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“四国発”ワインで事業拡大 【さぬき市SA公社(香川県さぬき市)】

有効成分前面に全国販売狙う

 

にっぽん元気カンパニー

さぬき市SA公社
【事業内容】 高速道路及びこれに準ずる道路における宿泊休憩施設、石油類販売施設の経営及び管理、さぬきワイナリー運営など
【設立】 平成4年
【資本金】 9,800万円
【従業員数】 8人(ワイン部門)

農業振興で開始

ワイナリーの醸造タンク
ワイナリーの醸造タンク

 「地元特産のぶどうを使ったワインに加え、昨年にはジュースを販売し、近くノンアルコールワインも売り出す。品種を広げ、事業全体を拡大させたい」
 こう話すのは、香川県さぬき市の第三セクター「さぬき市SA公社」ワイン事業部(さぬきワイナリー)部長兼工場長の竹中剛氏だ。
 国産ぶどう100%を使用した純国産ワイン(日本ワイン)の産地は山梨県や北海道などが知られるが、温暖な気候でワイン用のぶどう栽培に適していないとされる香川県産を使い、26年にわたって純国産ワインを製造しているのが、さぬきワイナリーだ。
 第三セクターがなぜワインをつくるのか。そこには、あまり知られていない香川県産ぶどうの歴史がある。
 同県では明治時代からぶどう栽培が盛んだったが、昭和に入って需要減退や農家の高齢化などから徐々に衰退。そこで産地の一つだった志度町(現さぬき市)は農業振興のため、地元農協などの出資を受けた第三セクター「さぬきワイン」を設立。四国初で県内唯一のワイナリーとして、平成元年からワイン製造を始めた。当初、年間数千本はすぐに完売。10年ごろのワインブームのときには県内で10万本を販売したという。
 だが、ブームの沈静化や農家の減少なども相まって、「現在の販売量は年5万本弱に減った」(竹中氏)。

新品種を目玉に

 事業再生の目玉と位置付けたのが、地元香川大学農学部が開発した「香大農R―1」という新品種。これは生命力が強いため栽培の手間がかからず、単位面積当たりの収穫量も多い。しかも、寒暖差が少ない香川でも「色付きがよく、糖度も高い」(同)。色付きがよいと赤ワインならではの色合いとなり、糖度が高ければ発酵させて生成できるアルコール分も十分だ。何より、抗酸化作用や脂肪燃焼促進の効能を持つポリフェノールの一種であるアントシアニンの含有量は他品種に比べ約4倍という。
 平成18年にはR―1を使ったワインを販売した。当時は他のぶどう品種を使ったワインや甘味果実酒、リキュールなども販売していたが、「売り上げは思わしくなかった」(同)。

照準は女性需要

 平成21年にさぬきワインに異動した竹中氏は、事業再生のため製造品種を絞るのと同時に、「有効成分の含有量で優れているR―1ぶどうに特化した差別化商品の展開」を目指す。
 ぶどう農家にR―1の苗木を販売して栽培面積を増やしたほか、販売ターゲットを「30〜40代の女性がおしゃれに飲むシーン」と設定。ワインボトルのデザインを変更し、通常(720ミリリットル入り)よりも小さい500ミリリットルボトルを商品化。昨年にはR―1ぶどう100%のジュース「さぬきRED」を投入し、「食通の人から高評価を得た」(同)という。
 このジュース開発に当たり地元の商工会に相談したところ、国の地域資源活用事業計画の認定を勧められ、中小機構の支援を受けながら平成24年2月に認定を受けた。

全国ブランドに

竹中氏
「R-1を活用した特色ある商品構成にしたい」と話す竹中氏

 「ジュースしか開発するつもりはなかった」という竹中氏は、地域資源活用事業計画策定の過程で方針を転換する。中小機構の専門家から「ジュースだけではR―1のブランディングとして弱い。もっとブランド展開を図るべきだ」との助言を受けたためだ。
 そこで取り組んだのが、ニーズが高まっているノンアルコールのワインの開発。中小機構の専門家に加え、徳島文理大学や地元の地元のワインバーとの月1回のプロジェクト会議を開催するなどの努力も重ね、最終的には発酵させてもアルコール分を抑えながら、ワインの渋味や酸味を出す製法の開発に成功し、「さぬきREDゼロ」として近く発売予定だ。これに続き、スパークリングワインも開発中という。
 旧志度町の第三セクターは、町村合併などもあって、高速道路のサービスエリア運営などをメーンとするさぬき市SA公社に統合され、経営体制も変わった。竹中氏はワイナリー事業の拡大に備え、原料確保のために昨年からR―1の自社栽培も始めた。
 「ワイン、ジュース、ノンアルコールなどをそろえ、まずは地元で地歩を固め、将来的には全国で販売したい」
 竹中氏は、R―1ぶどうの全国ブランド化構想も温めている。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年2月1日発行 第1137号