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神戸天然物化学株式会社 出雲工場(出雲長浜中核工業団地)

“縁の下から”新薬開発をサポートする化学のプロ集団

有機化合物の受託研究や受託製造を行う企業として化学業界では有名な神戸天然物化学(株)。研究、試作、生産の各ステージでのきめこまかい対応が可能な最新設備と高い技術力を持つ。医薬品分野の量産拠点である出雲工場が出雲長浜中核工業団地に進出したのは2001年。治験薬GMP体制の下、新薬開発をサポートする。

mg単位の合成から量産までを受託

神戸天然物化学(株)(本社 神戸西区)の創業は1985年、植物など“天然物”から成分を抽出、合成する技術から始まったのが社名の由来である。現在、“天然物”の抽出、合成に限らず、有機化合物全般の受託研究、受託製造・分離精製及び技術開発を中心に事業を展開し、医薬品分野、電子材料分野、バイオ分野をはじめ、幅広い産業分野へのサポートを行っている。
「有機化合物の合成技術をベースに、メーカーや大学・研究機関等の研究開発や試作、生産の各ステージにおける支援をする企業です。少量のサンプル合成技術だけでなく、試作技術、生産技術を活かして、研究開発から商業生産までのすべての段階で、ニーズに合わせたきめ細かな対応ができるのが当社の特徴です。」
いわば、“化学業界における縁の下の力持ち的な存在”と語るのは、同社出雲工場の島児孝三出雲事業部長。
医薬品分野では治験薬を含めた医薬品、医薬品中間体のプロセス開発および製造を得意とし、また、代謝物、対照薬合成などの研究開発支援のほか、糖、ペプチドやステロイドなどの高生理活性物質の専門チームもある。21世紀に躍進が期待されるバイオ分野では、ペプチド合成や核酸合成等、抗体医薬やゲノム創薬などのバイオメディカルを支援する技術開発が進められている。
また、急速に進化を続けるITを支える電子材料分野では、エレクトロニクスデバイス用機能性有機材料の合成を中心に研究開発・生産の支援が行われている。
「mg単位の合成からt単位の量産までカバーします。コンビケム(Combinatorial Chemistry)のスクリーニング用サンプル合成から数十kgのスポット合成や年間数tに及ぶ生産まで、小スケールから大スケールまでの一貫した支援体制が確立されています。」
本社と東京営業所、神戸工場、岩岡工場、出雲工場の3工場と神戸研究所、市川研究所、KNCバイオリサーチセンターの3カ所の研究所から成り、海外に関連会社も持つ。

出雲工場の入口と島児事業部長。
出雲工場の入口と島児事業部長。

メーカーと協同で治験薬の製造を

出雲工場が出雲長浜中核工業団地に進出したのは2001年。2004年には同地に第二工場、翌2005年にはキロラボ工場を開設する。敷地約30,000平方メートル、延床約25,000平方メートルの出雲工場は同社の医薬品分野における量産部門の拠点である。
「現在の市川研究所に工場機能があったのですが、それが手狭になり、拡張することも難しく、新しい移転先をさがしました。空港に近く、首都圏への飛行機による移動が便利なこと、道路交通網の整備も進行中で、十分な広さがあり、各種助成があったことなどが、当地が進出先に選ばれた理由です。」さらに自治体からの熱心な誘いも決め手となった。
出雲工場はGMP(Good Manufacturing Practice 医薬品、医薬部外品の製造管理及び品質管理)の体制が確立されている。また、新薬の開発段階における治験薬の受託製造も手がける。
「臨床試験に供される薬を治験薬といいます。国内外の製薬メーカーからの依頼を受け、治験薬製造のお手伝いをするのが私たちの仕事です。薬の開発は数百億という莫大な費用と十年近くの歳月を要する巨大なプロジェクトですが、私たちにはより低コストによる製造方法の追及とスピードが求められます。そして何より人間に投与するものであることから、その品質に関しては最も厳しいものが要求されます。」
薬事法が改正され、薬品メーカーのアウトソーシングが自由になったことも追い風になり、同工場への治験薬製造に関わるオファーは増加の一途をたどっている。

GMP体制の下、厳密な品質管理と新薬の開発を行なっている。
GMP体制の下、厳密な品質管理と新薬の開発を行なっている。

次世代開発に関わりノウハウを蓄積

受託専門の同社へクライアントから持ち込まれる案件は、ほとんどが次世代をめざした最新の研究開発に関するものである。
「メーカーとの協同で進められるのですが、依頼を受けたときにこちらに十分に応えられる技術がなければなりません。最先端に対応するためには、常に最新の情報を収集し、研究し、技術のレベルを高めておく必要があります。また、依頼されたことをそのままこなすだけでなく、もっと低コストでつくるにはどうしたらいいか、もっと効率よくつくるにはどうするか、製造過程の不具合にはどう対応するかなど、メーカーに対して積極的に提案をしていきます。」
また、複数メーカーと同時につきあうこともあり、秘密保持を何よりも大切に考えていると島児部長。自分たちの仕事を新薬の“卵づくり”と喩える。新薬開発にはさまざまな困難が伴い、卵がすべて孵化するとは限らないが、“縁の下の力持ちを通じて”チャレンジすることで蓄積されるさまざまなノウハウは企業の力になっているという。
他社にはない数多くの特殊技術も注目されており、今後、同社発展の牽引車として期待されている。(2007年9月取材)

出雲工場は、同社の医薬品分野における量産部門の拠点となっている。
出雲工場は、同社の医薬品分野における量産部門の拠点となっている。

▼団地の詳細情報
出雲長浜中核工業団地

 

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