中小機構について >  情報提供活動 >  中小企業施策普及紙「中小企業振興」 >  人材育成の現場から >  第10回 受講で得る知識と気づき【旭川校/経営トップセミナー】

第10回 受講で得る知識と気づき【旭川校/経営トップセミナー】

人材育成の現場から 中小企業大学校受講者の横顔

 株式会社ホリ【事業内容】菓子の製造販売
【創業】昭和22(1947)年4月
【資本金】4,000万円
【従業員】320人(うちパート130人)
 経営トップセミナー(旭川校) 持続的成長・発展には、ヒト・モノ・カネ・情報など経営資源の配分を効果的に行う環境(企業風土)づくりが重要となる。これを踏まえ、経営の方向を示す戦略の構築をねらいとして、組織の活力を引き出すマネジメント戦略を実行するための「トップの役割」を事例とディスカッションを通して考察する研修。

代表取締役 堀 安規良氏

学ぶ楽しさ、異業種交流も魅力

 

スイーツ激戦地で成功する背景には“開発力”と“社員力”

 北海道砂川市は、札幌と旭川のほぼ中間に位置する。周辺地域はかつて炭鉱で栄え、そこで働く人たちが“甘さ”を求めたことから和洋菓子メーカーが育ったという。現在も8社が競い合う“スイーツ激戦地”だ。
 その中の1社であるホリは、2006年「北海道エクセレントカンパニー表彰」の大賞を受賞、2013年には経済産業省「おもてなし経営企業選」、北海道庁「北海道産業人材育成企業知事表彰」に選出、今年は「日経トップリーダー・人づくり大賞」で最優秀賞を受賞するなど、北海道を代表する菓子メーカーの地位を築き上げている。着実に業績を拡大させてきた背景には「夕張メロンピュアゼリー」「とうきびチョコ」などヒット商品を生み出す開発力と、それを可能にさせた“社員力”を抜きには語れない。

社員たちの意欲こそがスイーツの“隠し味”

堀氏(中央)と女性社員
「働きやすい職場づくり」を旭川校で学んだという堀氏(中央)と女性社員

 「社員が抱く不満を見つけ解消すること。これは働きやすい職場づくりに不可欠な取り組みです。その考え方、手法を中小企業大学校で学びました。経営者として備えておくべき知識だけではなく、日々の業務では気が付かないこと、経営上の多くのヒントを得ました」と代表取締役社長の堀安規良氏は、十数年前に受講した旭川校での「経営トップセミナー」を振り返る。
 同じ材料を使いレシピ通りにお菓子をつくっても、必ず同じ味を出せるわけではない。食べた人の笑顔を思い浮かべながら努力する社員たちの意欲こそがスイーツの“隠し味”となる。それが評判を呼び、業績拡大へとつながる好循環ができあがる。
 そのために重視すべきは教育、というのが堀氏の持論だ。社員を大切にする気持ちから湧き出てくる発想なのだろう。それは70歳定年制、再雇用で76歳の社員がいることからも分かる。「永く勤めてほしい。考える力を養ってほしい。この会社で働けてよかった、と言ってもらえるようにしたい」(堀氏)と語る。

予習と報告義務、貪欲に学ぶ姿勢が社員力に

旭川校での研修風景
経験豊富な講師から学ぶ研修の受講風景(旭川校)

 旭川校へは、「製造現場のコストダウン」「女性中堅社員のパワーアップ講座」など95年以降だけで115回、70人の社員を派遣している。教育研修は予算化せず、派遣は強制しないのがホリの流儀。カリキュラムを見て自主参加が基本だという。
 受講前には、問題意識をもつため関連する本を読んでから臨むよう指導する。終了後は「勉強になりました」では終わらない。必ず実践に結び付けることが堀社長の考え方だ。役員会、商品開発会議などでの報告義務もある。このように貪欲に学ぶ姿勢が“社員力”を確実に向上させてきた。また、大学校での飲食をともにする宿泊は、異業種の人たちと出会える貴重な機会であり、将来の大きな財産になると積極的に大学校での宿泊も奨励する。

社員を大切にする姿勢が会社の原動力

 教育を重視する考え方から昨年、本社に隣接する場所に研修所を設置。毎月、外部講師を招いて社内勉強会も始めている。
 この取り組みが着実に売上高へ反映している。グループ会社である北菓楼のヒット商品「開拓おかき」の貢献もあり、2012年度には念願の100億円(連結)を突破。社員への“公約”とした正社員にはハワイ旅行、パート社員は東京ディズニーランドへの旅行をプレゼントした。
 社員を大事にする姿勢は、有形の労りだけでなく、教育という無形の財産を社員にもたらしている。それが会社を成長させる原動力となっていることは間違いない。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成26年10月1日発行 第1129号