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第18回 次世代託す人材を派遣【人吉校/経営管理者養成コース】

人材育成の現場から 中小企業大学校受講者の横顔

 新産住拓株式会社【事業内容】注文住宅建築、増改築、不動産仲介、アパート管理、木材加工、建材販売
【創業】昭和39(1964)年
【資本金】1億7,600万円
【従業員】96人
 経営管理者養成コース(人吉校) 経営幹部、後継者、管理者として、経営に関する基礎的な理論・実務的知識を体系的に習得し、自己革新と自社の経営革新を実現するために必要な総合的な経営マネジメント能力を身に付け、企業経営の中枢を担う人材に育成する。 毎月4日間連続の全日制研修を7月から12月まで合計24日間(180時間)、少人数による講義と演習指導を実施する。

代表取締役社長 小山 英文氏

研修の成果が新文化を醸成

 

創業精神は「会社はお客様のためにある」

 「当社の存在意義は創業精神の実践にあり、これを愚直に守り続ける」と言い切るのは、熊本県で注文住宅の建築などを手掛ける新産住拓の小山英文代表取締役社長だ。創業の精神とは「会社はお客様のためにあり、住まいづくりを通して地域社会に貢献する」こと。英文氏の父親であり創業者の故小山幸治氏の信念が込められた文言である。
 1964年に宅地造成・販売の新産土地を設立。1973年に住宅事業を始めた。お客様にとって最良の住まいを開拓し続ける、との思いを込め1976年に社名を現在の「新産住拓」に変更した。

創業精神を守るために人吉校へ

人吉校での演習風景
人吉校での演習風景

 お客様のために行った具体例は枚挙に暇がないが、業界の常識を覆した土地の定価販売や将来を見据えた高齢者配慮型住宅のモデルハウス建築、事前に工場で材料加工するプレカット、木材流通産直システムなど、全国に先駆けて取り組んできたことは特筆できる。地域に貢献すること、損得より先に善悪を考えることを重視し続けた結果でもある。
 この精神を後継者となった英文氏も迷うことなく受け継ぐ。ただ、これまでは創業者の強いリーダーシップとトップダウンが大きな推進力となっていたが、今は事情が違う。
 「ボトムアップしなければ、創業の精神を継続していけない。そのためには人材育成しかない」との考えから、2年前に中小企業大学校人吉校への研修派遣を開始した。

社内の雰囲気が確実に変化

小山社長、川本部長、植松部長
本社ショールームで (右から)小山社長、川本部長、植松部長

 次の世代を支える40代前後の中堅社員から2人を選び、経営管理者養成コース17期へ送り出す。研修終了後は、短中長期の3段階で何ができるかを試案し、まずは短期間で業務に反映することを要求する。
 人吉校で半年間学んだ経営企画部の植松豊部長は「知識の消化に追われながら、同じ課題を共有する仲間との交流など充実した半年だった。学んだことを事業戦略に反映することもできた」と成果を語る。設計デザイン部の川本哲也部長も「実務とのリンクを意識して臨んだ。リーダーシップが養えたと感じている」と現場で生きる研修であったことを強調する。
 同社では、この年を研修1期と位置付け、2期目となる昨年度は女性社員を含む23人の社員が人吉校の研修を受講している。これまでOJT中心の社員教育から外部研修へ比重を高めることで、新たな気づきや刺激を受けて社内の雰囲気が確実に変化してきたという。研修参加に自ら手を上げる社員も出るなど、積極的な姿勢が見え始めている。

学ぶ姿勢が新しい企業文化を創る

 「新たな創業の気概をもっている。変えてはいけない創業の精神がある一方で、変えなければいけない組織運営がある。人吉校の研修を活用することで可能になった」と小山社長は、社員が学ぶ姿勢をもつことから新しい企業文化を創っていく考え方を語る。
 現在、2020年にどのような企業になるべきか、課長以上で構成するメンバーで中期計画を策定中。目標は働きやすい会社ナンバー1になることで、そのためには何をすべきか具体的な行動計画作りに入っている。社員が会社の将来の姿を描き、やるべきことを考える流れが出来上がりつつある。
 熊本で地域に根差した展開を続けるのが新産住拓の考え。そこに創業の精神を守り、学ぶ企業風土が備わることで、全国規模のハウスメーカーと対等に戦える、強い企業が存続できる。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年7月1日発行 第1147号