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第1回 NIPPON MONO ICHI─展示・商談会をフル活用─

販路開拓へスクラム 新連携・地域資源活用・農商工連携認定企業と支援ネットワーク

 

出展企業同士のマッチングも

中小機構ゾーンには23社が出展

川端代表(左)と樽谷チーフアドバイザー
カワバタプリントの川端代表(左)と中小機構近畿本部の樽谷チーフアドバイザー(川端商店の看板が立つブースで)

 「それでは、商談希望のほうはいかがでしょうか」。司会者がこう促すと、4人のバイヤーが一斉に「商談希望」と書かれた札を掲げた。
 7月中旬に東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた国内最大のファッション関連展示・商談会「JFWインターナショナル・ファッション・フェア(JFW-IFF)」会場の一角で、中小機構が催した「スター誕生!公開プレゼン商談会」のひとコマだ。
 トップバッターでプレゼンし、バイヤー全員から商談希望を獲得したのは、「新万葉染」と呼ぶ新しいプリント染色技術を開発したカワバタプリント(京都市下京区)。川端康夫代表が「優れた生地メーカーとコラボすれば、世界にただ一つのいい商品ができる」と訴え、バイヤーや観客らの心をつかんだ。
 カワバタプリントは、同展示会場内の中小機構ゾーン「NIPPON MONO ICHI(ニッポン・モノ・イチ)」の出展企業23社のうちの1社だ。同ゾーンは、3法認定事業者の販路開拓を支援するために設けられた。出展企業は出展料が格安で済むだけでなく、商品陳列方法のチェックや商品評価など、バイヤーへの訴求力を高めるためのきめ細かな助言が受けられる。JFW-IFFの主催者で、中小機構の地域活性化パートナーでもある繊研新聞社の協力を得て平成22年から実施しており、年2回開催される同展示会で7回目のゾーン出展となる。

『ニッポン・モノ・イチ』には商談+αの魅力が

 プレゼン商談会も毎回開かれ、中小機構ゾーン出展企業のほかに新進デザイナーのブランドなども参加する人気イベントとして定着。「NIPPON MONO ICHI」の企画担当で、プレゼン商談会の司会も務める中小機構新事業支援部の山本聖プロジェクトマネージャーは「ビジネスマッチングだけでなく、商品に対するバイヤーの的確なアドバイスが受けられ、プレゼン能力も高められる」とその狙いを語る。
 カワバタプリントがプレゼン商談会に参加したのは今回で2回目だ。同社は平成21年度の地域資源活用事業計画認定を受けて「新万葉染」の開発に着手。2年後には実用化にこぎつけて、23年1月のJFW-IFFに同染色法で作ったストールを初出展した。
 「新万葉染」は草木染と同じ天然色素を用いながら、化学合成色素と遜色のない鮮やかな色合いで染色加工できる「環境に配慮し、肌にも優しい安心・安全な染色法」(川端氏)だ。この分野の権威である木村光雄・三重大学・神戸大学名誉教授の指導を受けて、天然色素を微粉砕し、常温で染色できるようにすることで実現した。

アドバイザーの助言から作り上げた「ブランド力」

 事業計画策定を支援した中小機構近畿本部の樽谷昌彦チーフアドバイザーは「最初に話を聞いた時は、ビジネスに発展させるのは相当に難しいと思った。ただ、大学教授がついておられ、科学的に説明できる技術なので、何かしら販路開拓する方法があるだろうと考えた」と振り返る。
 初出展の反響は上々で、大手百貨店の催事で展示販売できることになった。ところが、「2週間で売り上げ6、7万円と惨憺たる結果に終わった」(川端氏)。そこで、樽谷氏が東京にいる山本氏に中小機構の地域活性化支援アドバイザーの派遣を要請。アドバイザーは、川端氏で3代目となる同社の工房を調べて、初代の呉服屋「川端商店」だった頃の商標を見つけた。それを新しいブランドとして使用するよう助言すると、川端氏は即座に京都市内にその名の看板を掲げた直販店を構えた。
 京都の老舗をイメージさせるブランドの効果は絶大。「新万葉染」関連の売り上げは昨年までほぼゼロだったのが、「今年に入って百貨店の催事に加え、直販店の売り上げも整ってきており、将来に向けての絵が描けるようになってきた」と、川端氏は目を細める。

出展者同士の連携から新たな商品が

福田取締役
「若い職人たちの優れた技術を生かしたい」と語る福田織物の福田取締役

 そのカワバタプリントと2年前の「NIPPON MONO ICHI」の場で知り合い、ストール用の素材を供給するという出展企業同士の事業連携に発展したのがテキスタイルメーカーの福田織物(静岡県掛川市)だ。同社は20年度の地域資源活用事業計画認定を受け、「薄くて、軽くて、柔らかい」をコンセプトにした世界に例のない超細番手綿織物「スーパーエキストラファインテキスタイル」を開発、産元商社に頼らずに新しい市場を独自に開拓しつつある。
 福田正子取締役は「どこの国もできないものを作り、世界中の人を感動させたい」と、細番手にこだわる理由を語る。世界で収穫される原綿の3%程度という希少な綿から極細の糸を紡ぎ、同社の若い職人たちが感性で織り上げる。事業認定申請前後の2〜3年間、試行錯誤を重ねて磨き上げてきた技術だ。
 今年4月から東京と大阪の複数の大手百貨店で約2週間ずつ催事販売し、今年秋の催事シーズンもすでに予約済みとなっているなど、ストールを主力商品にして順調に売れ始めている。
 福田さんは「地域資源活用事業は補助金で金銭的に助かるだけの制度だと思っていたが、全然違っていた。中小企業は計画というものを立てない。それが計画に沿って事業を進められるようになり、いろんなアドバイスやマッチングの場を与えてもらった」と実感を込めて語る。

 

山本聖氏

プロセスの詰まりを防ぐ

中小機構新事業支援部
プロジェクトマネージャー

山本 聖 氏

 

 中小企業地域資源活用促進法が施行されたのは平成19年ですが、その前の年から経済産業省の研究会に参加し、法律づくりに関わってきました。当時は、都心の百貨店で、産地に入って売れるものを見つけるバイヤーの仕事をしており、経産省としては民間小売業の意見を反映させたかったようです。
 プロの目から見て、売れるとわかっているのに、売り場に並べられない商品というものがあります。それは、商品以外のところに問題がある。たとえば、単価やロットが合わないとか、デザインが悪い、取引口座を開けないなどさまざまな理由があります。作り手からお客さまに届けるプロセスのどこかが詰まっているわけで、その部分を探して、事前に詰まりを防ぐ必要がある。私たちはそれを「プロセス支援」と総称しています。
 「NIPPON MONO ICHI」もマッチングの場を設けるだけでなく、事前事後の入念なアドバイスを含めて、手厚くプロセス支援を行っています。今後も、この中小機構ゾーンに出展したいがために事業計画認定を申請するという企業が出てくることを目標に、一層、充実させていきたいと思います。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年9月1日発行 第1103号

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