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第13回 親子2代にわたり受講【東京校/経営後継者研修】

人材育成の現場から 中小企業大学校受講者の横顔

 株式会社トーコン【事業内容】物流業務請負(保管・荷役・包装・流通加工)、輸出梱包など
【創業】昭和38(1963)年
【資本金】5,000万円
【従業員】220人(パート社員含む)
 経営後継者研修(東京校) 経営後継者を対象にした10カ月間全日制の研修。35年の歴史があり、これまでに約1100人の受講修了者を輩出している。経営後継者に必要な基本的能力や知識を、徹底した自社分析を通じて実践的に習得できる。

代表取締役社長 櫻井 誠健氏

社員が誇り持てる会社へ

 

経営後継者研修 第1期生(昭和54年度)

 物流業務請負、輸出梱包などを手掛けるトーコン(東京都大田区)の櫻井誠健(せいけん)代表取締役社長は、中小企業大学校東京校の「経営後継者研修」の第1期(昭和54年度)修了生だ。「経営後継者」という同じ境遇の若者たちが全国から集まり、長期間寝食を共にしながら切磋琢磨する研修だけに、同期仲間との結束は固く、「1期生はそろって第一線の経営者になっているが、会社が倒産した人は1人もいない」と胸を張る。その1期生たちも、今や次期後継者へのバトンタッチが経営課題となる時期にさしかかっているようで、同社も例外ではないという。

自らの意思で父の会社へ入社、42歳で社長に就任

OBと現役受講者合同の研修・交流会
OBと現役受講者合同の研修・交流会も毎年開かれている

 トーコンは昭和38年に櫻井社長の父親が創業した。父親は「自分の好きな道を進め」と、決して櫻井社長を後継者として拘束しようとはしなかった。しかし、櫻井氏は「父の会社で働きたいという自らの意思」で大学卒業と同時に入社。入社後間もなく、父親から同研修を勧められた。
 当時の経営後継者研修は期間が1年だった。受講生用の寮がある東京都東大和市から校舎があった府中市まで通う毎日。帰路にはよく同期生と夜遅くまで懇親を深めた。ゼミナールの企業訪問で、訪問先の社長の迫力と声の大きさが自分の父親と重なったと、懐かしむ。
 研修修了後は輸出梱包の営業部門に配属され、同社発足以来最高の新規開拓実績を挙げる。昭和60年に取締役になり、赤字の関連子会社を黒字転換させるなどの活躍を経て平成11年10月に42歳でグループ中核企業であるトーコンの社長に就任。物流請負業務のみならず、輸・配送業務、さらにはプラスチック段ボール製品の企画・設計・製造・販売などへと事業を拡大してきている。

後継者として覚悟が醸成される10ヵ月間

 一昨年、経営後継者研修の第34期に二男の武海(たけうみ)氏を派遣した。自身と同じ受講体験をさせたかったのと、新事業の責任者としてマネジメント手法を学ばせたいとの思いからだ。具体的には▽経営学を体系的に学べる▽会社を承継するという意思が明確になり、覚悟が持てる▽同じ境遇の仲間が集まる―などの点を評価してのことだという。現在の研修期間は10カ月だが、櫻井社長は「後継者としての覚悟が醸成される期間として十分」と見る。修了後の武海氏に親や他人への感謝の気持ちが備わるなど、その成長ぶりを認めるからだ。もっとも、「現場を任せるまでにはまだまだで、周りとの連携が図れるようになるまでにはさらなる実務が必要だ」と強調する。
 櫻井社長自身も、同研修を通じて感謝の気持ちや経営者としての基礎を学び、引き出しをたくさん持てたことで、今の自分があると考えている。昨年7月の武海氏の受講修了時のゼミナール論文発表会に出席しての感想として、「早く成果を求めすぎだ。まずは社員の信頼を得ることが大切。時間はある。じっくりと取り組め」と、先輩経営者としてエールを送る。

会社は社員が幸せになるための道具

櫻井社長
「会社は社員が幸せになるための道具」と語る櫻井社長

 櫻井社長は、平成20年にトーコンの新経営理念【幸せづくり】を策定しており、「会社は社員が幸せになるための道具」と言い切る。同時に(1)一人一人が活き活きと輝く会社(2)息子・娘を入れたいと思える会社(3)つぶれない会社━というビジョンを掲げ、社員が誇りを持てる会社創りを行っている。
 その実現のためには、自主・自律した立派な社会人集団である必要があるとして、『社員の人財化教育』に力を注いでおり、中小企業の人材育成に多くのノウハウを持った「中小企業大学校に期待したい」と結んだ。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年2月1日発行 第1137号

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