共済

平成16年4月からの小規模企業共済制度改正について

平成16年4月1日から「小規模企業共済法の一部を改正する法律」が施行されました。

1.改正の背景について

平成16年4月の制度改正は、次のような背景から行われたものです。

  • 平成2年以降国内金利は基本的に低下傾向にあり、平成10年以降はほぼ1%台で推移するという低金利が継続しています。
  • 低金利・株価低迷等という情勢が長期化している状態は、本共済制度にとって極めて重大な影響を及ぼします。
  • 平成8年4月、平成12年4月の制度改正によりそれぞれ従来の制度を見直したものの、現行制度が必要としている運用利回り(予定利率:年6.6%→4.0%→2.5%)に見合う運用収入を確保できない状況にありました。
  • 今後、従来の制度のままでかつ現在の低金利等の資産運用環境が長期的に継続すると仮定した場合、必要な運用収入が得られず、将来的に共済制度の長期的安定性の確保に懸念が生じる可能性がありました。もっとも、当座の共済金の支払資金が不足するなどといった事態ではまったくありませんので心配いりません。
  • このような事態を回避し、本制度を安定的にかつ健全な共済制度として末永く運営していくためには、すでに加入している共済契約者の方々のこれまでの期間については保証しながら、平成16年4月以降の契約期間について共済金等の額の水準を引き下げ、制度全体としての総支給額を下げていくことが不可欠でした。

もちろん、今後金利情勢が好転し運用収入が十分に得られ財政収支が改善された場合は、付加共済金として共済契約者の方々に還元されることとなります。

2.共済金等の額の変更について

共済金額規定の政令事項化

小規模企業共済法に規定されていた共済金額等について、政令(小規模企業共済法施行令)で規定されるようになりました。なお、議論の透明性を確保する観点から、この政令を改正するにあたっては、必ず中小企業政策審議会等の議を経ることが実行上のルールとされています。

共済金、準共済金の額の変更

  • 共済金の額の変更
    個人事業を廃止したり会社を解散した場合や、掛金納付期間および年齢において一定の条件を満たす場合などにお受け取りいただく共済金について、共済制度の長期的な安定性を確保するため、基本共済金額が引き下げられました。
    ただし、法律改正以前(平成16年3月以前)から加入されている方の場合、法律改正以前の期間に係る共済金の額については、改正前の法律に基づく共済金の額が保証されています(将来共済事由が発生し、その時点で算定される共済事由ごとの共済金の額は、平成16年3月時点で算定(試算)される共済事由ごとの金額を下回ることはありません。)。
  • 準共済金の額の変更
    会社の役員を任意退任したり、個人事業を配偶者や子に譲渡した場合にお受け取りいただく準共済金についても、基本的に「(1)共済金の額の変更」と同様の取扱いになります(基本準共済金は改正後の基本B共済金の91%相当の額に引き下げられます。
    ただし、付加準共済金および改正前期間保証分を加えた合計額がその掛金区分に係る掛金合計額を下回る場合は、その掛金合計額がその掛金区分に係る準共済金の額となります。)。

解約手当金の額の変更

自己都合で解約された場合などにお受け取りいただく解約手当金は、掛金合計額に対して一定の割合を乗じて計算されますが、この割合が以下のように引き下げられました。ただし、法律改正以前(平成16年3月以前)から加入されている方の場合、平成16年4月以降の掛金納付済期間分については改正後の支給割合が適用されますが、平成16年3月以前の掛金納付済期間分については改正前の支給割合が適用されます。
なお、掛金納付月数が240か月未満の場合、解約手当金は掛金合計額を下回ります。

解約手当金の額の変更

3.分割共済金の算定用支給率等の変更について

分割共済金額(年4回、3か月ごとにお受け取りいただける1回あたりの額)を算定するための支給率が引き下げられ、あわせて分割共済金を繰上一括受取りされる場合の割戻し率も引き下げられました。

改正後の支給率
  • 分割期間10年の場合:
    分割共済金の額=共済金の額×(0.0263+α)
  • 分割期間15年の場合:
    分割共済金の額=共済金の額×(0.0180+α)

αは経済産業大臣の定める率です。現在はゼロと定められています。

ただし、法律改正以前(平成16年3月以前)に分割受取りの請求をされ中小機構が受理した方の場合は、改正前の支給率が適用されていますので1回あたりの受取り額が変更になることはありません。また、繰上一括受取りされる場合の割戻し率も従前のとおりとなっています。

4.契約者貸付制度の創設・拡充について

緊急経営安定貸付制度の新設

経済環境の変化に起因した一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障をきたしている共済契約者の方に、経営の安定を図るための事業資金としてご利用いただける貸付制度が新たに設けられました。

既存貸付制度の拡充

一般貸付けの貸付限度額の引上げ(700万円→1,000万円)、ほかの貸付けをあわせて受ける場合の上限額の引上げ(合計1,200万円→1,500万円)などが行われました。

すべての貸付制度の貸付利率の引下げ

平成16年4月以降に貸付けを受けられた場合に適用される貸付利率が、平成16年3月以前に比べ、引き下げられました(今後の金利環境等により、変更される場合があります。)。

5.その他

前納減額金の減額割合の変更

掛金を前納されたときに、前納された月数に応じて割り引かれる前納減額金の減額割合について、1,000分の2.1から1,000分の0.9へ引き下げられました(平成16年3月以前に前納された掛金に係る前納減額金については、改正前と同様の減額割合で算定されます。)。

短期掛金区分に係る解約手当金算定方法の改善

掛金納付月数が12月未満の短期掛金区分については、任意解約をされた場合はその掛金区分は掛け捨てとなっていましたが、平成16年4月以降に任意解約をされた場合には、ほかの掛金区分が12月以上あれば解約手当金の算定対象となるように改善されました。

資産運用に関する基本方針作成の義務づけおよび資産運用責任の明確化

  • 運用目標の明確化を図り、中小機構の資産運用についての考え方を明らかにするため、中小機構は、小規模企業共済勘定余裕金の運用に関して運用の目的その他経済産業省令で定める事項を記載した基本方針を作成し、当該基本方針に沿って運用しなければならないことが規定されました。
  • 小規模企業共済制度をより安全で効率的に運用するため、中小機構の理事長、副理事長および理事は、小規模企業共済勘定余裕金の運用の業務について、法令等を遵守し、中小機構のため忠実にその職務を遂行しなければならないことが規定されました。
  • 中小機構の理事長、副理事長および理事は、自己または中小機構以外の第三者の利益を図る目的をもって、特別の利益の提供を受け、または受けるために、小規模企業共済勘定余裕金の運用に関する契約を中小機構に締結させること等を行ってはならないことが規定されました。