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第3回 会社の方向性に見通し【瀬戸校/経営計画のたて方・すすめ方】

人材育成の現場から 中小企業大学校受講者の横顔

 宮商事株式会社【事業内容】麺類の製造販売、レストラン・飲食店経営、不動産管理など
【設立】昭和38(1963)年4月
【資本金】2830万円
【従業員】60人
 経営計画のたて方・すすめ方(瀬戸校) 経営者・管理者を対象に、宿泊を基本とした定員30人の5日間全日制による研修コース。戦略的経営計画の必要性と経営計画の策定・見直しなど、自社分析を中心とした演習と事例を通してそのポイントを実践的に学ぶことができる。

代表取締役副社長 安井 久美子氏

目標へモチベーションも上がる

 

抱えている悩みに何か役立つはず…

 中小企業大学校瀬戸校で初めて研修を受けたのは平成7年。以来、「経営者のための財務戦略」「経営力を高める管理会計」「経営幹部のための教養講座」など、これまで受講した瀬戸校での研修は24コースに及ぶ。
 「とにかく当時は、経理、財務、人事、社内教育など業務全般にわたって自分自身の中で悩みを抱えていました。研修メニューを見て、何か役に立つはず」と思ったのが受講の動機だった。社長(実弟)のサポート役として中間管理職の育成、人材確保、生産体制の確立といった系統立てた組織づくりをいかに構築していくか─。こうした具体的な経営上の悩みに、「(研修では)そのつど答えやヒントを与えてくれた」。
 その中で、特に印象に残っている研修が、平成10年に受けた「経営計画のたて方・すすめ方」コースだ。経営計画の作成手順を学ぶことはもとより、安井副社長が重要視したのは、企業としての基軸となる経営理念と行動指針の明文化だ。

経営理念を策定するということとは

「経営計画のたて方・すすめ方」の研修の様子
経営戦略研修で意見交換する研修生(瀬戸校)

 同社は、大正12(1923)年に小麦粉や砂糖などの卸売業として創業、その歴史と伝統の中で創業者たちが育んできた精神を次世代に継承していくためにも、“家訓”としての経営理念を明文化する必要性に迫られていた。経営陣や社員の世代が変わる中で、会社の成り立ち、創業当時の意思をどう繋いでいくか、経営理念として策定するそのプロセスを知りたかったのが、この研修コースを受ける狙いでもあった。
 ただ、安井副社長の胸の内では、経営理念の策定が社業の発展とどうリンクするのか、研修前にはやや懐疑的な部分があったのも事実だ。「講師の先生にそこをズバリ見抜かれました。先生と1対1で話し合う中で、(経営理念が)なくてもいいが、事業を受け継いだ今の代が会社を今後どうしていきたいか、きちんとまとめたほうがいい。悩んでいても思い続けていれば答えはでる。すぐにパーフェクトな回答がでなくてもいいのでは」とのアドバイスに、目が覚める思いだった。「会社としての方向性など先が見えた思いでした。(研修で)その見通しをつけてくれたことがうれしかった」と振り返る。

気付きとモチベーション、社業に与える効果

 研修後、全社員を対象に会社の何を大切にし、どんなときに喜びを感じるかなどのアンケートをとった。そして2カ月を経て出来上がったのが『食を通じて感動と喜びを提供します。』の経営理念だ。併せて3項目から成る行動指針も策定した。経営理念には「食べるだけではなく、食をとりまくすべてを提供したい」との思いが込められている。社内に貼りだし、朝礼、昼礼などことあるごとに唱和し、社員への浸透に努めた。それは15年経った現在も続けられている。
 瀬戸校には管理職、一般社員など男女を問わず、ニーズに見合うテーマで研修を受けさせている。「異業種の人たちと学ぶ中で、悩んでいるのは自分だけではなく、新たな気付きもある。会社に戻ってからのフットワークが変わり、アイデアを自主的に考えるようになった。モチベーションがあがり、社業に与える影響は少なくない」と研修の効果をこう話す。一方で、今後の研修テーマではサービス業や飲食業など業種に特化したコースを設けてほしいとの要望も。

創業100年、そして次の世代へ

安井副社長

 現在、きしめんを中心とする麺類の製造・販売、飲食店の店舗展開を2本柱に事業を営み、業績も順調に伸ばしている。
 「10年後には創業100年。それまでに商品構成、店舗など次の世代に引き継ぎできる経営内容にしたい」と安井副社長。この目標に向け、今後も瀬戸校の研修を大いに活用したいと期待を寄せる。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年8月1日発行 第1101号