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第10回 太陽電池の障害を素早く検査【システム・ジェイディー】

伸びる!産業の先駆者たち─インキュベーション施設で事業化に挑むベンチャー

業界初の装置開発 保守需要増で飛躍─福岡システムLSI総合開発センター─

 

システム・ジェイディー
【設立】2002(平成14)年3月
【資本金】1億7250万円
【事業内容】太陽電池アレイテスターの製造・販売、半導体の設計・検証・テスト
 
福岡システムLSI
総合開発センター
【開設】2004(平成16)年11月
【居室】45室、シェアードオフィス23ブース
 

 

伊達会長
福岡システムLSI総合開発センター屋上に設置された太陽光パネルを前に独自の技術を説明する伊達会長

 「全国の電力会社系電気工事会社をはじめ、太陽光パネル施工会社などにも導入されている」。ベンチャー企業「システム・ジェイディー」の伊達博取締役会長はこう語り、胸を張る。
 同社は一昨年、太陽光パネルの故障や障害個所を素早く検出できる装置「SOKODES」(ソコデス)を商品化した。通電の不具合個所をピンポイントで検査できるのが特長。しかも、地上に設置した配線接続箱から信号を送って検査するため、屋根に上るなどの必要もなく、天候に左右されず、夜間でも検査可能だ。太陽光発電の大量導入に伴い、さらなるビジネス拡大が期待されている。

業界初、太陽光パネルの不具合を検出できる装置を開発

 業界初という検査装置の開発に至ったのは、伊達会長が太陽光発電に関する講演を聞いたときに、太陽光パネルのメンテナンスフリーをうたっていることに「違和感を持った」のがきっかけだ。長年、半導体検査技術の開発に携わってきただけに、同じ半導体技術を使った太陽光パネルが保守不要ということは、技術者として納得できないと感じた。実際、業界の人に話を聞いてみると、「簡単に検査できるニーズは高かった」という。
 そこで、「経年劣化による発電出力の低下を簡単に検出できる装置はできないか」と考え、太陽電池メーカーの技術者らと発電出力低下の要因などについて情報交換した。
 転機となったのが、太陽光パネルの検査技術が2009年にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業に選ばれたことだ。補助金を得て、出力低下や障害などの原因を調べたところ、太陽電池内の配線のはんだ接合部分がはがれるケースが多いことが分かった。それを検査するため、はんだ接合部分に高周波パルス信号を当て、その反射を解析することで断線個所を簡単に検査できるソコデスの開発に成功した。

半導体検査からエネルギー分野へシフト

ハンディ型の「ソコデス」
ハンディ型の「ソコデス」

 同社は、民間企業で半導体検査技術開発に携わった伊達会長らが2002年に創業。国内の大手半導体メーカーに検査ソフトなどを販売していた。だが、韓国や台湾勢の台頭や、08年のリーマン・ショックなどにより、半導体大手は大きな打撃を受け、リストラを余儀なくされた。生き残った企業も検査工程の外注をやめるなど、「検査需要がなくなり、違う分野を開拓する必要に迫られていた」状況だったため、「エネルギー分野にシフトすることにした」(同)。
 培った検査技術を応用したソコデスは、家庭用や中規模施設向けのハンディ型に加え、メガソーラー(大規模太陽光発電所)に組み込む遠隔監視システムも商品化。ハンディ型は全国約20社の代理店経由で施工業者向けなどに、これまでに約260台を販売した。一方の遠隔監視システムは、東証1部上場企業のNECネッツエスアイと連携。メガソーラーに組み込んで太陽電池の監視情報をデータセンターで管理するシステムを構築し、現在、4基のメガソーラーに納品を完了している。
 今後は、「太陽光発電の固定価格買い取り制度導入を検討している東南アジアにもニーズはある。現に、タイで具体的な商談も始まっている」(同)という。

新連携事業計画認定で認知度が高まる

 同社は、中小機構が整備し、福岡県産業・科学技術振興財団が運営するインキュベーション施設「福岡システムLSI総合開発センター」に2005年に入居。「ベクトルが近い人が集まる施設に入りコミュニケーションすることで、社会が求めるイノベーション(技術革新)への課題がみえてくる」(同)という。
 また、ソコデス開発に当たっては、一昨年2月に国の新連携事業計画の認定を受けたことで、新技術の認知度が高まったほか、中小機構のアドバイザーから事業化や販路拡大などで助言を受けた。
 実は、ソコデスで利用した高周波パルス技術は、光ファイバーやLANケーブルの断線検査でも使われている。これは「故障の発生メカニズムの解明などで多くの可能性を持っている」(同)としており、同社は、新製品として、漏電の一種である「地絡検査システム」も開発している。
 世界的に普及が進む太陽光発電は今後、メンテナンス需要が増えてくることは確実で、ソコデスの活躍の場が国内外で広がりそうだ。

 

福岡システムLSI総合開発センターインキュベーションマネージャー
田中 秀一郎 氏
外部との連携を進める
 
田中秀一郎氏

 民間企業で半導体製品や情報システムの営業・技術開発に関わり、製造業、医療業界のコンサルタントなどを経て、昨年に当センターのマネージャーになりました。ここの入居企業は63社(4月末時点)と多く、しかもシェアードオフィスにも20社が入っており、全社とコミュニケーションを図るのはなかなか難しい状況です。一方で、多くの企業が集まっているということは、大きなリソースでもあります。
 そこで、入居企業同士のコミュニケーションを図ろうと、昨年末から交流会を始めました。第1回は約30人が参加し、好評でした。これに加え、入居企業紹介や展示会情報などを掲載した「LSIセンター通信」も創刊しました。今後も年に2、3回発行する予定です。 これらにより、狙っていた入居企業同士のマッチングが進み、新しいビジネスも出てきました。今後は中小機構の支援メニュー紹介に力を入れるほか、入居企業と、外部の大学や大手企業などとの連携も進めていきます。
 システム・ジェイディーは半導体検査技術で厳しい状況でしたが、伊達会長の技術力プラス経営者としての嗅覚で、新しいビジネスを開拓しました。信頼性や高品質は日本人の強みで、これからもますます重要になります。エネルギーだけでなく、他の分野でも展開し、グローバルに活躍できると思います。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年5月15日発行 第1144号

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