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中国木材株式会社 伊万里事業所(伊万里団地)

画期的な“ハイブリッド”集成材で環境問題と林業活性化に貢献

中国木材(株)(本社:呉市)が開発した『ハイブリッド・ビーム』は、国産のスギとベイマツを組み合わせた構造用異樹種集成材。海外の原木集荷が厳しくなる時代にあって、国産材の有効活用は環境面でもまた山林再生の切り札としても注目されている。ハイブリッド・ビームの生産拠点として伊万里事業所が伊万里団地に開設されたのは2003年。

大型工場と物流ネットワークをベースに

同社の創業は1953年、木材チップ製造の企業としては日本で初めてである。輸入チップとの競合から製材業に転換を図り、北洋材の製材を開始したのは1967年。その後、米材を扱うようになる。現在、併設するバースには世界最大の原木運搬船で北米から原木が運ばれている。週に1隻のペースで原木が満載された船が入港し、米国から日本に輸入されるベイマツ丸太の約半分強が同社で使用されているという。
「木材業は物流業であり、大量生産、大量販売によってしかコストダウンはかなわないというのが私の考えで、それを実現するため当時としては信じられない規模の工場を建設し、同時に物流ネットワークの充実を図りました。」
この大型製材工場によって同社のベースを築くことができたと堀川保幸代表取締役社長。
さらにそこから各地の物流センターへ運ぶ内航船による大量輸送システムが確立された。現在、全国8カ所に生産・物流拠点を持ち、市場の動向に的確かつタイムリーに対応するためのネットワークを構築している。

港に面する広大な敷地に木材コンビナートが構成されている。右は堀川社長。
港に面する広大な敷地に木材コンビナートが構成されている。右は堀川社長。

乾燥材『ドライ・ビーム』の普及が牽引車に

「昔の大工さんは家を建てるのもゆっくりで木材はその間に乾燥していました。しかし、現代ではいかに工期を短縮するかに必死で自然乾燥させる余裕などありません。では未乾燥材で建てるとどうなるか。木材が徐々に縮み、ひび割れやたわみなど様々な不具合が出てきます。私自身、家を新築したときにそれを思い知らされたのです。」
人工乾燥の研究、実験を重ね、1992年に住宅構造用乾燥材『ドライ・ビーム』の商品化に成功する。このとき、温度や湿度をきめ細かく管理しながら慎重に乾燥させる同社独自の技術が確立された。
「当初は乾燥材の必要性をなかなか理解してもらえませんでした。それが1995年の阪神大震災などをきっかけに、強度にすぐれた乾燥材が一躍注目されるようになりました。」
当初、同社における乾燥材の比率はわずか0.7%にすぎなかったが、いまでは60%近くを占めるようになった。全国の木造軸組工法の住宅で使われているベイマツの人工乾燥の梁や桁の約80%を『ドライ・ビーム』が供給、同社の売上げを飛躍的に押し上げる原動力になった。
精度の高い良質な住宅づくりのために次に取り組んだのが、集成材製造とプレカット事業である。1997年に『ラミナ・ビーム』の製造を開始。ベイマツと欧州アカマツの2種の構造用集成材はホルムアルデヒドの放散基準もクリアし、徹底した品質管理のもとでつくられる。
「プレカット事業は顧客や時代のニーズをさぐり、また業界の再編が進む中での受け皿となることをめざしています。CADデポシステムはお客様にCAD端末を設置していただき、当社のプレカット工場を自分の設備のように活用していただこうというものです。」

(左)独自の技術で木材を乾燥させる大型設備。(右)『ハイブリッド・ビーム』のサンプル。
(左)独自の技術で木材を乾燥させる大型設備。(右)『ハイブリッド・ビーム』のサンプル。

『ハイブリッド・ビーム』の生産基地として

九州の物流拠点として伊万里事業所を伊万里団地に開設したのは2003年。西九州木材事業(協)と伊万里木材市場(株)とともに、原木集荷から製材、乾燥、集成、プレカット、流通までを一貫して行える木材コンビナートであり、敷地合計は24万3500平方メートルに及ぶ。
「港湾立地で十分な敷地があること、福岡の市場にも近い等のメリットを勘案して進出しました。九州は宮崎県など林業が盛んな土地が多く、ハイブリッド・ビームを生産するのに適地と判断しました。」
ハイブリッド・ビームは、外層部に強くてたわみにくいベイマツ、内層部に軽くて粘り強いスギを使った異樹種集成材。それぞれの長所を組み合わせた軽くて強い集成材であるとともに、今まで山に放置されていた曲がり材や欠点材、間伐材までの有効活用を可能にした。衰退している国内の林業にあって、活性化の手がかりとなることが期待されている商品であり、JAS規格取得後も研究・開発が続けられている。
「伐採期を迎えた国産のスギ、それも今まで利用できなかった木材を使うことで山林の再生、林業振興を図ることができます。木材を最大限活かし、山林の経済価値を高め、植林、育林、伐採といったサイクルが健全に回るようにすることで、地球環境の改善にも大きく貢献できます。」
同社ではゼロ・エミッション(ゴミゼロ)をめざし、製造過程で出る木屑やおが粉などの副産物をバイオマス発電等の燃料として利用している。伊万里事業所では、ボイラー燃料として利用し、乾燥機で使う蒸気を発生させている。余った蒸気を団地内の他社に供給する計画もある。
大切な資源を扱う木材業は今後ますます重要な産業、夢のある産業になっていくという堀川社長。地球環境を守りながら、国際競争力を高め、良質で安い住宅構造材を供給するために一層の合理化、省資源化を推進する。(2007年2月取材)

工場では品質管理が徹底され、環境対策にも積極的に取り組んでいる。
工場では品質管理が徹底され、環境対策にも積極的に取り組んでいる。

▼団地の詳細情報
伊万里団地

 

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