中小機構について >  情報提供活動 >  中小企業施策普及紙「中小企業振興」 >  販路開拓へスクラム >  第9回 健康博覧会─成長市場で企業・個人双方にアピール─

第9回 健康博覧会─成長市場で企業・個人双方にアピール─

販路開拓へスクラム 新連携・地域資源活用・農商工連携認定企業と支援ネットワーク

 

地域ごとに商品販売のフォローも

今年はぜひ全国で販売したい

 「美しく染め上げながら、頭皮も髪も健やかになる白髪染めを2年がかりで開発した。今年はぜひ全国で販売したい」
 3月12日から3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた「健康博覧会2014」(UBMメディア主催)内の中小機構ブース「NIPPON MONO ICHI」(ニッポン・モノ・イチ」に出展してこう意気込むのは、グラシア(熊本市)の西村一美代表取締役だ。
 「サクラン」という有効成分を含んだ白髪染め「サクラントリートメントカラー」を昨年3月に発売し、これまで地元の薬局やネットなどで販売していたが、全国販売により、その効果を全国の女性、男性にも実感してほしいと願う。
 以前から美容室を経営している西村氏は、化学物質を使った従来の白髪染めで頭皮がかぶれるなどのアレルギー反応を起こす顧客に対応するため、独自の商品を開発できないかと模索していた。
 ある日、新聞でサクランが高い保湿力を持つという記事を読み、「これだ」と直感したという。

新連携の認定により、補助金・商標・ブランディングの支援が

グラシアの西村代表取締役
「安全な原料を使っており、肌が弱い人でも大丈夫」と話すグラシアの西村代表取締役

 サクランは、地元・九州の一部だけに自生する「水前寺のり」という淡水産藍藻類から抽出できる保水性に優れ、抗炎症などの効果を持つ多糖類。絶滅危惧種にも指定されるなど希少な植物だったが、地元企業が養殖に成功したほか、地元の他の企業が物質特許を持っていた。しかも、「サクランは水前寺のりからしかとれない」(西村氏)という“地の利”があった。
 サクランに加え、頭皮にダメージを与える皮脂を除去する効果が見込める「シクロデキストリン」など植物由来の原料を85%配合した、化学物質を使わない白髪染めを「サクラントリートメントカラー」として3年前に開発に成功した。
 発売直前の昨年2月には国の新連携事業計画に認定されたことで、「中小機構の専門家からは補助金申請だけでなく、商標やブランディングなどきめ細かくアドバイスをいただいた」(同)。モノ・イチへの出展は、新商品が“全国区”にはばたく一里塚となった。西村代表取締役は「肌の弱い方でも使っていただける。価格も従来品と比べて高くはないので、ぜひ試してください」と、PRに余念がない。

量産はできないが国産にこだわって

ヤマヒサの植松社長
オリーブ商品群を説明するヤマヒサの植松社長

 一方、地元特産のオリーブを原料とした商品を出展したのは、ヤマヒサ(香川県小豆島町)だ。同社は醤油メーカーだが、平成15年に小豆島が国の「オリーブ振興特区」に指定され、栽培面積の拡大などが図られたことに伴い、「オリーブ茶」などを商品化した。また、オリーブの葉の粉末化で大学などと研究開発した。
 この結果、抗酸化作用とポリフェノール成分の分解を抑制した製法で、免疫機能の向上や美白効果などを持つオリーブ葉の粉末や高濃縮エキスの開発に成功し、平成22年に農商工連携計画に認定された。同社はオリーブ葉の粉末と高濃縮エキスを製造して他社に販売するほか、オリーブ花から酵母を抽出して添加した醤油「花醤」を昨年末に発売。今回のモノ・イチにも出展した。この醤油は「香りが高く、甘さも残る」(植松勝久代表取締役社長)のが特徴という。
 大豆や小麦などの原料は国産にこだわっているため、「量産ができない」(同)ものの、これまでの自然食品ルートなどに加え、「高級スーパーなどの販路を拡大したい」と期待している。

 

BtoB、BtoCが見込める販路開拓の重要なルート

 昨今の健康志向に加え、昨年6月に政府が決定した日本再興戦略の戦略市場創造プランの中では「国民の健康寿命の延伸」を掲げるなど、健康関連商品の市場は今後も成長が予想される。
 中小機構の支援先企業でも「サプリメントや健康食品を開発する企業が増えており、マッチング手法を探していた」(中小機構の山本聖・経営支援部プロジェクトマネージャー)。そうした中で、中小機構の地域活性化パートナー企業であるUBMメディアから健康博覧会への出展要請があり、昨年から同展示会内でのモノ・イチ開催となった。健康博は「来場者が幅広く、メーカーや小売りだけでなく、エステティックサロンや美容室などもあり、BtoB(対企業取引)とBtoC(対個人取引)の両方の販路が見込める」(同)ことで、販路開拓の重要なルートとなった。
 ただ、健康関連商品は販売が軌道に乗るまで時間がかかるのが一般的だ。このため、「展示会後の販路拡大へのフォローが重要で、それは(中小機構の)地域本部のマネージャーにしっかり引き継いでいる」(同)。成長市場に向けて、中小企業の販路拡大、事業発展が期待される。

秋間将貴氏

地方の“宝”商材を発掘

地域活性化パートナー
UBMメディア「健康産業新聞」2週号・チームリーダー

秋間 将貴 氏

 

  健康博覧会は今年で32回目ですが、東日本大震災後の2012年からは出展規模が右肩上がりで増え、ピークだった2007年に迫ってきています。安倍政権は高齢化社会に対応し健康産業の強化などを打ち出していますので、疾病予防を含めて新たな商材や新規参入企業が増える時期がきていると思います。
 当社が発行する健康産業新聞では各都道府県の健康産業に対する取り組みや、地場食材を用いた機能性食品、サプリメント、コスメなどを紹介するなど、展示会と新聞を連動させていましたが、地方でも“宝”の商材が埋もれていることが多いことが分かりました。そこで、3法認定企業で中小機構が支援している企業の付加価値のある商品や商材を健康博に出展してもらうよう声をかけました。
 ニッポン・モノ・イチは、バイヤーが希少性を求めている中で、地域のこだわり商品が集まっており、健康博にマッチしています。現に、今年の出展企業に聞いたところ、いずれも展示会への満足度は高く、また出展したいとの声も多かった。
 健康産業をめぐっては、関節や筋力、骨などの機能低下によるロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)の予備軍が4700万人と推定され、食と運動でこれを改善する新しい動きが出ています。3法認定企業は健康博を通じて商品などの知名度をもっと上げてほしい。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成26年5月15日発行 第1120号