第5回 高齢化、中山間地域を武器に

小規模事業者の未来照らす 四国サイコーダイガクの挑戦
ファン作りへの関門を越えろ
◆四国サイコーダイガクとは◆
四国の地域資源を生かした新商品・新サービスを開発して新たなビジネスを創出し地域経済活性化を目指す目的で、中小機構四国本部が平成21年5月に創設。毎年度、中小企業、農林水産事業者などを公募し、外部専門家らによる講習や中小機構専門家による個別サポートなどを約半年間にわたって実施。年度末に成果発表会を開いている。
 

付加価値を探りに四国サイコーダイガクへ

百姓百品の生産農家
新鮮な野菜販売にこだわる百姓百品の生産農家

 四国山地の支脈に囲まれた愛媛県西予市野村町。ここは高齢化が進んだ典型的な中山間地域だ。農業が盛んなこの地域の農家の平均年齢は60歳を超える。加えて、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加による国内農業への影響も叫ばれる中でも、「野村町の農家からは悲壮感は感じられない」。こう話すのは、同町に所在する百姓百品の西岡真人事務局長だ。
 同社は約500にも上る農家から農産物や加工品を毎朝集荷し、その日のうちに自社がテナントとして出店している松山市内のコープ等へ配送し販売している。新鮮で安いなど、その評価は高いが、テナント出店している同店舗内にも青果コーナーがあるにもかかわらず、なぜ自社が取り扱っている商品が選ばれるのか、その理由を探し求めていた。そこに自社がブランド化できる付加価値が存在するはずだと考え、四国サイコーダイガクへの参加を決めた。

農家の個性は中山間地域の宝

 1月13日に行われた四国サイコーダイガクの5回目の講義では、ブランドのファンを作る上で課題となっている点を明らかにする手法を学ぶ内容だった。個客の心理状態や身体の動きから課題を洗い出すこの手法を通し、西岡氏が気付いたことがある。同社の売り場では、目や手を動かしている顧客が非常に多いことだ。これは、農家の商品が入れられているコンテナを並べる形で売り場が構成されているため、何が売られているか一見したところでは分からないためだ。
 顧客からは、「宝探しのような感覚を味わえる」「ある農家さんが作ったものは、すべて口に合う」などの声を引き出すこともできた。商品に息づいている農家一人一人の個性に顧客が引きつけられていることも重要な発見だった。西岡氏は野菜の生産などについて、それぞれ一芸がある農家の個性を中山間地域の“宝”と考えた。その価値を売り場で伝えることがブランドのファンを作ることにつながると考え、中小機構の専門家とともに挑戦を始めた。
 中山間地域で長年培ってきた高齢農家の手仕事、この価値を都市部で伝え、経済が循環する仕組みを作ることができれば、中山間地域を振興する新たなモデルとなり得るかもしれない。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年3月1日発行 第1139号