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サンゴ染のブランド化進め海外へも 【首里琉染(那覇市)】

地域資源活用事業に認定される

 

にっぽん元気カンパニー

首里琉染
【事業内容】 サンゴ染を活かした商品の開発・デザイン化・ブランド形成
【創業】 昭和48(1973)年
【従業員数】 6人

沖縄ブランドへ

サンゴ染のようす
化石サンゴを使用するサンゴ染。色づかい、デザインなど高い熟練度を要する

 「地域資源活用事業として認定されたのを契機に、サンゴ染のブランド化を進め、心に響く沖縄の商品として本土、海外にも市場を広げていきたい」
 首里琉染の大城裕美代表取締役は、当面の経営目標をこう語る。サンゴ染は今年2月、中小機構沖縄事務所の支援を得て、地域資源活用事業として国の認定を取得した。化石になったサンゴを平らに切断し、その上に布を載せ、染料をつけて表面を擦ることでサンゴの自然な模様を写し出す。着物をはじめスカーフ、バッグ、小物、インテリア製品などに応用、新たな沖縄ブランドの確立を目指そうというものだ。
 「商標・意匠登録した首里琉染オリジナルの染め技法。その独自性を強みに、紅型などを含めたサンゴ染の売上高比率を現在の3分の1から半分以上に引き上げる」(大城社長)計画だ。

事業改革に着手

 地域資源活用事業を知ったのは2年前。ある会合で沖縄事務所の池村博隆プロジェクトマネージャー(PM)を紹介されたのがきっかけ。だが、事業計画を策定するにも、何を作り、どう売るかの基本部分で社内での意思統一が皆無に近かった。池村PMは「何を誰が買うのか、どこに売りたいのか、その戦略を明確にしないと物は売れない。その視点で再考しては」とアドバイス。大城社長は「あれもこれも作りたい、という作り手の思いだけが先走りしていた。どこに商品が受け入れられるかの見方が欠けていた」ことを痛感、社員を含め徹底した社内改革に乗り出すことになる。
 首里琉染は、染色家である故山岡古都氏(父)が琉球紅型をはじめ沖縄の染色文化の育成・発展を目指して昭和48年に創業。草木染の研修生を受け入れ、その指導や着付け教室を開設するなど、企業というより“伝統工芸館首里琉染”としてのいわばミニ博物館的な存在が強かった。「父は非常に厳格な性格で、社内の空気はいつも緊張感に満ちていた」(大城社長)。経営的にも厳しさが増す中、一念発起し2代目を継いだのが平成13年。「まず、社員にやさしくなろうと。アットホームで、みんなが楽しめる職場づくりにしたいと。父とは真逆な経営方針」を掲げてスタートする。

認定取得に挑戦

 それまでの着物を中心とした商品構成を身の回り品や小物類など、単価が手頃な商品アイテムを一気に増やした。
 ところがその反動で、「客層が変わり、商品の質の重さの目線が変化したことで、いいものが生きてこないことに気づかされた。改めて父のこだわりの手染め、1点ものの質の高い商品づくりにシフト」(大城社長)する。
 その経験のもと、現在は和装バッグをはじめ着物関連商品が8割を占める商品構成となっている。そして1年前に、池村PMへ地域資源活用事業へのチャレンジを相談。しかし、当時はまだ企業としての体制づくりが道半ばだった。
 それこそ「仕事とは」「会社とは」から始め、20歳〜60歳代までの6人の社員教育は「まさにゼロからのスタート。認定事業の支援を受けるのはまだ先」と判断せざるを得ず、沖縄事務所の専門家のアドバイスを受けながら体制づくり、“人財”育成、自らを含めた意識改革を実行した。「社長は頑張れというが、どこまで頑張ればいいのか」との社員の問いに、自信をもって回答できないもどかしさもあった。「結局はあれもこれもと、自分ひとりが空回りしていたんですね」と大城社長は振り返る。

社員の幸せを優先

大城裕美代表取締役
「サンゴ染といえば首里琉染といわれるくらいブランド力を高めたい」と語る大城裕美代表取締役

 その取り組みから1年後、地域資源活用事業へのチャレンジを改めて沖縄事務所に要請。池村PMは「話をいただいたときは半信半疑でしたが、よく1年で事業を整理し、社内をまとめあげた」と評価する。
 サンゴは、幸せを呼ぶ、子孫繁栄、長寿などの意味合いがあり、最近は結婚式の引き出物やプレゼント用などの需要が増えている。かつては観光需要がほとんどだったが、現在では地元需要の割合は5割程度を占めるようになった。「今後は、サンゴ染といえば琉染といわれるようブランド力と知名度を高め、国内外での事業展開を目指す」という大城社長、最後に「社員を幸せにし、会社とともに年を重ねられたら嬉しい」と抱負を語った。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成26年5月1日発行 第1119号