中小機構について >  情報提供活動 >  中小企業施策普及紙「中小企業振興」 >  にっぽん元気カンパニー >  アーサ販売で県内トップ 【島酒家(那覇市)】

アーサ販売で県内トップ 【島酒家(那覇市)】

生産者とともに発展を目指す

 

にっぽん元気カンパニー

島酒家
【設立】 2004(平成16)年10月
【資本金】 300万円
【従業員数】 10人

泡盛から水産へ

 社名の島酒家(しまざけや)から連想できるように、同社は沖縄独自の蒸留酒である泡盛の販売を主力事業として設立した。しかし、泡盛の出荷量は2004年をピークに減少傾向となる。「要因を分析したが、それを跳ね返し需要を喚起する手立ても見当たらず、今後の市場拡大は期待できないと判断し、新分野開拓へのチャレンジを始めた」と石黒新海代表取締役は、会社の成長を確保するため新事業展開へ舵を切った経緯を語る。
 まず手掛けたのが農業生産法人「南の風」の立ち上げだ。2004年、久米島に本社・工場を設置し、自社農地や沖縄本島で採れた食材を使い“こだわりの調味料”の生産を開始した。だが、加工食品の競争は厳しく、有機農法を志向することで人件費負担が重くのしかかる。そこで、もうひとつ柱になる事業として水産分野での展開を目指すことにした。
 「価格勝負になれば大手に勝てない。だから他社ができないオリジナルで勝負しようと考えた」という。対象としたのは、モズク、アーサ(アオサ)、ひじきなどの海藻類を使った商品で、これまでにない新商品開発に挑んだ。

モズクがヒット

伊平屋村漁協のみなさん
生産者と二人三脚。採れたてのアーサを手にする伊平屋村漁協のみなさん

 沖縄で採れるモズクなどの海藻類は、これまで簡易的な加工しかされてこなかった。だから自然素材に付加価値を付けることで売れる商品になるはずだ。こう考え、沖縄の最北端に位置する伊平屋村漁協の協力を得て、ここで採れるモズクに合う沖縄産の塩などをベースにした国内初の“味付けモズク”を開発した。
 栄養価の高い自然食品であり、食べやすい工夫をすることで消費者の購買意欲は増す。味は主要販売先となる関西圏を意識して調合することで、同圏の複数の生協の店舗に昨年から島酒家の味付けモズクが置かれた。 初年度の出荷量は2万4000パック、今年度は3万パックが見込める事業に育っている。
 モズクの生産は伊平屋村漁業協同組合が担い、島酒家は商品企画と販路開拓を行う。お互いにメリットがある事業展開ができあがった。連携を組むことで伊平屋村の収入安定化につながり、島興しにも寄与する効果ももたらしている。「品質管理を重視し今後の増産は焦らずにやっていく考え。売り上げの一部は子供支援のNPOへも寄付をする」と沖縄の資源を活用した新商品開発の効果を語る。

専門家が助言

石黒社長
「焦らず地道に成長」と話す石黒社長

 水産物の取り扱いを検討していたころ、石黒社長は中小機構の沖縄事務所に相談を持ちかけた。その中から生まれた発想が「塩をテーマにした大人のおつまみの商品化と販売戦略」であった。
 この取り組みが平成25年の地域資源活用事業に認定され、中小機構の支援を受けることになる。モズクに合う塩をどう開発していくか、沖縄事務所は塩の専門家を紹介し島酒家はアドバイスを受けながら商品企画を練った。「試食会を実施し、味は7回変え商品化へこぎつけた」と専門家の協力があったから新商品開発につながったともいう。
 販路は、食の安全・安心を求めている層をターゲットにする方針を決め、着実なファンづくりを大事にする。「農業事業での失敗もあったので、これを教訓に地道な展開をしていきたい」と急成長より確実な成長を志向する。

B級の商品化を

 これまで大半が県内消費だったアーサだが、生野菜と混ぜサラダとして食してもらうなど使用法を提案し、使いやすい20グラムのパッケージに収めることで、新たな需要も発掘している。
 昨年度は7万パック、今年度は11万パックの出荷を見込み、沖縄県産のアーサ販売では県内トップシェアの地位を築いている。アーサは伊平屋村漁協だけでなく宮古島漁協の協力も得て生産体制を拡充中だ。
 「今後は、スーパー、介護施設向け、飲食店などへの販路開拓を積極展開させていく。また、品質的にはそん色ない規格外のB、C級の海藻類を商品化することを考えている」という。これを含めた海藻類の多用途化を目指す展開が、会社成長に向けた次のターゲットポイントになりそうだ。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年6月1日発行 第1145号