ホーム > 事例紹介 > ヨコタ東北・アメニティセンター(新庄中核工業団地)

ヨコタ東北・アメニティセンター(新庄中核工業団地)

新庄から世界へ発信 リサイクルを楽しく学ぶ夢のミュージアム

豆腐容器の製造でトップシェアを誇る(株)ヨコタ東北が開発した容器のリサイクルシステムは、国内はもとより広く海外でも注目されている。そのヨコタ東北が環境教育のための施設として新庄中核工業団地に建設したのがヨコタ東北・アメニティセンターである。リサイクルのしくみだけでなく、そのスピリットを子どもたちに伝えるミュージアムは“環境都市”新庄のシンボルに育ちつつある。

水を使わないリサイクルシステム

「一般ゴミの40%が食品容器だといわれています。ということは食品容器メーカーは “ゴミ”製造業ではないのか。それならば我々こそが、ゴミの出ない容器、ゴミを減らすためのシステムを開発すべきではないのか。それがスタートでした」今でこそ受け入れられるようになったが、当時は何を馬鹿なことをと業界からも一笑に付されていたと横田健二社長はいう。ゴミのことは行政がやることで、自分たちが関わることではないという考えが支配的だった。そして1998年に開発されたのが「P&P(ポリプロピレンフィルムとポリスチレンパッケージ)リサイクルシステム」である。「リ・リパック」と呼ばれるトレーの内側には透明のフィルムが貼られ、使用後はそのフィルムをはがし、トレーはスーパー等に設置されている回収ボックスに戻すという仕組みである。つまり、ゴミになるのは汚れのついたフィルムだけであり、それも焼却しても有毒ガスの出ない安全なものである。このシステムの最大の利点は水を使って洗う必要がないこと。ヒントになったのが、1995年の阪神淡路大震災であった。水不足のなかで、食器を洗うこともままならない被災者が苦肉の策として皿をラップで覆って使っていたことがこの開発のきっかけになったのである。(この度の新潟中越地震では、小千谷市等の被災地において、同容器がボランティア活動に活用されている。)

(左)フィルムをはがすことで簡単にリサイクルができる「リ・リパック」。(右)横田健二社長。
(左)フィルムをはがすことで簡単にリサイクルができる「リ・リパック」。(右)横田健二社長。

容器は地球からの借りもの

回収されたトレーは高温で溶かして再生原料(ペレット)となり、3層からなるシートの中央部分に用いられる。衛生問題をクリアするため上下をバージン層ではさむわけだが、さらにフィルムをラミネート加工しても再生品の割合は70%以上となる。最近の東京大学安井研究所のライフアセスメントでは、リ・リパックを使うことでCO2の排出量が46%削減できるという調査結果も出ている。「限りある資源である石油からつくる容器は、いわば地球の共有財産、地球からの借りものです。それを面倒だからといって焼却炉でどんどん燃やしたり、埋めてしまっていいわけがない。借りたものは返そうじゃないか。リサイクルとはまさにそういうことなのです」スーパーに設置されている回収ボックスの回収率は平均1〜2%程度だというが、P&Pリサイクルシステムを採用している新庄市のスーパーでは実に45%にも及ぶという。

環境教育のためのミュージアム

このシステムを紹介し、環境教育の体験学習が行えるリサイクル施設として2000年に新庄中核工業団地に建設されたのがヨコタ東北・アメニティセンターである。ミュージアム棟と工場棟からなるアメニティセンターは、そのコンセプトとして芸術との融合をめざし、母子健康手帳のイラストなどで有名な創作家、みのわむねひろ氏に総合プロデュースを依頼した。その外観からして、玄関の上にキャラクターの“ミンミちゃん”の大きな顔をのせるなど、およそ工業団地の施設とは思えぬインパクトがある。吹き抜けのエントランスホールに入るとミンミちゃん人形が迎え、巨大なイタリア製のガラスモザイク壁画も飾られている。ミュージアム棟にはリサイクルの仕組みをイラストや人形でわかりやすく説明する展示室、学習ビデオを上映するミニシアターやカフェも設置されている。連絡ブリッジで工場棟に渡ると、2階の見学コースからリ・リパックの再生ラインを見ることができる。ここでは子どもたちが持参したトレーを専用機械でキーホルダーに加工してくれる。楽しみながら学んでもらうための演出が随所に工夫されているのだ。

新庄中核工業団地に立つユニークな外観のミュージアム棟。
新庄中核工業団地に立つユニークな外観のミュージアム棟。

来館者は1万人を突破

「自信をもって迎えられる魅力ある施設にしたかったのです。子どもたちにとって、きれいな世界であること、本物であること、やさしさが感じられることが必要だと思いました。これがもし貧相な味気ない施設であったら、リサイクルを理解してもらうこともできないでしょうし、リサイクルそのもののイメージを損なうことにもなりかねません」開館4年ですでに来館者は1万人を突破しているが、その半分以上を子どもが占める。県内にとどまらず、他県からも多く訪れ、修学旅行のコースに入れる学校もある。また、リ・リパックが多くの大学生協の食堂や学園祭等で使われていることもあり、環境問題に興味のある学生たちも遠くから訪れるという。今年12月には山形県の『環境教育施設認定』も受けている。

地域とのつながり

また、リサイクルを推進する上で行政、市民を含めた地域との密接な連携が欠かせないと横田社長はいう。「建設地に新庄を選んだ理由の第一は新幹線がきたことです。新幹線が都会から夢を運んでくるのですから、こちらにも夢のあるものがなくちゃいけないだろうと。それと、誘致における新庄市や中小企業基盤整備機構(当時は地域振興整備公団)の誠意ある対応でした。新庄市にはいまでもバックアップをいただいていますが、このアメニティセンターを利用することで、環境都市新庄を日本中にいや世界にアピールしてほしいと思います」(2004年12月取材)

工場棟では大量の容器が効率的にリサイクルされている。
工場棟では大量の容器が効率的にリサイクルされている。

▼団地の詳細情報
新庄中核工業団地

 

▲ひとつ上の階層へ