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株式会社防災技術コンサルタント(盛岡西リサーチパーク)

シミュレーション技術とCGで防災計画を支援

“防災(減災)と環境の両面から社会資本の福祉に貢献”をモットーに、精度の高いシミュレーション技術で自治体の防災計画への提案を行ってきた(株)防災技術コンサルタント。効率性や重点化に配慮した公共事業を実施する上での判断材料をよりわかりやすく提供している。2003年、岩手県滝沢村の盛岡西リサーチパークに事業本部が進出した。

水の災害対策に取り組んで三十年

(株)防災技術コンサルタントは、1978年に盛岡市に水文調査・解析等を行う会社として設立された。河川、砂防及び海岸などの調査・解析、防災計画・治水計画・避難計画等の立案、防災施設の設計やハザードマップの作成、アニメーションCGの提供、農業土木の計画・設計等を主な業務としている。
「当社の特徴は水に関することに特化している点です。災害を及ぼし、環境を損なう水は多岐に渡ります。雨水もあれば地下水もあり、洪水や津波、土石流などといったかたちをとることもあります。一口に水といっても、実に複雑で、それらを十分に把握しているとはいえません。当社は三十年近く水に取り組んできましたが、奥の深い研究対象であり、今後もより高い対策技術の開発が求められています。」
水は人間や生き物、地球環境にとってもっとも大切な資源であると同時に、多くの災害を引きおこす要因でもあると語るのは三上勉代表取締役社長。
同社は防災の専門コンサルタントとして、“災害を未然に防ぐ”、“災害のダメージを減らす”、“災害が起きた場合の対応”、“復旧と避難生活への対応”といった、災害のあらゆる場面における対策を提案してきた。盛岡市内の本社が手狭になったため、2003年に盛岡西リサーチパークに進出。約20名の専門家集団で構成される事業本部を置く。
「本社は街の中にあったのですが、オーナーが思索の存分にできる静かな環境をということで当地を選びました。岩手山の眺望も素晴らしく、豊かな自然に恵まれています。産業の頭脳の集積を図るというコンセプトとも合致しましたし、アクセス上も問題ありませんでした。」

三上社長と洋館風の洒落た外観の社屋。
三上社長と洋館風の洒落た外観の社屋。

シミュレーションを可視化する技術を高め

洪水や津波などの災害現象のシミュレーション技術は、同社の最も得意とするところである。『津波伝播シミュレーション』、『津波氾濫(遡上)シミュレーション』、『津波避難シミュレーション』、『洪水氾濫シミュレーション』、『内水対策シミュレーション』等のモデルがあり、過去の再現や予測をシミュレーションし、コンピュータグラフィックによる精細な再現を行う。専門家以外には理解が難しかった計算結果が、アニメーションCGを駆使することで、一般の人々にもわかりやすく表現することができた。
「専門知識を持たない住民の方たちにシミュレーションの結果を正しく理解していただくには、最新の3次元アニメーションなどを用いたプレゼンテーションが有効です。インパクトが強すぎて危機意識を刺激しすぎるという場合もありますが、地域の誰もが正確な情報を共有することは大切なことです。」
住民説明会やワークショップなどの場に積極的に出向き、地域住民とのコミュニケーションも図る。避難訓練などを住民と一緒に行動してみることで、机上では得られない重要な情報やアイデアを入手することができる。地域性や社会システム、広い意味での人間理解がなくては、地域の実状にあった計画の提案はできないと三上社長は言う。
「孤立しがちな避難場所同士を簡易道路と情報網でネットワーク化し、効率的な支援とより確実な避難活動を実現する“ライフロード構想”を提案していますが、これなど住民の方々との対話から生れたものです。避難勧告があっても実際には指定の避難場所へ行かない、なぜだろうかということからの発想でした。」

洪水氾濫シミュレーション(左)と津波氾濫シミュレーションの画像。
洪水氾濫シミュレーション(左)と津波氾濫シミュレーションの画像。

自然環境にやさしい木製貯水槽の開発も

同社の環境へのアプローチは土木的な見地からのものであり、環境保全や生態系保持に配慮した自然にやさしい施設の開発もすすめている。その1つ『木製枠組工法による地下貯水槽』は、山火事の緊急消火用水や灌漑用水源などの多目的利用を図るものである。
「当社のオーナーが間伐材の有効利用から考えたものです。貯水槽はプラスチックやコンクリートでつくるのが一般的なのですが、これは主要部材が間伐材でつくられています。コンクリート施工の場合はそのために新たに道を通さねばなりませんが、間伐材なら現場での加工も可能です。木の部分は水没しているので耐久性も高く、コストも低く抑えられます。」
洪水の軽減や保水機能強化など緑のダムとして大いに期待されており、さらに水辺のビオトープ(生物の生息域)形成を図ることもできる。
今後の方針として、これまで災害対策ではハード面が強調されてきたが、減災を考慮したソフト面での対策にも力を入れていきたいという。また、こうした技術を国内にとどまらず、世界に向けて発信することも考えている。(2006年10月取材)

左は間伐材を利用した地下貯水槽。右はオフィス内の様子。
左は間伐材を利用した地下貯水槽。右はオフィス内の様子。

▼団地の詳細情報
盛岡西リサーチパーク

 

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