【茨城県】効率を意識し活動

探訪よろず支援拠点 頼りになる相談所の素顔

多士済々のプロコン集団
茨城県よろず支援拠点 【所在地】茨城県中小企業振興公社内 【コーディネーター】宮田貞夫氏 【サブコーディネーター】9人 【平成26年度実績】相談対応件数3342件、来訪相談者数1011者

 

よろずは「コンサルタント冥利に尽きる」

宮田コーディネーター
宮田コーディネーター

 「支援すべき人を支援すべき時にいつでも支援できる。これは画期的なことで、“よろず”は我々に力を与えてくれた」
 JR水戸駅から徒歩3分の茨城県中小企業振興公社内にある「茨城県よろず支援拠点」。コーディネーターの宮田貞夫氏(57歳)は、今の仕事が好きでたまらないといった表情で目を細める。
 宮田氏は大手証券会社にロンドン駐在を含めて約20年間勤務したあと家庭の事情で帰郷・独立し、コンサルティング会社を営むようになったプロの経営コンサルタントだ。
 よろず支援拠点だと、そうしたいわゆる“プロコン”が、直接、中小企業・小規模事業者の経営相談に応じ、「求められれば土日でも夜中でも出動できる」というわけだ。自分の判断で思う存分支援できるため、「コンサルタント冥利に尽きる」と語る。
 そんな宮田氏が率いる茨城県よろず支援拠点の昨年度(平成26年6月〜27年3月)の相談対応件数は3342件と全国トップクラス。秘訣の一つは「効率」を心掛けて行動することだという。
 商工会議所や金融機関などでの出張相談に積極的に取り組むほか、各種セミナーの講師を依頼された時は必ず個別相談会をセットしてもらう。金融機関の顧客が相手のときは、一軒一軒訪問するのではなく、金融機関の支店に相談者を集めてもらうといった工夫だ。インターネットテレビ電話のスカイプも活用している。

スタッフ全員がプロコン

 「当初は経営相談に“効率”という言葉は馴染まないとも思ったが、茨城県全体を担当するためには必要なことだったし、お客さまの満足度に影響することもなかった」と振り返る。ちなみに、茨城県よろず支援拠点の昨年度の相談者満足度は87・4%と、全国平均の84・4%を上回っている。
 相談対応件数の増大に伴い、スタッフも拡充。設立当初、5人でスタートしたサブコーディネーターは現在9人で、「スタッフ全員がプロコンというのが茨城の特徴」(宮田氏)だ。県内でも著名な事業再生のプロ、元編集記者の中小企業診断士で創業支援が得意な女性、ITコーディネーター関連団体のトップ、大企業からの億単位の仕事を中小企業が理解できる図面に引き直したうえで橋渡しする総合電機メーカー出身の技術者等々、実に多士済々だ。
 第1四半期はさまざまな補助金の申請期日があり、それに関連した相談が多く寄せられた。宮田氏らスタッフも「補助金を活用して中小企業者の活性化につなげるという使命感を持って取り組んでいる」という。最近の補助金制度は、申請事業者が新しいビジネスモデルに取り組むことを求められるケースが多いので、単に申請手続きを手伝うだけではなく、ビジネスモデルの考案・確立を支援することが大事な仕事になるそうだ。

勉強会開催や金融機関との連携も

 専門家を派遣するケースも多い。例えば、婦人服販売店を県内にチェーン展開しているA社は、メーン商品の高級婦人服ブランドについて、顧客から「ブランドのテーストは好きだが、今一つ着たい服がない」と指摘されて悩んでいた。そこで、中小企業庁の「地域中小企業のシニア人材確保・定着支援事業」を活用。シニア人材の中から優秀なアパレル専門家を派遣してもらい、その助言を得て、A社は同ブランドのテーストを生かしたPB(プライベートブランド)商品の開発に着手した。
 このPB商品は従来のブランドメーカーに「別注品」として製造してもらうので、同メーカーからも大いに歓迎されているという。この秋には新商品が店頭に並ぶ予定だ。
 毎月1回、よろずのスタッフ全員が集まる定例会議では、「相談者の方を向いた伴走支援になっているか」を確認する。今年7月の同会議からは、茨城県信用保証協会の職員を招いての勉強会を始めた。「協会の世話になる入口と出口の部分で債務者が幸せになれるやり方を探る」(宮田氏)ためだ。
 また、8月には県内の金融機関と連携協定を締結。高度化・複雑化する中小企業への支援に的確に対応していく考えでいる。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年9月1日発行 第1151号