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第6回 役員・社員が相次ぎ受講【関西校/工場管理者養成コース】

人材育成の現場から 中小企業大学校受講者の横顔

 フジ矢株式会社【事業内容】工具の企画・開発・製造
【創業】大正12(1923)年9月
【資本金】8500万円
【従業員】国内80人、海外85人
 工場管理者養成コース(関西校) 生産部門の管理者を対象とする3日間×6カ月(計18日間、108時間)の研修コース。(1)工場管理者の職務と基礎知識(2)生産管理の手法と実践のポイント(3)具体的な改善策の立案という3つのステップで、工場管理の基礎から応用までを体系的に学ぶことができる。
ゼミナールでの個別指導のもとで自社の「工場改革プラン」策定にも取り組む。

代表取締役社長 野崎 恭伸氏

「工場改革プラン」発表会に出席

 

役員と社員、同じ研修を受ける意味

 ものづくり中小企業の街、東大阪市に本社と工場を置くフジ矢は、ペンチ・ニッパーで国内シェアトップを誇る工具メーカーだ。平成18年度「IT経営百選」(経済産業省、情報処理推進機構共催)の最優秀企業賞を受賞し、翌平成19年には中小企業庁の「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれるなど、小粒ながらキラリと光る会社として知られる。
 そのフジ矢から、中小企業大学校関西校の「工場管理者養成コース」に昨年、今年と立て続けに2人ずつ役員や社員が送り込まれている。
 「社員らに同じ研修を受けさせることで、(生産現場の改善策などについて)共通の言語で話し合えるようになる」。代表取締役社長の野崎恭伸氏は、こう狙いを語る。

3日ずつ6ヶ月ロングランだからこその経験

「工場管理者養成コース」の受講風景
「工場管理者養成コース」の受講風景(関西校)

 野崎氏は平成10年に29歳の若さで3代目社長に就任。3年ほど前に自分とほぼ同世代の2人を役員に引き上げた。営業本部長と製造本部長の2人で、「色んな仕事を経験してもらう方針なので、将来的には2人が役職を交代することもあり得る」(野崎氏)ことから、まずこの2人に受講させた。
 工場管理者養成コースは月に3日ずつ6カ月をかけて受講するロングラン研修で、ゼミナール指導のもとに自社の「工場改革プラン」を策定・発表する。野崎氏は2人が参加した発表会に出席、「学んだことの一つでもいいから、現場で生かしてほしい」と伝えた。
 同研修に対する2人の評価が高かったことから、今年も本部次長クラスの2人を受講させることにしたという。「中間管理職は上からも下からもつつかれて大変な立場。こうした泊まり込みの研修で、社外の同じような立場の人と知り合うのは非常にいい経験になる」(野崎氏)とも考えた。

予期せぬ父の死、そして無我夢中で学んだ経営

 同社は以前から関西校の研修を利用するなど、人材育成に熱心だ。背景には、野崎氏自身が無我夢中で経営を学んできたという経験があるようだ。
 野崎氏は民放テレビ局勤務を経て、祖父が創業したフジ矢に入社。その2年後に社長だった父親が予期せぬ病で急逝したため、準備をする間もなく3代目社長の座に就いた。経営的に厳しい時期だったこともあり、「父の友人で経営者の人をはじめ、外部の研修も含めて色んな人に教えを請うた」という。
 「意気投合した」という、あるITコーディネーターもその一人。IT(情報技術)経営化のためのアドバイスを受けたことで、社長就任4年後の平成14年に経産省の「IT活用型経営革新モデル事業」に採択され、その後の数々の受賞にもつながった。

目標達成には人材育成が不可欠

野崎社長

 「今の経営の大きなテーマは2つある。海外市場でどう売り上げを伸ばしていくかということと、新製品の開発だ」(野崎氏)。
 19年にベトナムに初の海外工場進出を果たし、昨年6月には事前の工場を新設して生産能力を拡大。5年後には海外市場での売り上げを全体の3割にまで増やしていく計画だ。
 一方、新製品では今年4月に発売した「キャッチニッパ」が生産が注文に追い付かないほどの大ヒット中だ。切断した配線コードが飛び散らないように工夫したニッパーで、ユーザーの要望をヒントに開発した。今後も、年間40〜50件の新商品を開発・投入していく方針という。
 「中小企業には人材しかありませんからね」。野崎氏はこれらの目標を達成するためにも、人材育成が不可欠と強調する。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年11月1日発行 第1107号