中小機構について >  情報提供活動 >  中小企業施策普及紙「中小企業振興」 >  伸びる!産業の先駆者たち >  第4回 独自技術で成長市場取り込む【TOP】

第4回 独自技術で成長市場取り込む【TOP】

伸びる!産業の先駆者たち─インキュベーション施設で事業化に挑むベンチャー

パワー半導体検査装置で飛躍を─くまもと大学連携インキュベータ─

 

TOP
【設立】2011(平成23)年5月
【資本金】5100万円
【業務内容】パワー半導体検査装置用プログラムの開発、
高電圧・電流測定コンサルティング
 
くまもと大学連携
インキュベータ
【開設】2006(平成18)年2月
【居室】オフィス・ラボタイプ計24室
 

 

 「半導体関連というと、今ではあまりイメージはよくないが、パワー半導体は高い成長が続く市場。早く納入実績を積み重ね、経営を安定させたい」
 こう語るのは、TOP代表取締役の重村慎二氏だ。
 日本の半導体産業は、汎用品であるメモリーを中心に韓国や台湾勢に世界市場を席巻され、企業再編が続くなど苦境にある。ただ、大電流、高電圧を制御するパワー半導体は例外だ。モーターなどの省エネを実現できるため、エアコンや冷蔵庫などの家電や新幹線、さらには市場が急速に伸びているハイブリッド車などに幅広く用いられており、依然として日本メーカーが高い世界シェアを持つ。民間調査会社によると、パワー半導体の世界市場は2桁の伸びを続け、2015年には2兆円以上、検査装置も300億円程度が見込まれるとしている。
 重村氏は「これからはとくに自動車用が伸びる」と考え、外資系の半導体検査装置メーカーから独立してパワー半導体用検査装置の開発に的を絞って11年5月にTOPを設立した。

ハード・ソフト両面の独自技術で開発に成功

デモ機を前にする創業メンバー
新検査装置のデモ機を前にする重村慎二代表取締役(左端)らTOPの創業メンバー

 この市場では後発だけに、「差別化技術が必要だった」(重村氏)が、その独自技術が大きな花を咲かせ始めている。今春には、従来の検査装置に比べて検査時間が10分の1、消費電力と設置面積はともに半分という画期的な検査装置を開発し、国内の自動車大手に初納入した。「パワー半導体用の検査装置はアナログ回路だから、経験と蓄積が必要。当社の演算処理を並列化するなどハード、ソフト両面の独自技術」で開発に成功したわけだ。
 もちろん、国内外には大手の検査装置メーカーもあるが、「パワー半導体用はニッチだから、あまり力を入れていない」。さらに、中小の同業が同様の技術を開発するのは難しいことから、この分野では先頭に立っているという。
 開発の成果はこれだけではない。シリコン半導体に比べ高熱で作動する高効率のシリコンカーバイドを使った次世代半導体用検査装置の開発にもめどをつけており、「来年半ば以降には商品化できる」という。現在、特許を申請中だ。
 これら同社の技術に対しては、外部からの評価も高まっている。昨年には熊本県起業化支援センターから出資を受けたほか、今年に入って日本政策金融公庫から「新事業育成資金」の融資を受けた。さらに熊本市の新製品・新技術研究開発事業、くまもと産業支援財団によるくまもと夢挑戦ファンド事業助成金、国のものづくり中小企業・小規模事業者試作開発支援補助金に相次いで採択された。
 同社はこれらの資金を活用して新検査装置のデモ機を製作。オフィス内に置いてユーザーに対してベンチマークを実施中だが、すでに3社から引き合いがあるという。研究開発型ベンチャーは開発資金の手当てが大きな課題となるが、同社の場合、技術の先進性によって外部の資金を導入できている。

まずは国内実績を、そして次のステージは海外

TOPのオフィス
開発体制を強化したTOPのオフィス

 これに加え、重村氏は今夏に福岡と東京で開かれた中小機構主催の「ベンチャープラザファンドin Tokyo・九州」に参加した。このイベントは、上場を目指すベンチャーが資金調達を目的に投資家に対してプレゼンテーションするもので、この結果、「4社のベンチャーキャピタルと(出資などについて)話し合いをしている」という。これに伴い、中小機構のインキュベーションマネージャー(IM)らの支援を受けながら「将来の資本政策をつくりたい」と語る。
 同社は創業時から、熊本県の紹介を受けて「くまもと大学連携インキュベータ」に入居。創業時は6人で1部屋を借りていたが、社員11人に増えて、4部屋に拡張。さらに、11月には大手半導体メーカーの技術者4人を追加採用するなど、開発体制をさらに強化している。
 ただ、重村氏自身も認めるように、課題は営業体制。これまでは四国計測工業と組んで営業しているが、「早く実績をつくり、自社の販売体制を整えたい。その先のステージとして、台湾や中国などに輸出し、海外を目指す」と意気込んでいる。

 

くまもと大学連携インキュベータ
チーフインキュベーションマネージャー
堀 義親 氏
販路開拓、補助金獲得に力
 
堀義親氏

 当インキュベータは、バイオライフサイエンス分野の研究成果を活用した大学発ベンチャーや地域の企業の新分野進出による新事業創出を支援する施設として設置されました。設置から8年を経て、バイオ系の企業数は一定の水準を維持していますが、熊本県や熊本市の産業振興ビジョンとも相まって環境関連や半導体系のものづくり企業、IT(情報技術)系企業なども入居するようになりました。
 私たちIMは、地域の中核企業として成長する企業を輩出し、熊本地域の産業振興に資することをミッションとしています。これを達成するには、入居企業との日頃のコミュニケーションが一番大事だと思っています。入居企業の話をよく聞くことで、抱えている課題の解決のための支援を心掛けています。今年度は、資金調達や補助金申請、販路開拓の支援に力を入れています。TOPさんは国や県市の補助金を受けることができました。入居企業とは、決算書が出てくる時期に合わせて年2回行う定期面談などを通じて、コミュニケーションを取りながら日常的支援に取り組み、状況に応じて中小機構などの支援メニューを紹介しています。TOPさんは、1月から中小機構の支援メニューである「専門家継続派遣事業」を利用して、事業戦略の強化再構築への支援を進めることとしています。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年12月1日発行 第1109号

ご紹介した施設の詳細

くまもと大学連携インキュベータ