中小機構について >  情報提供活動 >  中小企業施策普及紙「中小企業振興」 >  探訪よろず支援拠点 >  【愛知県】県の相談組織と一体運営

【愛知県】県の相談組織と一体運営

探訪よろず支援拠点 頼りになる相談所の素顔

中小企業にとって最後の拠り所に
愛知県よろず支援拠点 【所在地】あいち産業振興機構内 【コーディネーター】多和田悦嗣氏 【サブコーディネーター】12人 【平成26年度実績】相談対応件数3165件、来訪相談者数2002者

 

支援機関のマネージャーと隣り合わせ

多和田コーディネーター
「大漁旗メーカーに作ってもらった」というのぼりを手に立つ多和田コーディネーター

 JR名古屋駅から徒歩5分のビルの14階。「愛知県よろず支援拠点」のフロアを訪ねると、県の中小企業支援機関である「あいち産業振興機構」の「マネージャー」と呼ぶ相談対応担当者たちとも自然に顔を合わせる。よろずのトップであるコーディネーターと同機構のマネージャーグループのトップである統括マネージャーの2人が机を横に並べて座り、その前に両組織のスタッフが互いに机をはさんで向かい合わせで座っているためだ。
 「よろずの受け入れ機関になるにあたり、あいち産業振興機構の当時の理事長が一体運営する方針を打ち出したのです」。コーディネーターの多和田悦嗣氏(65歳)が語る。
 国が昨年6月に設置したよろず支援拠点は、都道府県等中小企業支援センターや商工団体などの受け入れ機関と連携して運営することが求められているが、愛知県の場合は「連携」というレベルを超えて、文字通り一体となって運営されているのだ。多和田氏はよろずのコーディネーターに就任する前の3年間、同機構の統括マネージャーを務めており、一体運営の要の役割も担っている。
 多和田氏はキリンビールの元技術系社員。持株会社、キリンホールディングスの常務取締役を最後に退任し、母親が一人で住む岐阜県垂井町に帰郷したのを機に、「世の中に役立つ仕事を」と考え、統括マネージャーになった。以来、「中小企業の実態を知れば知るほど、これが日本経済の強さだと実感するようになりました」と話す。

売り上げ拡大の相談に乗る人材を厚く

 相談対応は「まず、話をじっくりと聞かせてもらうというスタイル」。新規事業を考えている経営者なら資金繰りや競合相手の有無など、自信を失っている老舗の経営者なら先代の口癖(経営理念)を思い出してもらうなど、丁寧に話を聞くことで、その会社の強みや弱み、優先的に取り組むべき課題に気づいてもらう。
 大企業の経営に携わってきただけに、経営資源をきちんと把握し、フルに活用する努力を怠らない。経営相談所にとっての経営資源とは、すなわち相談員をはじめとする人材、それに国や県などの各種支援施策だ。技術に詳しい多和田氏の場合はこれに県内の技術研究所や試験所が加わる。自らそれらを訪ね歩いて中小企業が活用する道を探り、人脈を築いてきている。
 サブコーディネーターは12人。あいち産業振興機構の5人のマネージャーと補完し合えるようにバランスを考えて人選した。具体的には「小規模事業者にとって最大の課題である売り上げ拡大の相談に乗る人材を厚くした」。同機構の「あいち創業道場」を卒業して起業した若手経営者が3人いるのもユニークだ。多和田氏らが「週1日でもいいから」と口説き落とした。
 いわば総勢18人の理想的な専門家チームを編成。多和田氏は「絶対に相談に来た人をたらい回しにはしません。ここを中小企業にとっての最後の相談場所にします」と自信をみせる。

34金融機関と連携覚書を締結

 県内に本店を置くすべての地銀・信金をはじめメガバンク1行と岐阜、三重両県の地銀・信金の一部、それに損保会社や信用組合も含めて全部で34金融機関と連携覚書を締結。「連携セミナー」や「連携相談会」を県内各地で年間24、25回開催している。
 そのほかに、よろず独自のセミナーも「IT」「販促」「デザイン」の3つのテーマでそれぞれ年10〜22回開催。いずれも「小規模事業者の今さら聞けない質問に答えようというもの」で、例えば黒板を使ったPOP(店頭販促ツール)の書き方を伝授するセミナーでは、参加者が自分の店のPOPを作ってそのまま持ち帰れるようにするなど実用的だ。
 サブコーディネーターがセミナーの講師も務めるなどスタッフの八面六臂の活躍で、累計相談対応件数は全国トップレベル。それでも「愛知県でも、相談に来られるのは尾張地区の経営者が中心。(名古屋から遠い)三河地区の人たちをどうするかが今後の課題」と考えている。
 多和田氏は最後に、「敷居が高いと思われるかもしれませんが、県の職員も含めて、全員が中小企業を支援したいという気持ちで一生懸命です。ですから、遠慮なく来てほしい」と中小企業の経営者に向けて強調。「コンサルタントとは相性もあるので、ぜひ自分に合う人を見つけてほしい」と付け加えた。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年12月1日発行 第1157号