業と似ています。簡単にいえばお客さまの製品を預かり、上手に適切な皮膜をつけてさしあげ、戻すこと。そして品質保証はもとより、納期、コスト低減、環境等、お客さまのニーズに的確に対応することが当社のめっきサービスであり、そのための体制の構築と技術の向上を図っています。」
『鉛フリーはんだめっき』や『6価クロムフリークロメート亜鉛めっき』といった環境対応型のめっき技術、ますます狭小化する製品においてめっきエリアを高精度に制御する『精密部品金めっき』技術や『マグネシウムへのめっき』技術等々、同社がこれまでに取り組み、また現在開発中の技術は多い。
「マグネシウムは酸化しやすいためめっきがしにくい素材の代表格です。密着性、耐食性がよくデザイン性にもすぐれ、コストも抑えためっき加工製品を実現する技術の開発を新連携(異分野連携新事業分野開拓計画)の採択事業として展開しています。ただ、今は技術が先行し、用途が追いついていないのが悩みです(笑)。」
新連携のほかにも、地域新生コンソーシアム研究開発事業や戦略的基盤技術高度化支援事業など産学官連携事業にも積極的だ。
「品質保証・研究開発のための高度な検査・分析機器も自社で揃えています。不具合があったときにその原因をつきとめるだけでなく、携わっている我々にとっても未知の領域が多く、いまだ勘に頼る部分も大きいめっきの仕組みを探る上での武器になっています。」

工場内の施設。安全・安心への衛生管理体制が整えられている。
工場内の施設。安全・安心への衛生管理体制が整えられている。

三重四重の安全対策をコンセプトに

岡山工場では工場の環境コンセプトとして、“三重四重の安全対策”を掲げている。仮に地震等によって液漏れが発生しても三重四重のチェックポイントを設けることで社外への流出を絶対許さない構造にしてある。これをさらに一歩進めたのが、栃木工場に採用された“オールインワン工場”の発想である。
「排水処理設備や薬品倉庫、スクラップ置き場など、以前は外にあった施設を工場の中に集約しました。たとえ配管にトラブルがあっても排水が外に流出することはありません。生産効率を犠牲にしても、工場の中で完結するというのがオールインワンの考え方です。」
安全対策で現在考えられることはすべてやったと難波社長。
床は五層のコーティングと防水アスファルトが施され、地下への浸透による土壌汚染を防ぐ。環境負荷軽減のため七系統に分別して出される排水は、家庭で出されるものと比べて百倍もきれいだという。そのほか、音やにおい、光もれ、換気等、最大限の配慮がされた設計になっている。また、セキュリティにも万全を期している。
「めっき工場というといまだ昔のイメージが残っていますが、安全で環境にやさしい工場だということ、そしてめっきは省資源の技術であることを、特に地域の人たちに理解してほしいですね。岡山では小学生の工場見学会なども催されています。ここも地域とのつながり、地域への貢献を通じて栃木に根ざした工場にしたいと思います。」(2008年1月取材)

めっきラインの様子。
めっきラインの様子。

▼団地の詳細情報
宇都宮西中核工業団地

 

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