【北海道】全員で切り口探す

探訪よろず支援拠点 頼りになる相談所の素顔

経営者のモチベーション向上が重要
北海道よろず支援拠点 【所在地】北海道中小企業総合支援センター内 【コーディネーター】中野貴英氏 【サブコーディネーター】11人 【平成26年度実績】相談対応件数2508件、来訪相談者数1207者

 

支援機関と連携

中野コーディネーター
「相談の入り口は、モチベーションを上げてもらうこと」と話す中野コーディネーター

 「1年目は実績づくりに尽力した。2年目の今年度は、他の支援機関とより連携を深め、成果を出したい」─。北海道よろず支援拠点の中野貴英コーディネーター(40歳)は、こう力を込める。
 中野氏は関西で銀行、経営コンサルタント会社勤務を経て、「出身地である北海道の役に立ちたい」と思い、平成19年に札幌市に戻り、独立。その後、中小企業診断士の資格を取得し、金融関係だけでなく、営業、組織づくりなど幅広い中小企業支援に携わってきた。
 個人事業として軌道に乗ってきたが、改めて北海道に戻ったことの意味を考え、もっと幅広く地域貢献したいと思っていたタイミングで、よろず支援拠点のコーディネーター募集を知り、応募した結果、就任することとなった。
 都道府県で最大、日本全体の22%の面積を持つ北海道だけに、札幌を本拠に、6カ所(函館、旭川、帯広、北見、釧路、室蘭)にサテライトを置き、8人のサブコーディネーターでスタート。平成26年度(昨年6月〜今年3月)の相談対応件数は2508件、来訪者数は1207者と、全国でも上位に入る。
 認知度を上げるため、中野氏は商工会議所、商工会、金融機関などの支援機関に向けて「とくに支援機関と連携した支援事例をアピールした」。また、「支援機関から要望があれば出向く」という出前相談会も昨年度は21回開催したことなどにより、企業と支援機関が一緒に相談にくるケースが増えているという。今年4月にはサブコーディネーターを3人増やし、複数のサテライトをカバーしていた兼務者に対して、一つのサテライトへの専任化も進めるなど、受け入れ体制の整備も進める。

V字回復した例も

 中野氏が経営相談で心がけているのが、「家族や友人の相談に乗るように親身になること。経営者らは先が見えずに不安を感じることが多いが、将来を見通すきっかけを見せることで、前に進むモチベーションを上げることが重要」という。
 課題解決に向けては、コーディネーターとサブコーディネーター全員の知恵を集める。個別の相談内容は全員が閲覧できるアプリを使い、パソコンやタブレット端末で随時、チェックする。「1件の相談に対し12人が切り口を探す」ことで、どんな相談にも対応するためだ。
 実際の支援事例では顕著な実績をあげている。札幌市のある和菓子製造会社は、OEM(相手先ブランドによる生産)先の販売不振で廃業を勧められるほどだったが、ホームページを見て、よろず支援拠点へ来訪。国産原料にこだわり、もともと手作りの技術力もあることから再生の方策をアドバイス。それに従って直販強化に乗り出したところ、売り上げがV字回復した。このケースは、今年初めて発行された「小規模企業白書」にも掲載されるほどの典型例となった。
 創業支援でも、豪州で和食レストラン開業を目指す起業家に対し、事業計画などを評価して金融機関と一体となって支援したところ、今年2月の初回相談から、9月には1号店オープンというスピード支援となった。

イベント支援や創業塾もスタート

 支援業務は窓口相談だけにとどまらない。中野氏は、昨年から地元新聞社が主催する「Made in北海道」という東京での販売イベントと連携し、北海道産の食材・食品や工芸品を首都圏で拡販しようとする事業者の支援を始めた。時間とコストに制約がある小規模事業者を考慮し、人手がかからない委託販売の手法をとる。今年は前回より規模を約5倍、期間も2週間から1カ月間に拡大し、11月13日から東京・池袋で開催する。中野氏は「今回は参加者に対し、いかに売るか、売るためには何を作るか、さらに出展後の対応までを支援し、経営者のモチベーションを上げたい」と話す。
 創業支援にも乗り出した。地元金融機関と組んで、コーディネーターが講師陣を務める約3カ月間、全6回の創業支援塾を10月からスタートさせた。
 中野氏は今後について「連携先をさらに広げて出前相談会を拡大したい」とする。出前相談会は今年度に入り、8月までで20回と、前年度と同等に達しているが、小規模事業者らは相談に行く時間もないケースが多いため、支援機関との連携機会を可能な限り増やし、オール北海道の支援体制を構築する考えだ。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年11月1日発行 第1155号