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第2回 交流生かして共同受注も【三条校/経営管理者養成コース】

人材育成の現場から 中小企業大学校受講者の横顔

 相栄産業株式会社【事業内容】自動車およびその他輸送機器関連の金属プレス部品の製造
【創業】昭和16年
【資本金】8500万円
【従業員】61人
 経営管理者養成コース(三条校) 毎年9月から翌年2月の半年間、毎月4、5日の合計25日間、経営幹部、後継者を対象に、マネジメントやリーダーシップの習得につながる多様なカリキュラムを揃えている。自社課題研究やグループディスカッション、ケーススタディに重きを置く、参加型の実践的研修となる。今年9月10日スタートのコースが節目の第20期に当たり、これまでに300人以上が修了している。修了者をメンバーとするOB会を組織し、研修会や交流会などの活動を通して継続的な相互研鑽を図っている。

取締役 相場 章吾氏

同期生の“生の声”が財産に

 

経営の経験不足を補うために

 自動車部品の製造加工を手掛ける相栄産業は、第2次世界大戦中に飛行機の機体板金業として設立された社歴70有余年を誇る老舗企業。現在、社長を務める相場美栄子さんは創業者の孫にあたり、息子である相場章吾取締役との二人三脚により、経営の舵を取っている。
 この親子経営者はともに中小企業大学校三条校で学び、社員も同校で学ばせるなど中小企業大学校をフル活用し、企業の成長発展につなげている。
 美栄子社長は5年ほど前、父親である前社長の死去に伴い急きょ、後を継いだ。それからしばらくのちに章吾氏が入社した。企業経営の経験が浅い2人は、経験不足を補うべく、地元三条校の経営管理者養成コースを受講した。「ちょうどリーマンショックの時で、仕事が激減し、時間があったことも大学校受講のきっかけです」と相場取締役は苦笑交じりに打ち明ける。

同じ立場の受講生と同じ釜の飯

経営管理者養成コースの様子
グループを作って議論(経営管理者養成コースで)

 大学校の研修について、相場取締役は「一番勉強になったのは自分と同じ立場の受講生の話が聞けたこと」と振り返る。経営管理者養成コースのゼミナール(自社課題研究)では、講師がコーディネーターとなって受講生同士が抱えている悩みや、うまくいった解決法などを情報交換する場にもなっている。そうした“生の声”が血となり肉となったというわけだ。
 同コースではおよそ半年間に亘って“研修漬け”となる。そのため「同じ釜の飯を食べた同士という絆が生じ、受講生の間で深い交流がずっと続いているのも大きな財産となっている」(相場取締役)。
 相場取締役は経営管理者養成コースのほか、営業管理者養成コースや、短期研修「社員教育・育成の考え方と進め方」「利益計画と資金計画の作り方」の各コースも受講している。経営管理者養成コースの同期会では講師役を務めるなど、三条校卒業生のキーパーソンの一人として活躍しているところだ。

経営陣から若手まで、多くの社員を受講させる意義

 同社では経営陣と併せて多くの一般社員が三条校で学んでいる。経営トップから若手リーダーまで幅広く研修を受けることの意義、効用について、相場取締役は「考え方のレベル合わせができるのが大きい」と見ている。
 大手企業はもちろん中小企業でも、技術、製造、財務、人事といった各業務に携わる人たちは、往々にして、自らがかかわる部門で閉じた世界をつくってしまう。技術の人は技術の話に終始するようになりがちで、他部門とのコミュニケーション不足に陥りやすい。相栄産業にもそうした傾向があったようだ。
 その点、大学校での研修は、どのコースも受講生の視野を広げ、多くの気づきを与えてくれる。そのため、問題意識の共有や共通フレームワークの形成といった“横串が通る”メリットが大きい。併せて、職人気質の「背中を見て覚える」方式から、システムによる人材育成へと変わっていった。

海外支援制度を活用して初の海外拠点へ進出

相場取締役

 同社は近く、東南アジアへ進出する。中小機構の海外F/S(事業化可能性調査)支援制度を活用してリサーチした結果、インドネシアへの進出を決めた。初の海外拠点となるインドネシア工場が間もなく立ち上がる。現地法人の社長に就任し陣頭指揮を執ることになる相場取締役は「インドネシアで日系企業をはじめとして新たな取引先を開拓したい。何度か現地を訪れ、手ごたえを感じている」と語る。
 相栄産業の地元、三条市は金属加工が盛んな土地柄で、刃物、作業工具などの最終製品や、自動車向けなどの各種産業用部品を手がける中小企業が集積している。そこで、インドネシア発の注文を、相栄産業が窓口となり三条の企業群で共同受注するといった構想も描いている。「大学校で得たものを生かして、グローバルとローカルの融合を図れれば…」(相場取締役)と夢は大きく膨らんでいる。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年7月1日発行 第1099号