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第5回 受講した3人とも絶賛【仙台校/現場改善の進め方コース】

人材育成の現場から 中小企業大学校受講者の横顔

 さいとう製菓株式会社【事業内容】和菓子・洋菓子の製造販売
【創業】昭和8(1933)年
【資本金】5000万円
【従業員】200人
 現場改善の進め方コース(仙台校) 管理者・監理者・現場リーダーを対象に、「5S」に焦点を当てた4日間の研修コース。生産基盤強化の基本とされながら、マンネリ化により形骸化されがちな5Sと「目で見る管理」による様々な改善の手法について、演習を通じて実践的に学ぶことにより、効率的でムダのない企業の基盤づくりと発展に役立ててもらう。

代表取締役 齊藤 俊明氏

“5S”学び実践へ意欲

 

研修を終えた社員の目の輝きが

仙台校での研修風景
仙台校での研修風景

 「仙台校の現場改善研修を終えて帰ってきた3人の目が、本当に輝いていました。『社長、素晴らしい研修でした。すごい内容です。さっそく実践に取り入れたいです』って、もうヤル気いっぱいで報告にきました」
 こう話すのは岩手県大船渡市の菓子メーカー、さいとう製菓の齊藤俊明・代表取締役だ。東日本大震災で本社と和菓子工場が津波で全壊、その立て直しのため、和菓子製造ラインの幹部社員3人が、自発的に仙台校の研修コース「管理者のための現場改善の進め方」を受講した。「研修に行っていることも知りませんでした。(報告を)義務化しているわけではないのに、わざわざ言いにきた。よほど感動したんでしょう。私も嬉しかったですね」と齊藤社長は表情を崩す。

難しい経営学より、まずは5Sの徹底

 この研修コースは、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)による現場改善を進めるのが狙い。平成24年1月に受講、その研修成果は、平成23年12月に完成したばかりのHACCP(ハセップ)対応の新工場の現場に活かされた。齊藤社長も「5Sに取り組む他社の工場もいろいろ見てきたが、到達段階でいえばほぼ100%」と評価する。
 さらに齋藤社長は言う。「難しい経営学を学ばなくても、5Sを徹底して取り組むことで会社を良くすることはできる」と。
 「たとえばトイレの清掃も、“汚い”という気持ちに打ち克って掃除するからこそ心が磨かれ、研ぎ澄まされた心で仕事ができる。営業でいえばただ売らんかなではなく、商品がいかにお客様の役に立つかという姿勢で接するようになる。それが会社の成長に繋がる。」
 食品の原料の受け入れから製造・出荷までのすべての工程を監視・記録するHACCP対応の新工場といえども、「衛生管理を徹底させるのはあくまで人間。それを補うものが設備。日本一の品質の菓子を作るのが目標であり、そのためには5Sは絶対条件」と断言する。

人の成長なくして会社の成長なし

齊藤社長
「人の成長なくして会社の成長なし」と信念を語る齊藤社長

 さいとう製菓は、銘菓「かもめの玉子」をはじめ、スイーツ類など各種和菓子・洋菓子を製造販売、現在は東北を代表する菓子メーカーとしての地位を不動のものとしている。だが、ここまで順風満帆で成長してきたわけではない。
 昭和35年のチリ地震津波でも壊滅的な打撃を被った。この後に事業を受け継いだ齊藤社長は、菓子づくりや経営の勉強に独学で打ち込む。「学んだことを実行できず、挫折感を何度も味わった。それでも失敗から学び、体で覚え、その中から這い上がってきた。学ばないと本物になれない。学ぶことの大事さを痛感した」と振り返る。
 この実体験が、「人の成長なくして会社の成長なし」という齊藤社長の信念を形づけることになる。仙台校をはじめ、商工団体や経営コンサルタントなどの研修、勉強会には、押し付けではなく、社員が選択し納得して参加できる仕組みを整えている。

今後は、若手のOJTをテーマとした研修に期待

 仙台校の研修には大船渡地域でいち早く参加、自らも販売戦略などの研修を受け、多くの幹部社員が売り上げアップをテーマとした研修コースを受講している。
 仙台校については、「地域への出前研修、成功事例の紹介、若手を伸ばすOJTをテーマとした研修を充実してほしい。系統立てた勉強のため、プロである講師の指導に期待したい」とも語った。
 「安全・安心でおいしいお菓子を提供する」という経営理念のもと、「品揃えをさらに充実させ、かもめの玉子の製造ラインも洋菓子工場も5年後をめどに新たに建設したい」と意欲を燃やす齊藤社長、2度の津波を乗り越え、その目標実現に仙台校の役割は小さくないようだ。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年10月1日発行 第1105号