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第4回 社員全員に受講推奨【旭川校/経営管理者養成コース】

人材育成の現場から 中小企業大学校受講者の横顔

 富士金網製造株式会社【事業内容】金属線製品の製造・販売
【創業】昭和42(1967)年
【資本金】2000万円
【従業員】83人
 経営管理者養成コース(旭川校) 7月から翌年2月までの8カ月、延べ24日間の研修。経営幹部、後継者および管理者等を対象に経営マネジメントやリーダーシップの習得につながる多様なカリキュラムをそろえ、自社課題研究やグループディスカッション、ケーススタディに重きを置く参加型の実践的研修としている。旭川校開校以来、これまでに約340人が受講している。

代表取締役社長 菊池 政男氏

意識が違ってくる

 

全社員を対象に年間2講座まで受講を推奨

菊池社長

 土木・建材用の溶接金網製造で北海道内最大手の富士金網製造は、平成8年から毎年、全社員を対象に中小企業大学校旭川校の研修受講希望者を募り、受講を推奨している。希望者は1年間で2講座まで受講できる。同社の従業員は約80人だが、菊池政男社長は「多いときは、年間で延べ約150人が利用したことがあります」。これまでの受講者数は延べ400人以上と、「道内でもトップクラス」(中小機構北海道本部の西敏明・研修課研究指導員)だ。旭川校は今年度、10年ぶりに「経営管理者研修」コースを復活。この7月にスタートしたが、同社も早速、受講者を派遣、次世代のリーダー育成にも乗り出した。
 役員や社員がこれまでに受講したコースは、製造現場の改善、営業や財務、管理職向け目標管理など、社内の全業務に及び、「毎年受ける積極的な社員もいます」(菊池社長)。

社員の意識に変化、マネジメント・コミュニケーション力も向上

 大学校の効用について、菊池社長は「社員を刺激しなければ成長しない」としたうえで、「受講して戻ってきた社員の意識が違ってきます。若い社員も自分を伸ばすことに積極的です」。もちろん、受講費用に加え、宿泊費や食事代も会社負担だが、「お金に代えられない効果がある」と強調する。
 具体的には、「製造現場向けの講座では若手リーダーが現場改善や5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の進め方などを学んでくる。管理職であれば、部下とどう接し、どう育てるかなどのマネジメント力も向上します」と語る。
 社員は受講後、その動機や内容、それを社業にどう生かしていくかなどについて、社長も出席する発表会を開く。研修などは一般的、汎用的な内容となるが、それを人に話すことで自分の業務にフィードバックして考えられるようになる。しかも、「これを繰り返すと話し方も上手になります」と、コミュニケーション力の向上にも役立つ。

社長自身受講は20回以上、研修後の交流会も魅力

経営管理者養成コース(旭川校)の様子
7月から始まった経営管理者養成コースの様子(旭川校)

 同社が旭川校を利用し始めたのは、「先代の社長が受講していた」ことがきっかけ。平成8年に就任した菊池社長自身も、これまでに延べ20回以上の研修を受講した経験を持つ。その受講内容は「財務戦略」「人材活用講座」「経営戦略」「リスクマネジメント」「戦略的会計」「トップセミナー」など多岐にわたる。
 「研修内容だけでなく、研修後の交流会では他社の人と話し合ったり、異業種の業務なども聞けて大変参考になった」という。菊池社長自身の受講経験から社員にも受けてもらおうと社内公募を始め、現在では社業発展への大きなツールとなっている。

公共事業への依存度を減らし日本一の金網メーカーを目指す

 同社は、鉄線などを用いた「溶接金網」や砕石などを詰め込み、港湾や河川の護岸に使う「蛇篭」(じゃかご)の製造で創業した。その後、ポリエチレン被覆線材を使い、耐摩耗性や対衝撃性に優れた港湾築堤マット「マリンマット」、堤防などの法(のり)面を保護しながら、湧水処理や植生効果も高い「ドレンかご」など独自の製品を商品化してきた。
 また、その技術を生かして一般住宅用の基礎鉄筋やビル用の鉄筋付き床材など民間需要の分野にも進出。現在は帯広市内の本社敷地に4つの工場を持ち、平成20年には東北工場(山形県天童市)も開設して業容を拡大してきた。
 ただ、港湾や河川工事向けなどの官公需が売り上げの6割以上を占める。長引く公共事業の縮小、とくに公共事業への依存度が高い北海道経済にあって、経営環境は厳しい。
 菊池社長は「売り上げに占める官民の比率を半分ずつにしたい。そのためにはマリンマットのようなオリジナル商品をもっと開発し、全国にマーケットを広げなければならない。日本一の金網メーカーを目指すためにも、大学校での受講は今後も継続していきます」と結んだ。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年9月1日発行 第1103号