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第2回 OEM販売主体で需要拡大【カタリメディック】

伸びる!産業の先駆者たち─インキュベーション施設で事業化に挑むベンチャー

今後は歯科インプラント分野開拓も─ベンチャープラザ船橋─

 

カタリメディック
【設立】平成19年11月
【資本金】950万円
【業務内容】医療機器及び減菌医療機器の開発・製造、骨補填材の製造・OEM販売
 
ベンチャープラザ船橋
【開設】平成19年7月
【居室】実験研究開発室タイプ25室、オフィス研究開発室タイプ10室
 

 

河津秀行代表取締役
「OEM販売を主体に着実に市場を拡大したい」と語るカタリメディックの河津秀行代表取締役

 「骨補填材(こつほてんざい)のOEM(相手先ブランド生産)販売を主体に着実に需要先を広げ、3年後には売り上げ倍増を目指します」
 医療機器ベンチャー、カタリメディックの河津秀行代表取締役は、当面の事業目標について力強くこう語る。骨補填材は、患者自身などの骨を採取せずに骨の形成を促す機能をもち、身体への負荷を和らげる効果からも近年、医療業界から画期的な“人工骨”として注目を集めている。数年前に市場の1割程度だった人工骨の需要は、現在は約4割にまで上昇、「今は主流の人などの自家骨による治療法と比べ、いずれ逆転する」(河津社長)という有望市場に成長してきている。
 骨腫瘍の摘出や骨折、自家骨採取などにより生じる骨の欠損部に補填し、骨を修復する機能を有する人工骨補填材。大手医療機器メーカーでその研究開発に取り組んでいた河津社長が、骨補填材の市場性に着目、退職後さらに研究を重ね、骨補填材の有効性、安全性などのデータを揃えインプラントとしての薬事法の承認を取得し、セラミック系骨補填材の後発メーカーとして起業するまで、3年を費やすことになる。すべてひとりでやり遂げる作業だった。

オリンパス、HOYAに続き、国内3社目のメーカーとして市場に参入

骨補填材
顆粒状の骨補填材。ひと粒が100〜400マイクロメートルの気孔構造を有している

 セラミック系人工骨補填材には、水酸化アパタイト(HAP)とβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)の2種類があり、カタリメディックはβ-TCPの研究開発に取り組んでいる。
 HAPの場合、非吸収性のため異物として体内に残る問題点があり、骨の本来の強さにならないという弱点があるとされ、一方のβ-TCPは吸収性があり、自家骨に置換する機能を持つ特徴がある。「自ら骨を作る機能ではなく、骨に囲まれる部分にβ-TCPを補填することで骨の形成を促し、腫瘍により変形していた骨が元の形に戻る特徴がある」と河津社長は強調する。
 その仕組みは、β-TCPを主成分とする原料の粉末を有機物のバインダーと呼ぶ成分で固めて乾燥させ、高温で焼く。温度を工夫することで2マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートル以下と100〜400マイクロメートルの微小な気孔をもつ顆粒ができ、骨の欠損部分にその顆粒を埋めると、吸収されて新たな骨が形成されるというわけだ。
 β-TCPでは、オリンパスが平成11年に「骨補填材オスフェリン」として販売したのが国内で最初。22年6月にHOYAが「スーパーポア」の商品名で販売、カタリメデッィクは23年1月に製造を開始、国内3社目のメーカーとして市場に参入した。β-TCPを生産しているのは国内ではこの3社のみ。

施設で実力を蓄え、将来的には新工場を建設

 現在、ジンマー(東京都港区)、バイオメット・ジャパン(同)の2社にOEM供給、それぞれ「オスティネート」、「βボーン」のブランド名で医療機関に販売されている。すでに3社目のOEM販売も決まり、今後、生産量を増やしてしていく計画だ。ただ、今は生産拠点となっているベンチャープラザ船橋の部屋数を増やすことで、増加する需要に対応しているのが現状。河津社長は「部屋数を増やすのも限界がある。将来的には新工場を建設し、このインキュベーション施設から卒業したいと思っている。それまではこの施設で実力を蓄え、OEM先を年に1社ずつ確実に拡大していきたい」と話す。
 入居しているベンチャープラザ船橋について河津社長は、「研究開発や生産拠点としての機能だけではなく、資金調達や企業運営、14人に増えた社員の労務管理などについても気軽に相談に乗ってくれるメリットがある。企業経営全般について、その時点での適切なアドバイスをいただいている。ありがたく、大いに助かっています」と強調する。
 「今後は、歯科向けのインプラント治療分野への市場開拓も視野に入れる」と河津社長、骨補填材というニッチ市場での挑戦は続く。

 

ベンチャープラザ船橋IM
榎本 剛士 氏
入居企業と同じ目線で
 
榎本剛士氏

 ベンチャープラザ船橋では、1.新産業創出に資する企業の発掘・育成及び地域への定着化2.有力なベンチャー企業等の創出による地域産業との融合と産業構造の変革─をミッションとし、世界に負けない技術で世界市場に打って出る企業の創出、そして自治体や各種支援機関、地域の有力企業との強力なネットワーク構築によるビジネスマッチングを図り、地域産業振興に貢献することを目指しています。
 具体的には入居企業の発掘、入居企業の業容拡大に伴う増室ニーズへの対応といった支援を目標に取り組みを強め、昨年6月から研究室やオフィスは満室状態が続いています。
 その中でもカタリメデックさんは、当施設の開設当初から入居している企業で、特殊な技術力で医療機器市場を開拓する有望な企業に育っていかれると確信しています。
 ベンチャー企業の育成をライフワークにしたいと考え、インキュベーションマネージャー(IM)として4年目になりますが、ものづくりを世の中に発信していく醍醐味を間近に見られるのがこの仕事の魅力です。
 今後も入居企業と同じ目線に立ち、販路開拓や知財戦略、資金繰りなど、入居企業の卒業目標に見合う満足度の高い支援をしていくつもりです。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年9月15日発行 第1104号

ご紹介した施設の詳細

ベンチャープラザ船橋