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第3回 農園のブランド化で新たな可能性探る

小規模事業者の未来照らす 四国サイコーダイガクの挑戦
上場会社のSEから農業経営者に
◆四国サイコーダイガクとは◆
四国の地域資源を生かした新商品・新サービスを開発して新たなビジネスを創出し地域経済活性化を目指す目的で、中小機構四国本部が平成21年5月に創設。毎年度、中小企業、農林水産事業者などを公募し、外部専門家らによる講習や中小機構専門家による個別サポートなどを約半年間にわたって実施。年度末に成果発表会を開いている。
 

家業を継ぐきっかけとなった出来事は

  昨年12月8日、東京・新宿の老舗果物店、タカノフルーツパーラー新宿本店で新商品「あまおとめ苺パフェ」の発表が行われた。首都圏の女性に人気が高いこの店舗の新商品には、柑橘王国である愛媛県の苺農家「あかまつ農園」(鬼北町)の苺が使われている。
 同農園の代表、赤松拓也氏の経歴は実に異色だ。10年以上、上場会社のシステムエンジニア(SE)として大規模システムの構築や保守などを行っていた。赤松氏が家業を継いだのは3年前、きっかけは夏休みに苺の販売を手伝ったことだったと言う。「お客さんとのやり取りを通し、世の中にどのような幸せや価値を提供しているのか実感できる」。これが愛媛にUターンする契機になったと語る。
 就農後、栽培から出荷までにわずか2回しか苺に触れず、完熟で出荷している点が自身の農園の特徴だとすぐに気付いたという。赤松氏は積極的な営業活動を通し、これらの点を訴求することにより、売り上げを年々伸ばしている。ただ、生産している苺の価値をまだ伝えきれていないと考え、四国サイコーダイガクへの応募を決意した。

四国サイコーダイガクの講師の言葉で強化した取り組み

あかまつ農園の赤松代表
自社の苺製品を前にするあかまつ農園の赤松代表

 ブランド化の鍵となる自社の強みや独自資源等を導き出すことを目的とした四国サイコーダイガクの昨年11月20日行われた3回目の講義。「独自資源を将来蓄積させるためには、今から取り組みを始める必要がある」。この講師の言葉を受けて、赤松氏が強化した取り組みがある。苺の品質・供給量を維持・向上させるため、苺の生産に関するデータをより詳細に収集し、生産に生かす取り組みだ。首都圏の有名店にも取り扱われ、その付加価値が見え始めたあかまつ農園は、中小機構の専門家派遣も受けながら、ブランド化への途についた。
 それを支えるのは、誠実に苺作りを続けてきた伝統と、元システムエンジニアとしての経験を生かした緻密な管理だ。ブランド価値を支える取り組みに余念がないあかまつ農園に、農業の新たな可能性を見た気がした。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年1月1日発行 第1135号