第4回 小規模事業者だからこそ商機

小規模事業者の未来照らす 四国サイコーダイガクの挑戦
顧客の心を動かすスイッチを探せ
◆四国サイコーダイガクとは◆
四国の地域資源を生かした新商品・新サービスを開発して新たなビジネスを創出し地域経済活性化を目指す目的で、中小機構四国本部が平成21年5月に創設。毎年度、中小企業、農林水産事業者などを公募し、外部専門家らによる講習や中小機構専門家による個別サポートなどを約半年間にわたって実施。年度末に成果発表会を開いている。
 

講師の言葉で行動を起こす

 「顧客ニーズに応えてモノが売れるのは、顧客がモノを欲している場合だ。モノや情報があふれた現代において、顧客が欲しているのはモノではなく、モノを介して得られる体験の豊かさであるケースが多い。この体験がブランドの価値になる。しかし、自社が提供する体験に向けて人の心を動かすためには、個々人の心を読み解く必要があり、それは机の上では見つからない」
 昨年12月12日に行われた、四国サイコーダイガクの4回目の講義で、講師を務めたネイキッド・コミュニケーションズの吉田透氏はこう語った。吉田氏はこう続ける。「顧客は無意識にモノを選択し、後付けで購入した理由を作る。その意識していない感情を理解するには、相手の立場になりきり、食品であれば実際に使われている家庭へ行くくらいの熱意が必要だ」
 吉田氏の言葉を聞き、今の時代は顧客一人一人の顔が見える小規模事業者にこそ、商機がある時代だと考えた参加者がいた。愛媛県西条市で玄米おむすびなどを製造・販売している(有)かんこめの菅圭一郎代表取締役だ。

お米離れしている顧客を振り向かせる挑戦

かんこめの菅社長
10年ほど前からECサイトで販売に取り組んでいるかんこめの菅社長

 創業120年にもなる同社が扱う米商品は、保存方法から、モミ取り、色彩選別、洗米、浸水及び炊飯に至るまで、米屋として長年培ってきた工夫を凝らしている。新たな取り組みにも余念がなく、10年ほど前から始めたECサイトでの玄米おむすびや玄米パンなどの累計出荷個数は200万個に迫っている。しかし、新たな取り組みを行い、顧客ニーズに応じた品質が高い商品を提供し続けても、売り上げが期待したほど伸びないという状況にあった。
 吉田氏の講義を受け、菅社長は家庭の食卓に実際に伺う取り組みを始めた。お米に対する意識やライフスタイルの変化を見つめ直し、お米離れをしている顧客に提供する「体験」と購買へと導く心の「スイッチ」がどこにあるのか探すためだ。 120年の歴史を通じて培った米商品の価値に対し、高い評価を受けつつある同社。その価値をまだ見ぬ多くの顧客に届けるべく、顧客を振り向かせる挑戦は続く。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年2月1日発行 第1137号