中小機構について >  情報提供活動 >  中小企業施策普及紙「中小企業振興」 >  にっぽん元気カンパニー >  陶器で「iPhone」市場開拓 【IMARUYO(愛知県瀬戸市)】

陶器で「iPhone」市場開拓 【IMARUYO(愛知県瀬戸市)】

拡声機能付きインテリア商品開発

 

にっぽん元気カンパニー

IMARUYO
【事業内容】 陶磁器の企画製造販売
【設立】 1917(大正6)年
【資本金】 1000万円
【従業員数】 5人

2.5倍に拡音

 米アップルのスマートフォン最新機種「iPhone(アイフォーン)6/6Plus」が9月に発売され、世界的に爆発的な人気を呼んでいる。
 このアイフォーン関連機器として、陶器で市場開拓しようという企業がある。愛知県瀬戸市の「IMARUYO」(イマルヨ)がそれだ。同社の池田洋幸代表取締役は、若者がスマホで何を楽しんでいるかを考え、ゲームと並んで音楽があると聞き、「他社が陶器のスピーカーを作っており、それなら当社でもできる」と考えた。
 そこで開発したのが「瀬戸音」(Seto-ne=セトーネ)だ。瀬戸特産の軽量の「白雲陶器」を使い、瀬戸音の所定位置にアイフォーンを置くと、底部のスピーカーから流れる音楽を電源なしで2.5倍に拡音させるホーン形状の構造とした。陶器の心地よい反響効果により、原音を柔らかく再現するだけでなく、インテリア商品としてのデザイン性もある。コード用の穴も備え、充電中でも音楽を楽しめる。
 今年初めから開発に着手し、約半年をかけた試作品は地元の研究機関などから高い評価を受けた。また、ギフト関連の展示会に出品したところ、全国放送のテレビ局でも紹介され、“反響”を呼んだ。

高温焼成技術

IMARUYOが製造した商品
IMARUYOが製造した数々の商品群

 大正6(1917)年に、石川県で九谷焼の絵付師だった池田氏の祖父が創業したという同社は、3年後に100周年を迎える老舗。人形などのノベルティ(陶磁器製の置物や装飾品)などを製造し、とくにアール・デコ(戦前にフランスを中心に流行した装飾美術)の人形や動物は欧米で人気を呼び、輸出貢献企業にも選ばれたほど。世界的に人気のディズニーキャラクターを手掛けたこともある。池田氏自身も海外に行くと、現地で雑貨や本、焼き物などを買い、「流行しそうなものを予測する」感性を磨き、それに加え絵付け技術、類似品を販売しないなどの信用力を背景に、最盛期には3つの工場で35の焼成窯を持つまでに成長した。
 だが、経営環境は一変する。陶磁器の置物の流行が縮小し、それに円高が追い打ちをかけた。輸出は激減し、製造は外部に委託するなどのリストラを進めた。ただ、1300度を超える高温焼成の技術を持っており、「他社で作りにくいものでも、当社なら作れる」ため、愛知万博のキャラクター商品や企業向けノベルティなどのOEM(相手先ブランドによる生産)製造などで国内では確固たる地位を築いている。

多くの引き合い

 こうした技術力などを背景に、自社ブランドによる「瀬戸音」の開発に至った。瀬戸音の商標登録も済ませ、2万円と3万円の2種類の試作品をテスト販売。展示会やテレビ放映などの効果で、携帯電話会社や百貨店などから数多くの引き合いがあり、商品化も間近と思っていたところに、大きな壁が立ちふさがった。
 アイフォーンの最新機種が出ることが分かったのだ。試作品は「4」「4S」「5」など既存の各機種のサイズに対応していたが、最新の「6」は寸法が大きくなるとの情報を得た。このため、9月上旬からは全機種対応とするため本体の設計変更の作業に入り、発売時期の延期を余儀なくされた。

海外販売も視野

池田代表取締役
「瀬戸音」を手にし、「息の長い商品に育てたい」と話す池田代表取締役

 もう一つの難題は、「メーカーだから、販売方法を知らなかったこと」(池田氏)。そこで、中小機構中部本部の窓口相談を訪れ、地域資源活用事業計画の認定を受けることを決め、サポートを受けながら今年2月に認定された。
 認定後は、同社や中小機構のアドバイザー、デザイナーらが参加して「チームIMARUYO」を結成。底部のデザイン変更や販路開拓などの計画策定を実行中だ。その結果、1万円程度の廉価版の開発も決め、「6」対応と廉価品を11月のインテリア関連の展示会で披露する計画。池田氏は「年内には商品化したい」と意気込む。
 瀬戸音は国内だけでなく、「クールジャパンの候補にもなるという評価も受けているので、来年後半からは海外の展示会にも出品したい」と輸出も視野に入れたうえで、「アイフォーン以外の機種にも対応した製品を開発したい」と将来計画を描く。
 日本の伝統技術とハイテクが融合した新しいマーケットが出現するかもしれない。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成26年10月15日発行 第1130号