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日本特殊工業株式会社 長崎工場(オフィスパーク大村)

翼の安全・安心を守る高度な航空機部品加工技術と一貫生産システム

航空機の機体やエンジンの部品の修理・加工メーカー、日本特殊工業(株)(本社 東京都大田区)。技術革新のスピードが速く、高品質、短納期を求められる航空部品を高い技術と品質保証体制で供給する。2006年に大村市のオフィスパーク大村に長崎工場を設立。世界市場も睨んだ事業展開の拠点をめざす。

“針から大砲サイズまで”千種類の部品を加工

日本特殊工業(株)は1959年、東京都豊島区に創立。工作機械の設計会社としてスタートするが、1963年から日本航空、全日空より航空機部品の修理作業を受注。1970年からは航空機部品の加工も始め、足立区に工場を開設、本格的な参入を果たす。1988年、大田区に現在の本社工場を設立。長崎県大村市のオフィスパーク大村に長崎工場を設立したのは2006年6月である。
「1975年頃から本格的に航空機部品の修理・加工にシフトしていきました。大きく受注が増えたのは、ジャンボジェットが導入されてからです。それまでと比べ各段に扱う部品点数が多くなり、同時に要求される品質のグレードもアップしました。」
ジャンボ機の登場はエポックメイキングな出来事だったと語るのは矢島由之代表取締役。ちなみに、ボーイング777の部品点数は約30万個、その種類だけでも数千に及ぶ。同社が扱う部品も、1度限りのごく稀なものも含めれば千種類近くになるという。ただし、部品と一口にいってもかなり巨大なものもあり、設備との絡みから同社で扱うものは“小さい部品”に分類されるが、それでもその対象は幅広い。
「当社のモットーは“縫い針から大砲の筒までつくる”です(笑)。扱うものが多種多様、そのサイズも微小なものから大きなものまでという喩えです。しかも、ほとんどが一品生産。多品種少量の極致といってもいいでしょう。」

矢島代表取締役。右は長崎工場の入口。
矢島代表取締役。右は長崎工場の入口。

最高レベルの品質とスピードを要求され

航空機の部品は航空会社に在庫がなく、かつ年式が旧く航空機メーカーにも在庫がない場合、航空会社の責任の下に製造することになる。しかし、材料はもとよりすべてが正規部品と同等でなければ使用することはできない。そこで航空会社では航空機メーカーから図面等、データを入手し、加工を依頼することになる。
「NCデータをもらっても、プログラミングするのに相当時間がかかります。しかし、ゆっくりやっている余裕はない。遅くも1、2日中には納めなければならないわけです。三次元加工機など最新の機器を使うにしろ、職人芸というか、航空機の中味をよく理解した高度な技術を有した作業者でなければ対応できないことが多いのです。」
外科手術と同じく、“開腹”してはじめて不具合箇所が発見されることも多く、前もって準備ができないところがたいへんと矢島社長。つまり、365日24時間対応の航空会社の整備体制に組み込まれているといっていい。ルーティン化された作業もあるが、ほとんどの依頼が緊急であり、そのため常に生産余力を残しておかねばならない。
当然、品質管理でも最高のレベルを求められる。2006年10月には、世界の航空機メーカーが要求する品質規格(AS 9100)に準じたJIS Q9100:2004「品質マネジメントシステム−航空宇宙−。」の認証を取得した。また、加工から非破壊検査、熱処理、表面処理(メッキ、溶射)、塗装にいたるまでの一貫した生産体制をとっていることが同社の特長だが、その全ての工程において品質と責任の所在が明確になるよう詳細な記録を残す仕組みがつくられている。

工場内の設備。多種多様な部品の製造を行なっている。
工場内の設備。多種多様な部品の製造を行なっている。

世界市場や多分野進出も視野に入れ

「長崎への進出は何よりも人材の確保が目的です。県内で就職先のない優秀な人材と当社とのマッチングが狙いでした。当地に関しては、インフラが整っていること、自治体からの強力なバックアップがあったことが決め手となりました。」
東京の本社との距離はあるが、それぞれが羽田空港、長崎空港に近接しているので物流について航空貨物を利用することで4,5時間後受け取ることができ費用もトラック便より2割り程度で済み、かえって首都圏に工場を持つよりも便利だという。
敷地約6,200平方メートル、建築面積約800平方メートルの工場には最新鋭の加工機や計測器が並ぶ。本社8名に対して長崎工場の従業員は20名。全員が地元採用である。
「まだ1年半ですのでルーティン化された製品が主流ですが、本社での教育訓練等を通じてさらに技術力アップを図りたいと思います。また、何百人もの命、安全にかかわる仕事だという緊張感を持ち続けてほしいですね。」
感性を磨き、自分で考えることのできる一流の技術者として育てていきたいと矢島社長。
今後の戦略の柱の一つは米国の航空部品メーカーとの提携である。世界を市場とするメーカーとの直接取引は技術情報の入手も含めメリットは大きい。世界を視野に入れた事業展開を可能にするため、品質保証マニュアルの英文化など着々と準備が進められている。
柱のもう一つは航空部品製造で培った特殊技術を活かした他分野への進出。既に半導体関連など、生産設備や機械の部品加工のオファーもきている。県内から九州、さらに関西までを視野に入れており、長崎工場の果たす役割はますます大きくなる。(2007年12月取材)

3次元加工機など最新機器を備えている(右)。
3次元加工機など最新機器を備えている(右)。

▼団地の詳細情報
オフィスパーク大村

 

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