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【高知県】リピーター率向上を重視

探訪よろず支援拠点 頼りになる相談所の素顔

寄り添う支援で満足度高める
高知県よろず支援拠点 【所在地】高知県産業振興センター内 【コーディネーター】小松宗二氏 【サブコーディネーター】8人 【平成26年度実績】相談対応件数1709件、来訪相談者数983者

 

山の国で「田舎型よろず支援」

小松氏(左)と峠氏
コーディネーターの小松氏(左)とサブコーディネーターの峠篤士氏

 太平洋に沿い東西に広がる高知県は“海の国”をイメージしがちだ。ところが森林面積割合をみると全国1位であり、実は緑に恵まれた“山の国”なのである。可住地割合は同47位、事業所数は同45位で、中小企業・小規模事業者数は約4万社と少ない。その多くは農林水産加工などを営む小規模事業者が占めている(数値は総務省など各種調査)。
 この県勢のもとで、よろず支援拠点の存在を伝え、遠方にある郡部にも手を届かせるには、独自の手法と戦略が不可欠。高知県よろず支援拠点コーディネーターの小松宗二氏(61歳)は、自ら編み出した手法を「田舎型よろず支援」と称する。
 「特別なことではなく、なりふり構わない猪突猛進型と言えるかもしれない。広大なエリアに中小企業が点在している中で、相談件数を一定規模まで高めるには、できることは何でもやる考え方だ。自分自身はもちろんサブコーディネーターの人脈も駆使し、電話作戦も展開して、よろず支援拠点を知ってもらうことに注力。地元メディアを活用し、必ず役に立つ相談所であることをアピールした。そのほか商工会、金融機関など支援機関との連携など、考えられるあらゆることを実施した」という。

元気になって帰ってもらう

 “本当に役に立つのか”が相談に訪れる経営者たちの関心事だ。口先だけのアドバイスを求めに来る人はいない。多様な相談内容に対応できる専門スタッフを置き、適切な解決策まで導かなければ、相談者からの信頼は得られない。
 その中で小松氏が重視するのはリピーター率の向上だ。昨年度相談者の約7割はリピーターで占められていたほど。なぜそこまでリピーターにこだわったのか。それは相談に来た経営者たちが2度、3度と足を運んでくるのは、課題解決に“役に立つ”と判断したから。相談の入口から出口まで一貫支援する姿勢、寄り添うような支援がリピーター率を押し上げる結果につながっている。その展開を可能にしたのは、小松氏の豊富な経験があったからともいえる。
 36年間にわたる県庁勤務では、商工振興をはじめ鉱工業、農政など、県内のあらゆる産業に携わってきた。さらに中小企業支援にかける情熱も人一倍強い。「ハンズオン支援を通し、企業が成長する過程で味わう満足感と達成感を経験した。私の中小企業支援の原点だ」と強調する。
 ずっと寄り添うように支援することで「元気になって帰ってもらう」こと。よろず支援だからできる取り組みだという。

相談者の強みを見つけ出す

 昨年度は、経営再建から事業譲渡へ切り替えで自己破産を回避した支援や、効果的な広報展開を指導し売上拡大につなげた実績などがある。とくに人口が減少する高知では、消費関連の製造業や卸・小売業からの相談件数が多い。「相談者の強みを見つけ出すこと、それを磨く方法を考えていく」ことから始めるのが小松流だ。「商売が成り立つ源泉が必ずある。引き出すポイントを掴めばうまくいく」という。
 それでもまずは、相談に来てもらうことが先決になる。8人のサブコーディネーターたちと協力し、よろず拠点内の相談スペースで5人程度のミニセミナーを開催する。テーマは「POP」「通販」「集客」など、聞いたその日から役立つ内容を用意している。
 課題でもある郡部への取り組みは、商工会議所、商工会、市などの施設内にサテライト拠点を開設。ここでも国の支援策などを解説するセミナーを開催し、よろず支援の認知度向上と相談件数を増やす取り組みを行う。
 県内全域で一定レベルの相談ができる体制をつくることが、よろず支援の目的のひとつでもあるはず。支援機関との連携などを含め認知度アップを図り、来訪者を増やし、専門性の高いスタッフで対応する。そこで経営者が相談に値する“お値打ち感”があると感じてもらえるかどうか。
 よろず支援拠点は、バランス感覚に優れたコーディネーターの力が反映される場といえよう。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年10月1日発行 第1153号