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7月に動物病院を開業 【アムリット.DC(岡山市)】

愛犬介護から生まれた夢実現

 

にっぽん元気カンパニー

アムリット.DC
【設立】 2009(平成21)年12月
【資本金】 3,000万円
【従業員数】 約70人(パート含む)

ネット通販開始

新社屋兼動物病院の完成予想
新社屋兼動物病院の完成予想スケッチ

 ペットフードなどのインターネット通販を手掛けるアムリットDCは今年7月、岡山市に動物病院を創設し、イヌ・ネコの治療や介護・リハビリ事業に乗り出す。黒田展弘代表取締役が創業時から描き続けてきた夢がいよいよ現実のものとなる。
 黒田社長が2009年12月に同社を創業したのは、18年間かわいがってきた愛犬のハマちゃんを亡くしたのがきっかけだ。一人っ子の黒田社長は、中学1年の時に家に来た柴犬のハマちゃんと一緒に育った。結婚して実家を離れ、少し疎遠になった頃、ハマちゃんが病に倒れた。実家に駆けつけてハマちゃんに会うと、彼との思い出が走馬灯のようによみがえった。
 以来、認知症で寝たきりのハマちゃんを1年半にわたって介護。「その時に、こんな病院があったらいいなとか、こんな悩みを聞いてくれるところがあったらいいのになどと考えたのです」。
 それまで経営していたペットショップ4店舗のうち3店舗を売却してアムリットDCを設立。まず、「楽天市場」に通販サイト「アムリット動物長生き研究所」をオープンし、高齢や要介護のペットにターゲットを絞った食事療法食や介護用品、サプリメントなどの販売を始めた。
 社名の「アムリット」はサンスクリット語で不老長寿を意味し、「DC」はドッグとキャットの頭文字。ペットを「20歳まで元気に長生きさせる」を事業コンセプトに掲げた。

手書きで礼状

 約5カ月の準備期間を経て通販をスタートしたものの順風とはいかなかった。ネット通販は広告を出し続けないと商品が売れない。毎月手元に残ったお金を広告につぎ込む自転車操業。半年ほどして広告を出せなくなると、翌月の売り上げが激減した。
 万事休す中で、黒田社長が考案したのは、手書きの礼状を商品に添えることだった。「それまで同業他社の動向ばかり気にしていましたが、お客さまと向き合うほうへと考え方を改めました」。3週間ほどで手ごたえを感じられるようになり、「もっとお客さまの声を聞きたい」と、商品の感想や質問などを書いてもらう返信用のFAX用紙も同封するようにした。
 この礼状・FAX作戦が奏功。広告を打たなくても月を追って売り上げが増え、顧客のリピート率も70%を超えた。仮想店舗をアマゾンやヤフーにも広げ、自社の独自サイトも構築した。現在は礼状書きのために主婦を中心に約40人とパート契約し、月間約2万通を出している。

専門家を活用

 2013年に中国地域ニュービジネス協議会主催の「中国地域ニュービジネス優秀賞」を受賞した縁で中小機構中国本部のアドバイザーと知り合い、一昨年から昨年にかけて同本部の専門家派遣事業を2回にわたり活用。専門家の助言を受けて、物流管理システムの効率化やIT(情報技術)システムの高度化に取り組んできた。
 また、同本部を通じて知り合った金属製品加工会社と共同で、セミオーダーのイヌ用車椅子を開発・販売する計画も進んでいる。

全国展開も視野

社員と談笑する黒田社長(前列左)
オフィスで社員と談笑する黒田社長(前列左)

 約700坪の敷地に建設中の動物病院は2階建てで、1階に診療室やリハビリ、介護施設、通販商品のショールーム、物流施設、2階にオフィスを配置する。獣医はすでに社員に1人いるが、病院開業に伴い増員する。
 同時に、全国初のペット専用往診車両も導入する。治療に必要な設備を備えた車で、家の中に縄張りを持つイヌを家の外で治療できる。同車両による事業は、国の平成25年度補正「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新補助金」に採択された。さらに、廃校の校舎をイヌ・ネコの長期介護施設として再利用する計画も進めている。
 「通販のお客さまは4割が関東。岡山に病院を作っても遠くて来られません」。黒田社長の次なる目標は全国展開だ。「創業時から目指すところは少しもブレません。ずっとハマちゃんに導かれてきた気がします」と笑った。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年3月15日発行 第1140号