第1回 ブランドづくりが鍵

小規模事業者の未来照らす 四国サイコーダイガクの挑戦
老舗企業の後継者ら
「リブランド」に意欲
◆四国サイコーダイガクとは◆
四国の地域資源を生かした新商品・新サービスを開発して新たなビジネスを創出し地域経済活性化を目指す目的で、中小機構四国本部が平成21年5月に創設。毎年度、中小企業、農林水産事業者などを公募し、外部専門家らによる講習や中小機構専門家による個別サポートなどを約半年間にわたって実施。年度末に成果発表会を開いている。
 

独自の付加価値をブランドに

第1回の講義に聞き入る受講者ら
第1回の講義に聞き入る受講者ら

 「平成23年に長年続く実家の農業を継ぐために愛媛に戻り、高付加価値のイチゴを生産している。講義に参加できてワクワクしており、ぜひブランドづくりのノウハウを吸収したい」(あかまつ農園代表の赤松拓也氏)
 「江戸時代から羊羹(ようかん)を製造しており、昨年に新ブランドを立ち上げた。講義を通してブランドを確立したい」(中野本舗専務取締役の中野恵太氏)
 9月30日、同ダイガク受講者に加え、四国経済産業局、地元支援機関関係者らが参加して松山市の松山東雲女子大学・松山東雲短期大学で開かれた同ダイガク開講式で、受講者は口々に講義への期待感を表明した。挨拶した中小機構の中島龍三郎四国本部長も「自社のビジネスを見つめ直し、チャンスをつかんでほしい」とエールを送った。 
 今年度の同ダイガク受講者は愛媛県から14事業者、香川、高知県から各1事業者が参加しており、食品関連企業の経営者層が大半となる。来年2月まで月1回のペースで外部の専門家からブランディングについて計6回の講義を受けるほか、選考された6〜8事業者は専門家による個別支援を受け、3月には参加者の活動報告会も行う。

モノやサービスを欲していない人たちの心理へどう訴えるか

 中小機構四国が今年度のテーマにブランディングを選んだのは、時代の変化と四国の小規模事業者等が抱える課題に注目したためだ。現代はモノやサービスがあふれ、それを伝える媒体も増え、さらに技術の進歩により明確な機能の差がつけにくくなっている。加えて、地域の事業者が扱っているモノの中には、乾物などのように、そもそも普段使いをする習慣が薄れてきているものも多い。そのため、モノやサービスを欲していない人たちの心理にどう訴え、購買へと導くかを徹底的に突き詰めなければ企業の維持・発展は難しい局面にある。こうした中で四国の企業はこれまで、コンセプトや「個客」の心理を突き詰めず、デザイン偏重の商品開発を行う傾向にあり、結果として売り上げが伸び悩むケースが多かった。
 これを打破するには、自社のみが提供できる付加価値を明確にし、それを適切な手段で伝えるとともに、「個客」の心を購買へと導く仕掛けを追求するなどブランディングが不可欠と考えたからだ。

強いブランドに育つ素質は

棟方大学長
講演する棟方・松山東雲大学長

 開講式の後に行われた第1回の講義では、熊本県の人気キャラクター「クマもん」の生みの親でもある松山東雲女子大学・松山東雲短期大学の棟方信彦学長が講演し、ブランドづくりが企業の成長に欠かせないことを強調した。
 30年以上にわたり電通で商品開発や広告販促企画などを担当した棟方氏は、「ブランドとは、作り手と買い手の伝達で、顧客と長期的関係を築くもの」と指摘。有名ブランドの具体例を挙げながら、「強いブランドは精神に訴えており、消費者は製品ではなくブランドを買う」などと説明。さらに、「オンリーワンかナンバーワンの事実が、強いブランドに育つ素質」としたうえで、「地域全体のイメージをブランド化し、それと呼応した個別ブランドを確立することが重要」などと、個別企業だけでなく、地域全体でブランディングを考えるべきだと述べた。
 経営者層が大半を占める受講者は、講義の内容を自身の経営に生かすべく、真剣な表情で耳を傾けていた。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成26年11月1日発行 第1131号