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第11回 観光商談会─旅行代理店などにプラン売り込む─

販路開拓へスクラム 新連携・地域資源活用・農商工連携認定企業と支援ネットワーク

 

「本物に触れる旅」で地域活性化へ

今年で5回 観光関連の事業プランを売り込む

 今年3月中旬、関西国際空港に隣接する「ホテル日航関西空港」の大会議場。適度な距離を置いて並べられた15のテーブルに分かれて、真剣な表情で意見を交わし合う人たちの姿がみられた。
 中小機構近畿本部が開いた「観光商談会」のひとコマだ。観光関連の事業プランを売り込んだのは、地域資源活用事業を中心とする3法認定事業者や認定を目指している中小企業・小規模事業者15社。テーブルをはさんで対峙するのは旅行代理店、旅行コンサルティング会社、旅行関連雑誌出版社など観光関連15社のバイヤーおよびアドバイザーだ。1回20分の個別マッチングを、休憩をはさみながら、組み合わせを変えて8回繰り返した。
 同商談会は今年で5回目。今回は初の試みとして「関西のおもてなし物産展」も併設、認定事業者など中小企業24社がブース出展し、空港内を行き来する観光客らにみやげ用商品をサンプリング(試供頒布)した。関西空港を会場に選んだのも初めてで、参加企業には国内のみならず海外からの観光客も意識した観光事業を進めてほしいとの期待を込めた。

「日本酒発祥の地」を活かした街並みガイド付き宿泊プラン

今西代表取締役
真剣な表情で商談する今西酒造の今西代表取締役

 「これまでの商談会に何度か参加し、そのたびにアドバイスをもらって(事業プランを)ブラッシュアップしてきたので、最速で事業化することができた。今回からはブラッシュアップというよりも、いよいよ売り込みのフェーズに入る」。万治3(1660)年創業という奈良県桜井市の老舗酒造会社「今西酒造」の14代蔵主である今西将之代表取締役は意気込む。
 今西氏が売り込むのは、「日本酒のふるさと三輪ツーリズム」。日本酒発祥の地である奈良・三輪という土地柄を生かし、酒蔵見学や利き酒体験はもちろん、「酒の神様」と呼ばれる大神神社やいくつもの古道が交差する宿場町としての街並みなどをガイド付きで巡るなどのプログラムを組み合わせたプランだ。同社などが中心になって立ち上げたNPO法人や地元の観光協会、宿泊施設などと連携して開発、平成24年2月に地域資源活用事業認定を受けた。
 今西氏は、2年半前に先代が急逝し、後継者として呼び戻されるまで、東京のリクルートに勤務していたというだけあって、第一線の敏腕ビジネスマンといった印象。観光事業の狙いは「地域活性化と当蔵のファン作り」と明快だ。「(観光客に)料理を食べてもらえば地元に金が落ちるし、子供がいてパートに出られないという主婦をプロのガイドに育成することで地域を活性化できる。また、当蔵の日本酒『三諸杉(みむろすぎ)』がどのような気候風土、歴史、こだわりの中で造られているのか知ってもらうことで、末永いお付き合いをしていただけたら」と話す。

世界ジオパーク登録の山陰海岸の魅力と京丹後の食をアピール

ト屋の女将、池田さん(中)
商談会の合間に物産展の自社ブースを点検するとト屋の女将、池田さん(中)

 一方、長女と2人で商談に臨んだのは、京都府京丹後市の旅館「とト屋」のアイデア女将、池田香代子さん。「きょうは海外からの観光客誘致に詳しい方に会わせていただき、海外観光客の集客方法をずいぶんとアドバイスしていただいた」と満足げだ。
 同社は「未知なる海の京都・丹後海岸の魅力をマイスターが直伝『丹後マイスターツーリズム』の開発・提供」で、今年2月に地域資源活用支援事業認定を受けた。世界ジオパーク登録された山陰海岸の迫力ある造形美を小舟で楽しむほか、丹後伝統の技や生活文化などに精通したガイド「丹後マイスター」付きで体験するいくつものプログラムや宿泊旅行商品で構成されており、「今年から本格的に売り込んでいく」(池田さん)。
 同時開催の物産展にも出展し、同志社大学の学生と共同で進めている「京丹後漁業活性化プロジェクト」で開発したブランド「間人(たいざ)美人」の料理の一つであるキスのマリネや地元の人がふだん食べている素朴な料理を紹介。有名な間人蟹などを使った高級料理だけではない、京丹後の食の深さをアピールした。

産地に足を運んで本物に触れる旅をもっと!

 この観光商談会・物産展をプロデュースしている刀根浩志・中小機構近畿本部経営支援部プロジェクトマネージャーの目標は、「職人に出会い、自分だけの靴やスーツを作ってもらう欧米のマイスターツーリズムのように、産地に足を運んで本物に触れる旅を日本にも広げていく」ことだ。その目標を「勝手に『SMRJ(中小機構の略称)ツーリズム構想』と呼んでいる」と笑う。

 

刀根浩志氏

観光は「時の氏神」

中小機構近畿本部
プロジェクトマネージャー

刀根 浩志 氏

 

 私は、1990年代の全国的な博覧会ブームの時に、当時勤務していたゼネコンから出向して、各地の博覧会の運営に参加したのがきっかけで、地域に観光を育てていく仕事に魅力を感じるようになりました。平成14年から17年にかけて国土交通省など3府省が認定した「観光カリスマ100選」に選ばれたこともあり、19年の地域資源活用促進法施行を機に声がかかり、中小機構にお世話になりました。
 近畿地方の府県の支援機関や商工会議所、商工会などと連携をとりながら、ビジネスセミナーなどを開催。参加者の中で新しく観光業に参入したいとか、旅館を経営しているけれど客が減ってきているといった課題を抱える経営者を個々に選ぶ形で、地域資源活用もしくは農商工連携の認定取得へと導いています。
 認定事業者による観光関連の売り上げベスト10のうち、6件くらいが近畿本部で支援した業者です。観光関連は中小機構としても初めての支援分野なので、近畿本部のノウハウを全国的に広めていきたいと考えています。今年、中小機構内に「観光ワーキング部会」が発足したので、そこで成功事例を分析していくことになるでしょう。
 今の日本にとって、観光は「時の氏神」です。日本はこれまでモノづくりで来たけれど、エネルギーも資源もないので、それだけでは右肩上がりの成長はできません。日本の歴史文化をもっと海外に売り込めば、その産地にあるモノづくりも見直されるでしょう。地方に脚光を当てるためにも、まずは観光に力を入れるべきです。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成26年6月15日発行 第1122号

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(平成25年度プレスリリース)