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第2回 五味商店「こだわり商品展示会」─頑張る食品メーカーの情報発信─

販路開拓へスクラム 新連携・地域資源活用・農商工連携認定企業と支援ネットワーク

 

効果大きくリピーター続出

食品問屋五味商店と機構の関係

 去る7月25日、東京・丸の内の丸ビルホール。食品問屋の五味商店が開いた「第10回こだわり商品展示会」は朝方から百貨店、スーパー、コンビニ、外食チェーンなどのバイヤーら数百人が詰めかけ、熱気にあふれていた。隙間なく並んだブースは111小間。このうち11小間は本会場につながる入り口ホールの特等席に設置され、その中の8小間は中小機構が出展を支援した3法認定事業者に与えられた。
 主催者の五味商店は中小機構の地域活性化パートナーだ。「五味商店には、出展企業を紹介する見返りに、特別なプラスアルファをお願いしている」。中小機構経営支援部プロジェクトマネージャーの籾山朋輝氏は、支援事業者が優遇されている理由を明かす。

「こだわり商品コーナー」14年の歴史あり

 中小機構が同展示会への3法認定事業者出展を支援するのは今年で3回目だ。五味商店は、新日本スーパーマーケット協会が毎年2月に東京・有明の東京ビッグサイトで約8万人の来場者を迎えて開いている「スーパーマーケット・トレードショー」でも「こだわり商品コーナー」を展開しており、中小機構はそこでも過去2回にわたり、3法事業者の出展を支援している。
 「こだわり商品展示会」そのものは14年の歴史があり、食品流通業界で一目置かれる存在となっている。最初のプライベート展示会が開催された後、同協会でトレードショーを担当していた籾山氏が同ショーにも参加するように交渉して実現した。「小さくても頑張っているメーカーの情報を発信したいという五味商店の考えに共鳴した」(籾山氏)のが発端だ。
 中小機構は「こだわり商品展示会」への出展支援において、極力、初参加の企業を優先している。だが、この展示会に魅力を感じ、2回目以降も一般申込で参加する企業が多く、今回も十数社にのぼった。

トレードショー出展により大手からの引き合いが

柴野代表取締役(左)と長男の晃大氏
「微生物の力で合成保存料を不要にする食品づくりを世の中に浸透させていきたい」と語る白神手づくり工房の柴野代表取締役(左)と長男の晃大氏

 乳酸菌発酵調味料「白神ささら」を製造・販売する白神手づくり工房(秋田県能代市)もその一つ。トレードショーも含めて3回目の出展だ。柴野隆司代表取締役は「五味商店がきめ細かくフォローしてくれて、その結果、昨年秋には大丸・松坂屋の食品祭で当社の商品を扱ってもらえた」と、出展のメリットを説く。
 同社は、世界遺産の白神山地で発見された抗菌物を作り出す乳酸菌「作々楽(ささら)」を活用した甘酒培養物の開発などで平成21年度の地域資源活用事業認定を受けている。「中小機構東北本部に相談して申請したが、すごく熱心な方が担当してくれてラッキーだった」(柴野代表取締役)。大手レストランチェーンから調味料の引き合いが来るなど事業は軌道に乗りつつあるという。

展示方法・商品の大きさなど、出展により学べたさまざまなニーズ

伊藤さん
ブースを切り盛りするグローバルアイの伊藤さん

 炊き込みご飯の素「だだちゃ豆ごはんの素」などを製造販売するグローバルアイ(山形県鶴岡市)も、トレードショーを含めて3回目の参加だ。同社は「最上紅花若菜」を使った粉末健康飲料の事業化で23年度の農商工等連携事業認定を受けた。
 ブースを切り盛りする伊藤美智子さんは、「昨年初めて出展して、大勢の来場者や同業者らと情報交換することで、陳列棚をイメージできるような展示方法や商品の大きさなど、さまざまなニーズを知り、学ぶことができた」と強調。都心の高級スーパーへの商品納入が始まるなど着実に成果が上がっているそうで、「商品バリエーションも広げてきたが、もっともっと食卓に置いてもらえるように、トータルで良い商品を作っていきたい」と力を込めた。

 

寺谷健治氏

魅力あるイワシの集団

地域活性化パートナー
五味商店代表取締役

寺谷 健治 氏

 

 「こだわり商品展示会」は平成11(1999)年9月に東京・丸の内のパレスホテルで開催したのが始まりです。東京ビッグサイトで開かれるような大きな展示会には参加できない中小・零細メーカーの方たちから、自分たちも参加できる展示会を開いてほしいという声があがり、背中を押されたのがきっかけでした。その時に、出展企業が原材料や製造法に込めた“こだわり”を知ってもらうための展示会にしようと考え、各ブースの社名の下にそのこだわっている内容を明記してもらうことにしました。
 小規模ながら展示内容が良かったので、バイヤーら来場者から好評を博しました。それで、新日本スーパーマーケット協会(当時は日本セルフ・サービス協会)の勧誘を受け、半年後の平成12年3月から「スーパーマーケット・トレードショー」にもコーナー出展するようになったのです。
 中小機構の地域活性化パートナーになってからは、当社だけでは見つけられないさまざまなメーカーと接点ができたので、展示内容を一段と充実させることができました。大手企業がクジラだとすると、私たちはいわばイワシの集団です。単独では生きられないが、集団ならクジラとも共存できる。どの出展企業も、地域性や特殊な製法技術など、それぞれ大手にはない魅力を持っています。そういう企業の商品をマーケットにつなげていくのが当社の役割だと考えています。

 

籾山朋輝氏

売るための助言得られる

中小機構経営支援部
プロジェクトマネージャー

籾山 朋輝 氏

 

 食品流通業界は競争がどんどん激化しているだけに、「こだわり商品展示会」に来るバイヤーは一般的な商品ではなく、より“尖った”商品を求めて来ます。逆に、そういう商品を持っていない企業は、この展示会に出展しても効果は得られません。
 その点、地域資源活用など3法認定事業者の皆さんは、原材料などにものすごくこだわっていますから、この展示会に向いていると言えます。ただし、“こだわり”があれば売れるというものでもありません。“こだわり”はせいぜい、売れる条件の30%を満たすくらいでしょう。それ以外に、マーケットの求める価格やパッケージなども踏まえて商品を作る必要があります。
 中小企業はどうしても、そういうところへの配慮に欠けてしまいがちなのですが、五味商店は地域活性化パートナーとして、社長自ら出展企業にきめ細かくアドバイスしてくれています。実際の取引経験が豊富な人から「このパッケージでは売れませんよ」と指摘されると認定事業者も参考になります。商品の陳列方法なども含めて、百貨店やスーパーなどのバイヤーにどう売り込めばいいのかをこの展示会で学ぶことができます。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年10月1日発行 第1105号

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