【岡山県】まず、じっくりと聴く

探訪よろず支援拠点 頼りになる相談所の素顔

「支援の見える化」推進へ
岡山県よろず支援拠点 【所在地】岡山県産業振興財団内 【コーディネーター】鈴鹿和彦氏 【サブコーディネーター】9人 【平成26年度実績】相談対応件数3548件、来訪相談者数2047者

 

対応件数全国1位

鈴鹿コーディネーター
よろず支援拠点の看板の前に立つ鈴鹿コーディネーター

 岡山県経済を事業所数、製造品出荷額、就業率など各種統計からみると、いずれも全国20位前後とほぼ真ん中。人口、面積も同じだ。2次産業が多く、3次産業が少ない。飛び抜けたことがない半面、全国平均を大きく下回るものもない。
 そのような地域性の中で、「岡山県よろず支援拠点」は昨年度実績で相談対応件数、来訪相談者数ともに全国最多を達成した。相談者満足度も92・8%と高い数値となっている。
 全国1位の成績について、鈴鹿和彦コーディネーター(54歳)は「県内6万社のうち相談に来訪して頂いた方々は約2000者に過ぎず、1割にも満たない。経営の課題解決に手を差し伸べなければいけない経営者は多いはず。もっと存在を知ってもらい、気軽に立ち寄ってもらえる経営相談所にしていかなくてはいけない」と、ほとんど意に介さない。

人脈とSNSで情報発信

相談の様子
来訪者の話を傾聴することが相談の第一歩

 鈴鹿氏は岡山県庁の出身で、中小企業診断士、特定社会保険労務士、行政書士などの資格を活用し、多様な相談に対応する。さらに生産性向上、販売、財務、IT(情報技術)など9人の専門家たちがサブコーディネーターとなり、中小企業・小規模事業者を支援する体制を整えている。
 強みとして挙げられるのは、鈴鹿氏が県庁時代に培った商工会議所、商工会など支援機関との人的関係の深さだ。「すべてとは言えないが、商工会議所青年部の会員など若手経営者への周知はできている。そこからの紹介などで来訪する相談者も増えてきた」そうで、今年度は口コミによる相談者が増え相談者数は月300者を超える状況だ。
 このほか、金融機関の支店向けの説明や月1回開催するセミナーなどを通し、着実によろず支援拠点の告知を行ってきた。とくにセミナーや補助金などの情報を知らせるためにSNS(インターネットの交流サイト)を利用した情報発信も行っており、「寝る暇もない」状態という。
 支援拠点は岡山市街から離れているため、相談者の利便性を考えてJR岡山駅の近くにサテライトオフィスを構えているほか、「出前よろず支援拠点」を月1回設け、商工会議所などの協力を得て県内11カ所で実施する。「1時間程度の相談に、それ以上の時間をかけて来てもらうのは非効率だ。相談者の近くに行くのも支援のひとつ」と言い切る。

傾聴を重視

 特徴的な取り組みとして挙げられる事例も多い。家屋などの解体業を営んでいる30代の経営者から、業績が順調で社員を増やしたものの売り上げが伸びない、という相談を受けた。鈴鹿氏は「解体の際に捨てる木材をチップにしてストーブ用の燃料などに加工してみてはどうか」とアイデアを提供した。結果はうまくいき、ものづくり補助金を獲得するとともに、他の産廃を使い堆肥づくりにも挑戦。産廃の処理料金が減り、新たな収入源に結び付くはずだと考えている。
 また、物流の代行サービスを行う企業の経営相談では経済産業省の「ロボット導入FS補助事業」を紹介し、古着の仕分けをロボットにさせることを提案。省力化につなげていくこととしている。
 相談内容はまちまちだが、「漠然と不安を訴える経営者が多い。じっくりと話を聞き、不安の元を見つけ出すのが最初の仕事。課題が抽出できれば、打つ手は必ずある」と相談時の傾聴を重視する。支援が成功して喜ばれる時の達成感は格別。「やりがいを感じ、次へのエネルギーになる」という。
 今後の展開では「支援の見える化」を推進していく方針。よろず支援拠点の存在を県内すべての企業に知ってもらうには、支援事例などの情報を広く発信していく必要があるからだ。そのための体系づくりを急ぎたいとしている。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年8月1日発行 第1149号