第6回 伝統食・昆布の常識打ち破る

小規模事業者の未来照らす 四国サイコーダイガクの挑戦
脇役から意味あるトッピング商品へ
◆四国サイコーダイガクとは◆
四国の地域資源を生かした新商品・新サービスを開発して新たなビジネスを創出し地域経済活性化を目指す目的で、中小機構四国本部が平成21年5月に創設。毎年度、中小企業、農林水産事業者などを公募し、外部専門家らによる講習や中小機構専門家による個別サポートなどを約半年間にわたって実施。年度末に成果発表会を開いている。
 

常識を破るために解釈の仕方を変える

泉谷社長
昆布の常識に挑戦し始めた泉谷社長

 おぼろ昆布といえば、福井県敦賀市が有名だが、高知県の西部、宿毛市に若い職人たちを抱える昆布加工メーカーが存在する。30代の若い経営者が代表取締役を務める泉利昆布海産だ。同社の泉谷伸司社長は、取扱商品である昆布に息づく伝統とその奥深さに対し、誰よりも深い敬意を表している人物の一人だ。実際に日本のだし文化の価値を次世代へ伝えるための食育活動にも取り組んでいる。
 しかし、消費者の目線で考えた時、伝統が購買へとつながらない現実にも直面していた。このような状況下、昆布=伝統食という現状から、おぼろ昆布は現代人の生活をどう豊かにできるか、その答えを探すために四国サイコーダイガクへの参加を決めた。
 2月6日に行われた四国サイコーダイガクの6回目の講義は、ブランドコンセプトに沿った商品を生み出すための発想法がテーマだった。講師が、常識を破る発想を生み出すためには解釈の仕方を変えてみる方法があると具体例を交えて紹介した際、泉谷社長にある発想が浮かんだ。

ターゲットは子供を持つ主婦層

 「おぼろ昆布は伝統食」という解釈を変え、明確な食感を楽しめ、栄養素に富んだ意味あるトッピング商品として打ち出す発想だ。消費者として想定している子供を持つ主婦層に、トッピングという少しの工夫で食感や見栄えなどに違いを出すことができ、しかも家族の健康にもプラスの効果がある商品として訴求できる。共働き世代が増え、家事にかけられる時間が減っている主婦の目を昆布に向けるきっかけになる、と考えた。
 現在、泉谷社長は、「飾りだけじゃない、意味のあるトッピングを」というコンセプトのもと、伝統食の枠組みを飛び出したおぼろ昆布の営業に励んでいる。おぼろ昆布をサラダやパスタなどの総菜にトッピングすることにより、スーパーなどの売り先の利益率も上がるような提案を行っている。
 “伝統のための伝統”は淘汰される現代において、伝統食の解釈や価値のとらえ方を変え、挑戦を続ける泉谷社長。同社の取り組みがスーパーの乾物売り場に足を運ぶ消費者を増やし、結果として健やかな生活を手にできる子供たちが増えることを期待したい。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年4月1日発行 第1141号