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第4回 東京インターナショナル・ギフト・ショー─新しい経営の柱を開発─

販路開拓へスクラム 新連携・地域資源活用・農商工連携認定企業と支援ネットワーク

 

伝統と“現代”を融合し新市場に挑む

技術の開発で、信楽焼が室内のインテリアに

 「商品のアピールの仕方が分かってきた。おかげで3年前には地元取引が100%だったが、現在はそれが5%。全国で売れるようになった」
 こう喜ぶのは、滋賀県特産である信楽焼製造の重蔵窯(じゅうぞうがま・甲賀市)の今井晃治取締役だ。
 9月4日から6日までの3日間にわたって開かれた東京インターナショナル・ギフト・ショー(主催・ビジネスガイド社)内の中小機構ゾーン「NIPPON MONO ICHI(ニッポン・モノ・イチ)」に信楽焼の商品を出品し、来場者から高い関心を寄せられていた。
 陶器は一般的に、水を入れておくと時間の経過とともに水が漏れ出す。陶土が吸水性を持つためで、これを防ぐために樹脂でコーティング処理して防水性を高めていたが、これがコスト高などの要因となっていた。そこで同社は陶土の配合と生産方法を工夫して、陶器の吸水率を大幅に低下させる技術を開発。これにより「割れにくい、欠けにくいという特性を持ち、信楽焼が室内のインテリアとしても使えるようになった」(今井氏)。
 この技術を使い、花器や手洗い鉢、さらには水滴の音を共鳴させ琴の音に似た妙なる音を響かせる「水琴窟」などを商品化。各種の展示会に出展したところ、賞を受賞して「百貨店や通信販売など多数の(販売)オファーがあった」ものの、販売先を拡大しても「売り方の的の絞り方が分からなかった」(同)。

展示会『ニッポン・モノ・イチ』に的を絞った出展

 

今井晃治取締役
「原価に強い会社になった」と喜ぶ重蔵窯の今井晃治取締役

 そんな中で、同社は平成22年に国の地域資源活用事業計画認定を受け、中小機構のマネージャーらから、パンフレットの作成方法や販路開拓の仕方などを助言され、「ユーザーにも効率よく分かってもらえるようになり、展示会への出展もニッポン・モノ・イチだけに絞るようにした」。 加えて、マネージャーらのアドバイスに沿って窯の生産単価も決めたところ、「原価に強い会社になり、生産効率も上がった」という。今後は生産体制を整備して生産量を増やすほか、将来的には独自の製造方法を産地に公開し、「地元に貢献したい」(同)と意気込む。

日本人のライフスタイルの変化に伴い新ジャンルへ

実松英樹専務取締役
「“置く”をデザインする」とブランドについて語るミマツ工芸の実松英樹専務取締役

 同様に、地域資源活用の認定を受け、家具製造技術を生かした独自のインテリア商品の販路開拓を進めるのが、ミマツ工芸(佐賀県神埼市)だ。神埼市は「諸富家具・建具」の産地で、同社も家具用部品などを製造していたが、例えばタンスの需要が激減するなど日本人のライフスタイルの変化に伴い「ターゲットを変えようと考えた」(実松英樹専務取締役)。
 自社の木工技術を生かしたうえで、「生活の道具をどうするか。生活の豊かさをどう表現するか。必要ではないが、あるとうれしいものは何か」と考え、新しい生活用品の提案として生まれたのが、「M・scoop」(エム・スコープ)と名付けたブランドの商品群。木工品には見えないような表面加工を施した眼鏡置き、腕時計置きなど、日ごろ大切に使っているモノの“置き場所”となるインテリアアクセサリーだ。そのデザインは「大事なモノを乗せてきれいに見せることが完成形のため、究極のシンプルを目指した」(同)という。
 ただ、新しいジャンルの商品だけに、どう売るかなどの壁に突き当たった。平成22年に地域資源活用の認定を受けたことで、中小機構のマネージャーから「広報戦略や売るためのノウハウを教えてもらった」。ターゲットもギフト用品として絞り、「モノを大事にしてもらうというコンセプト」を確立した。
 その後は、年に6回程度、各種の展示会に出品したところ「徐々に取引先が増え、今では主力商品となっている」と喜ぶ。

伝統的な技術を活かした新市場開拓

 両社に共通するのは、自社の伝統的な技術を生かしたうえで、最新の技術やデザインという“現代”を加えて新市場を開拓したこと。しかも、地域資源活用に認定され、専門家の助言を受けながら販路を開拓。「新しい経営の柱を開発できた」(中小機構新事業支援部の山本聖プロジェクトマネージャー)。
 山本氏は、中小企業は新商品を開発しても、売り先と出会う場が少なく、新しい販売網を築くことが難しいと指摘。その点、地域資源活用だけでなく、新連携や農商工連携に認定されれば、「中小機構が事業化まで一貫してサポートできるのが強み」と強調する。
 今回、両社が出展したギフト・ショーは、3日間の来場者が約19万人というビッグ・イベント。多くのバイヤーと接触する機会を得たが、こうした支援ができるのも「展示会主催者や小売・卸などの地域活性化パートナーの協力があるからだ」と、山本氏は結んだ。

 

藤波信義氏

マッチング手法を学ぶ

地域活性化パートナー
ビジネスガイド社事業部長

藤波 信義 氏

 

 「ギフト・ショー」は、前身の展示会から数えて今年で37年を経ました。その間に規模を拡大し、平成13年ごろから東京ビッグサイトの全館を使用。出展社数は2500社超と、スペースの関係からこれ以上増やせない状況が続いています。
 平成23年度に中小機構の地域活性化パートナー企業として登録したことで、会場内に中小機構専用ゾーンを設けていただいただけでなく、当展示会が不足していた部分を補えるようになりました。具体的には、出展者と来場するバイヤーらとのニーズがミスマッチする部分もあったのですが、展示会の前後も出展者をフォローするという中小機構さんの手法を学びました。
 これに伴い、展示会期間中にビジネスマッチング会を催したほか、今年9月の展示会では初めて事前の商品評価会も始めました。マッチング会は、期間中にブースを回りきれなかったり、見落としたなどというバイヤーさんの声にこたえ、事前に出展者の売り込みを図る場です。商品評価会も申し込みを受け付け、出展品を事前にバイヤーに見てもらいます。これには当社の社員も出席しており、商品評価のノウハウを向上できます。ほかにも、セミナー開催にあたって専門家を紹介してもらうなど、さまざまな協力を得ています。
 当社は中国や台湾でも展示会を開いており、出展者の目は海外にも向いてきています。今後は海外展開という点でも中小機構さんと協力し、支援先企業様のお役に立てれば、と考えています。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年12月15日発行 第1110号

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