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財団法人化学物質評価研究機構 久留米事業所(久留米ビジネスパーク)

最新の分析設備とノウハウで環境を守る西日本のメインラボ

化学物質の試験や検査を行う(財)化学物質評価研究機構は、環境先進国である我が国にあって最新の設備と技術、そして優秀なスタッフを擁する機関である。昨年、西の拠点ラボである久留米事業所が久留米ビジネスパークに移転。化学物質の安全性評価を通じ、自然環境と我々の生活を守る最前線である。

世界に誇る化学物質審査規制法を基に

財団法人化学物質評価研究機構(Chemicals Evaluation and Research Institute,Japan通称CERI)の前身は、1949年に設立された(財)ゴム製品検査協会である。ゴム製品の輸出にあたって品質検査を行う機関であったが、その業務を化学物質等に関する試験・検査、研究・開発に拡張、現在の名称になったのは1999年からである。現在の業務は、化学物質安全性試験、標準物質試験、高分子関連の試験・検査、環境測定、公示検査、簡易専用水道検査、研究開発等と多岐にわたっている。“産業の健全な発展と国民生活の向上に寄与すること”を目的に、公正で中立な第三者機関として化学物質の性能と安全管理のための総合的評価を行っている。本部以下、東京、名古屋、大阪、久留米、日田の5つの事業所と付属機関として安全性評価技術研究所を持つ。「私たちは化学物質審査規制法という法律に基づいた試験と研究を行っていますが、これはかつて水俣病をはじめとした多くの公害を生み出したことへの反省からつくられた法律です。大きな犠牲が払われましたが、その後我が国は公害防止に真剣に取り組んできました。その象徴ともいうべきが、世界でも最も厳しい基準を設けたこの法律なのです。」化学物質審査規制法は世界に誇っていい法律だと久留米事業所の大内山直樹所長はいう。また技術レベルの高さでも世界をリードしている。CERIでは安全性評価のための新試験法の研究開発を国から委託されており、その研究成果は世界に向けて発信される。さらにOECDへの人材派遣や各国とのデータの相互受け入れもすすめられている。

久留米事業所の外観と大内山所長。
久留米事業所の外観と大内山所長。

GLP施設を広い敷地に移転して

国の査察を受けて認定されるGLP(Good Laboratory Practice優良試験所基準)施設である久留米事業所では、工業化学物質、医薬品、農薬等の安全性を総合的に評価する試験や研究、環境調査を行う。なかでも化学物質の生分解性を調べる分解度試験、水生生物への影響を調べる濃縮度試験、生態毒性試験とこれらの研究においては国内最大規模のラボである。「分解度試験では化学物質が微生物の作用でどれだけ分解するか、すなわち残留性を調べます。その際、用いるのが標準活性汚泥というもので全国十ケ所から採取されるのですが、それを私どもから各ラボに供給しています。濃縮度試験は化学物質を含む水の中でコイを飼育し、その体内にどの程度蓄積されるかを調べるものです」久留米事業所が久留米市内から久留米ビジネスパークに移転したのが2004年9月。他事業所との統合案もあったが、交通の利便性、人材確保のしやすさ等を考慮して同地が選ばれることになった。以前は住宅地の中にあったので、夜間や休日に作業が必要な時など周囲に気を遣うこともあったのだが、そんな心配も不要になった。広い敷地と新しい施設により作業効率が向上するだけでなく、環境のよさは職員の評判も上々だという。「私たちの仕事は説明が難しいので、家族もうちの親や子供が何をやっているのか理解していません。そこで一度、家族を招いて職場を見てもらうことにしました。まさに百聞は一見にしかず、大変好評でした。そんなことができたのも、ゆとりある施設を建てられたからです。今後は地元の人たちにも見学してもらうことで、環境問題への理解を高めてもらうのもいいかもしれません。」

化学物質の安全性を総合的に評価するための設備が整えられている。
化学物質の安全性を総合的に評価するための設備が整えられている。

化学物質との共存と新しい環境問題への備え

「20年前にはすごい臭いをしていた洞海湾の汚泥も格段にきれいになりました。近所の田んぼにはメダカやドジョウも見られます。環境は確実によくなっているのです。企業も環境への負荷のない製品づくりに努めています。しかし、一方で環境ホルモンの問題など新しい問題もおきていますし、例えばナノ物質など、新材料の影響はこれからの課題でしょう。ともあれ化学物質の有用性は無視することはできないわけですから、共存していくためにも、事前に、正しく評価することが一層大切になっていきます。」そのためにも、試験・検査技術の開発は今後もとどまることなく続ける必要があると大内山所長はいう。そして情報発信の重要性についても強調する。「リスクコミュニケーションという言葉があります。危険を正しく理解してもらうこと。例えば、毒性が低くてもそれが大量にたまるようであれば危険になります。逆に毒性が高くても使い方を誤らなければそう危険でないこともある。ともするとヒステリックに、センセーショナルになりがちですが、リスクを冷静に判断してもらう。そのための情報提供も私たちの重要な仕事になっていくのだと思います。」(2005年12月取材)

施設内では大勢のスタッフが検査に携わっている。
施設内では大勢のスタッフが検査に携わっている。

▼団地の詳細情報
久留米ビジネスパーク

 

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