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第11回 視野拡大こそ成長の糧【仙台校/新任管理者養成コース】

人材育成の現場から 中小企業大学校受講者の横顔

 株式会社岩手エッグデリカ【事業内容】味付ゆでたまご、
温泉たまごの製造販売
【創業】平成14(2002)年4月
【資本金】2,200万円
【従業員】70人
 新任管理者養成コース(仙台校) 新任管理者、予定管理者を対象として、マネージャーに求められる役割、職場の問題解決スキルについて学ぶ。
 管理者としての能力アップと自己啓発を図ることを狙いとして、コーチングスキルなどを始めとする人間関係能力の向上を目指した講義と演習を交えた研修を実施。人間的に信頼されるリーダーを目指す。

代表取締役 田村 昌則氏

技術は社内、知識は社外で学ぶ

 

鶏卵産業を守り、安全・安心な鶏卵を提供

 東北を代表する名山のひとつ、岩手山の東側に位置する岩手県八幡平市は、豊かな自然が人々を引きつける風光明媚な地域。この澄んだ空気の下で鶏卵の加工が行われている。
 日本の年間鶏卵消費量は、約400億個(2012年度「食料需給表」から算定)。それでも自給率は96%(重量ベース)あり、数少ない国際競争力をもつ食材である。
 この鶏卵産業を守り、安全・安心な蛋白源を提供し続けることを社是に掲げているのが八幡平市に本社を置く岩手エッグデリカだ。独自技術を用いて「味付ゆでたまご」と「温泉たまご」を北海道から沖縄まで、全都道府県へと出荷している。

殻付きで黄身まで味付ける独自の技術

 「農林水産省で食糧生産に携わっていた父の影響もあり迷わずに農業高校へ進み、アルバイト先だった養鶏場に請われ卒業とともに就職した。卵が大好きだから抵抗感もなかった」と代表取締役の田村昌則氏は、卵との関わりを語る。
 養鶏場経営の中心的な役割を担う一方で卵のすべてを学び42歳で独立。卵加工の工場を2002年に立ち上げた。創業当時の生産量は1日4000個、従業員数は6人だった。現在は1日10万個を生産するまでに成長し、従業員も70人に増えた。売上高は10億円に迫る規模に拡大した。
 同社が生産する「味付ゆでたまご」は、消費期限が製造日から12日間(要冷蔵)と長く、殻付き状態での味付けなど独自技術が光る。「湿度を保ちながら無菌状態で加工するのは難しいが、これで消費期間が延ばせる。殻付きで黄身まで味を染み込ませる技術は長年の経験と研究の成果」(田村氏)と語る。

どこへ行っても通用する人材を育てるために

仙台校での研修風景
講師との質疑応答、受講生間の討議が知識を深める(仙台校)

 卵加工には自信があるものの、管理や会社運営上の知識、コミュニケーション手法などは社内に閉じこもっていては学べない。これらが会社の成長につれ必要になる。つまり社員教育だ。
 「どこへ行っても通用する人材に育てることが基本。幅広い知識を身に付けてもらいたい。転職していく社員がいても、当社に勤め学んだことが財産だったと後で思ってもらえればいい。そのためには外に出て学び視野を広げることが必要」(田村氏)と強調する。
 当初は県や各種団体などのセミナーへ社員を派遣していた。これだけでは、知識は得るが実践に結びつきにくい印象があった。その後、中小企業大学校のカリキュラムを見て、社員を派遣した。「討議してくるので知識が身に付いてくる。帰ってくると目が輝いているし、異業種の人たちと寝食をともにするのも刺激になっている」(田村氏)という。

階層別研修としても大学校を活用

田村氏
「味付たまご」の製造に関わる知識以外は、仙台校で学ぶという田村氏

 仙台校への社員派遣は、一昨年から本格化し、今年度は14人が受講(下半期の受講者も含む)した。来年度は入社3年目の社員が多く「新任管理者養成コース」を中心に派遣する計画だ。「帰ってきてから読むレポートが楽しみ」だと田村氏は頬を緩ます。
 「味付ゆでたまご」と「温泉たまご」の需要はまだ拡大が見込まれる。社有地には工場増設の余地があり、当分の期間は増産する計画。同時に6次産業への展開にも力を入れていく方針だ。2004年、隣接地にサラダファームを設置。花の栽培やイチゴ生産のほか小動物を飼育して観光地的な展開も始め、2008年に分社化した。
 会社の成長に伴い社員採用も増え、新卒者の採用も始めた。今後ますます教育体制を拡充する必要が出ているという。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成26年11月1日発行 第1131号

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