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第8回 経営者目線での思考に変わる【直方校/経営管理者養成コース】

人材育成の現場から 中小企業大学校受講者の横顔

 共栄資源管理センター小郡【事業内容】小郡市委託一般廃棄物処理業、樹木粉砕収集車の製造販売、樹木チップ製造など
【設立】平成2(1990)年2月
【資本金】550万円
【従業員】約36人
 経営管理者養成コース(直方校) 経営管理者に必要な基礎知識から実践的な経営管理の手法までを体系的に学ぶコース。ヒューマンスキル、テクニカルスキルなど1回のテーマごとに4日間の研修を6回にわたって行う。自社の経営課題の解決や経営戦略の策定など、5〜6人程度の少人数によるゼミナール形式で4人の担当講師がきめ細かくアドバイスする。

代表取締役社長 野崎 千尋氏

学んだ11人の“宝物であり財産”

 

お客様に満足いただけるかは人で決まる

野崎社長
「人材育成は当社の最優先課題」と語る野崎社長

 「ヒト、モノ、カネなど経営資源の中で最も重要なのは人材の育成。企業としての付加価値を高めていくのは最終的にはヒト。それだけに社員教育は当社の最優先課題です」
 廃棄物処理事業を営む共栄資源管理センター小郡の野崎千尋代表取締役社長は、社内における人材育成の位置づけをこう強調する。「いかに良い事業内容でも、お客様に満足いただけるかは人で決まる」と、社員の意識改革に全力を傾注する。
 野崎社長が人材育成を重要視するきっかけは、“小郡方式”とも呼ばれ、全国に先駆けて一般ごみの分別収集業務を実施、事業基盤を確立した15年前のこと。「このまま安定した顧客層に頼った事業では、いずれ経営が行き詰まる」と、経営改革の必要性を考えてはじめていた。ふと目にとまったのが、新聞に掲載された中小企業大学校直方校の研修案内だった。

プロジェクトチームを結成、研修レポートを徹底的に議論

経営管理者養成コースの受講風景(直方校)
ゼミナール方式でより深い学習成果が(経営管理者養成コースでの研修風景)

 これが契機となり、平成11年の第13期経営管理者養成コースを受講することになる。将来的な経営の継続のためには、事業の新たなシーズの創出と多角化、経営革新を図り、同時に旧体質の社員の意識改革や組織の活性化などを盛り込んだ事業計画の策定、人材育成の手法を学ぶのが目的であった。
 6カ月間に及ぶ研修期間と並行して、社内プロジェクトチームを組織した。経営課題の整理、立てた事業戦略に基づく実行計画など、研修内容を社内に落とし込むのが狙い。若手幹部社員を中心に7人のチーム構成のもと、野崎社長の研修リポートをベースに事業課題を洗い出し、事業戦略の方向性を徹底して議論した。その中で生まれたのが3つの事業計画。
 1つが自社開発の木くずなどを堆肥化するための移動式樹木粉砕収集車「グリーンザウス」の全国展開、2つ目はIT(情報技術)を活用したネットワークの強化、そしてISO14000の認証取得。この時の方針が事業の屋台骨となり、現在の企業経営を支えてきた。

研修で使用した教材は今でも一番の宝物

 直方校ではすでに10を超す研修コースを受講している野崎社長だが、この時の経営管理者養成コースで特に記憶に残っていることがある。「それまで社員に責任を転嫁することもあったが、講師の話を聞き、責任はすべてトップにあると。自身の考え方が結果的に現状に留めさせていると強烈に思った。要は自分が変わらなければ会社は変わらない。このことに気づき、こころ打たれた」と述懐する。
 経営管理者養成コースには野崎社長をはじめ、これまでリーダーとなる11人が受講している。2年前に第25期の同研修を受けた蒲原展之サービスチームシニアは、「一社員ではなく、経営者目線での思考に変わった。今でも教材をバイブルのように見直して仕事に活用している。一番の宝物」と話す。担当するハウスクリーニング、庭木の維持管理、遺品整理など、子会社で展開する生活支援サービスに「学んだ財産で新事業を推進させたい」と語る。

全社員を対象とした独自の社内教育とそのねらい

 同社では社内教育として、管理職を対象とした「ビジネスカレッジ」、全社員を対象にした「ビジネススクール」がある。中期経営計画の策定などビジネスカレッジでの内容をビジネススクールにフィードバッグし、ベクトルを合わせ全社一丸で事業を推進させる効果を狙う。自社教育で足らないところを外部の研修を活用することにしている。中でも「直方校の研修を第一に優先している。講師の先生やカリキュラム、他の受講生との交流機会など内容が質的に高いうえ、費用の一部をキャリア形成助成金として申請できる」(野崎社長)ためで、基本的に社員の希望に沿う形で受講できるようにしている。
 中小機構に対しては「経営者、人事担当者向けの120%活用術、あるいは成功企業の事例など、経営者の生の話が聞ける機会を増やしてほしい」と要望する野崎社長、その学習意欲は旺盛そのものだ。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成26年2月1日発行 第1113号