年頭の御挨拶

2018年 1月 1日

独立行政法人中小企業基盤整備機構
理事長 高田坦史

新年、明けましておめでとうございます。平成30年の新春を迎えるにあたり、年頭の御挨拶を申し上げます。

日本経済は企業の生産活動、個人消費ともに緩やかに持ち直しています。それに伴い、中小企業の景況感も改善傾向にありますが、様々な課題が表面化する中で、一部に停滞感も見受けられます。

中小企業の喫緊の課題の一つは、人手不足への対応です。日本の労働力人口は、1998年をピークに減少を続けており、有効求人倍率は43年ぶりの高い水準となっております。昨年は、政策効果もあり、女性や高齢者も含めた就業人口が過去最高レベルとなりましたが、もはや「人手不足に人手で対応する」という対策だけでは十分でないと感じています。特に中小企業では、人手を確保することが難しい状況です。問題は、アベノミクスで需要が拡大しているにも関わらず、人手不足により十分な供給ができず、結果的に需要を獲得することができなくなってしまうということです。

この課題を解決していくには、やはり生産性を向上させなければなりません。日本の就業者1人当たりの労働生産性は、OECD加盟35カ国中21番目、米国の3分の2程度にとどまっています。逆に言えば、日本には、まだまだ成長する余地があると考えられます。

生産性の向上には、売上や利益の拡大が必要になります。これにはICTの活用が不可欠であり、今後はAIやロボットの活用も有効な手段となります。ロボットは24時間、365日稼動することができ、人の2倍、3倍の働きをすることも可能です。また、EC(電子商取引)を活用すれば、低コストで大都市圏や海外で販売・取引を行うことができます。人手不足は、今までのやり方を抜本的に見直し、これまでの遅れを一気に取り戻すことができる「絶好のチャンス」とも言えます。

中小機構では、中小企業のICT活用による事業展開を後押しできるよう、ウェブ上で海外企業の発掘や大手企業との情報交換ができる「J-GoodTech(ジェグテック)」や簡単に経営やECのことが学べるオンライン講座などの支援サービスを昨年に引き続き拡充していく予定です。また、中小機構自身もAIを活用し、支援サービスの効率化、品質向上に取り組んでまいります。その先駆けとして、本年3月には、起業・創業の分野で、いつでも、どこでも、スマートフォンから簡単に相談できる会話型の自動応答ロボット(チャットボット)を公開する予定です。これは、将来的には経営相談全般に拡大し、より多くの方々にご利用いただけるようにしたいと考えています。

中小企業のもう一つの大きな課題は、経営者の高齢化と事業承継への対策です。この問題は中小企業にとっての最大のBCP(事業継続計画)対策とも考えられます。中小企業381万の3分の1に相当する127万の経営者が既に60歳を超えており、かつ、後継者が不在・未定という状態です。ある調査では、実際に廃業した中小企業の44%が黒字だったという結果もあります。事業が順調に進んでいるにも関わらず、廃業してしまうといったことが、今後、何十万という規模で起きる可能性があるということです。

事業を引き継ぐに当たっては、その準備に5年から10年かかると言われており、気が付いたときには「時すでに遅し」ともなりかねません。中小機構では、昨年に引き続き、各都道府県に設置された「事業引継ぎ支援センター」の全国本部として、センターをバックアップするとともに、中小企業への早めの「気づき」を喚起するための取り組みを行ってまいります。また、会社や事業を譲渡したい方と譲り受けたいという方の情報をとりまとめたデータベースの運用を通じて、マッチングへの取り組みを強化してまいります。

第4次産業革命と言われるAIやロボットの登場は、産業に大きな影響をもたらすことは間違いありません。このような時こそ、中小企業経営者は過去の成功体験に囚われず、5年先、10年先の将来ビジョンを明確に描いていくことが必要になります。そして、更なる成長のためにも、若手を含む社員が自ら行動できる環境をつくることが重要だと考えております。

中小機構といたしましても、小規模企業共済や中小企業大学校などの従来からの事業のサービス改善、向上を図るとともに、中小企業の皆様の課題やニーズに応じた新たな支援サービスの開発、提供に尽力していまいります。また、これらを、中小企業の皆様に、より迅速、かつ有益な形でお届けできるよう、全国の支援機関の皆様との連携をさらに深めつつ、職員一同全力で取り組んでまいる所存です。

皆様方におかれましては、この1年が更なる飛躍の年になるようにお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。