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第1回 徹底した自社分析が勉強に【東京校/経営後継者研修】

人材育成の現場から 中小企業大学校受講者の横顔

 芝工業株式会社【事業内容】空気調和設備、給排水衛生設備、防災設備など各種設備の設計・施工
【創業】昭和10年に東京都港区芝で
【資本金】2億円
【従業員】160人
 経営後継者研修(東京校) 経営後継者を対象にした10ヶ月間全日制の研修。30年以上の歴史があり、1000人を超える卒業生を輩出している。経営後継者に必要な基本的能力や知識を、徹底した自社分析を通じて実践的に習得できる。

代表取締役社長 野口 恭男氏

同期の仲間と旅行も

 

同じ境遇同士が10ヵ月間の研修で生涯の仲間に

野口社長

 「何よりいちばん勉強になったのは、講義の中で実施した徹底的な自社分析。(父親である)社長や総務・経理の部長から話を聞いたり、財務諸表を出してもらって分析したりして、初めて自社の実態と強みを知ることができました」
 管工事を手掛ける芝工業の代表取締役社長で、中小企業大学校東京校の「経営後継者研修」第14期卒業生である野口恭男氏は、19年前の研修生時代を懐かしむ。
 野口氏は昨年6月、祖父、父親に続く3代目の社長に就任したばかりだが、早くから後継者として期待されてきた。学習院大学法学部を卒業後、建築設備関係の技術を学ぶため、早稲田大学の聴講生となり、同分野の権威が設立した研究所にも勤務。さらに米国留学を経て、経営後継者研修の研修生になった。
 同期は33人。野口氏は当時27歳と「ちょうど平均年齢くらい」。地域・業種・業態はそれぞれ異なるが、中小企業の後継者候補という同じ境遇の者同士が知り合い、10カ月間にわたり切磋琢磨することで生涯の仲間になった。

経営に必要な知識を体系的に学習

経営後継者研修の様子
少人数に分かれてのゼミ風景(昨年の「経営後継者研修」で)

 研修では、さまざまな工場を見学したことや、倒産実務専門の著名弁護士の講義などが印象に残っている。「自社分析のほか、人事、財務、マーケティングなど企業経営に必要な知識を体系的に学びました。特に中小企業の比較や業界の比較ができたのが良かった」。
 大学校に併設する寮に泊まり込み、卒業論文にあたる「ゼミ論」を書き上げたこともいい思い出だ。
 研修を終えて自社に復帰し、最初に配属されたのは千葉県庁舎新館の建設現場だった。所長、次長に次ぐナンバー3の立場で、現場の作業工程を滞りなく進めていくための対外交渉を一手に任された。
 交渉相手となる元請けのゼネコンも、設備工事を請け負う他のサブコンもみんな大企業。だからと言って、言いなりになっていたら工事が遅れ、コスト増につながる。野口氏は腹を決め、臆することなく渡り合った。

その後も後継者研修OB会、短期研修に積極的に参加

 学生時代にラグビーやアメフトで鍛えたガッツと持ち前の快活な性格に加え、研修での経験が自分に対する自信の裏付けとなったのだろう。「当時はよく、同世代のゼネコンの人たちを誘って飲みに行きました」と笑う。一方で、つくづく「大企業と一緒に仕事をするためには、“人財”を相当育成しなければ厳しい」とも感じたそうだ。
 その後も、自ら東京校の短期研修に参加したり、管理職クラスの部下に研修を受けさせたりしている。また、経営後継者研修のOB会で行う勉強会にも積極的に参加。研修で出会った同期とは19年を経た今でも年に1回、1泊の国内旅行に出掛けるそうだ。「そうしたお付き合いができる人たちと巡り合えたのがいちばんの財産かもしれません」。
 創業からもうすぐ80年を迎える。常時70〜80カ所の建設現場が稼働し、社員の半分以上が現場から現場へと移動するが、「顧客の期待値の常に上を目指し、顧客・協力会社・社員のすべてがウインウインの関係を作っていくこと」が同社を支える礎になっているようだ。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年6月1日発行 第1097号

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経営後継者研修(中小企業大学校東京校)